明かされる真実
前回までのあらすじ
クズ共を嬲った。以上。
「あいたた…斉藤さん、酷いじゃないですかいきなり殴るなんて!ほら彼女さんも泣いていますよ。」
「ふえええん。勇者がぶった。私何も悪いことしてないのに。びえええん。」
「うるせえんだよ。そもこんなコスプレ女は、俺の彼女じゃない。俺だった選ぶ権利くらいはあるんだよ。何をトチ狂ってこんな頭がおかしな女をあえて選ぶんだよ。」
「あー確かに、頭ゆるそうな子ですね…。デリバリーでこんな子来たら、僕ならお金だけ渡して玄関バイバイですかね?」
警察官のくせに宅配美女とか、コイツまじで狂っているな。まあ、性欲凶戦士には職業意識なんて期待する方がどうかしているのかもしれないな。
「どう意味よ!何を言っているかさっぱりわからないけど、馬鹿にされたことだけは分かるわ!」
セフィリアといったか?俺たちが馬鹿にしてことに気が付いたらしく、激昂しながら俺の首を絞めてくる。さすがにそこまでおつむが残念じゃなかったか。
まあこんな女に首を絞められたところで、俺くらいのレベルには通じな…い、意外と力があるな…く、苦しい、息が…。
「お、落ち着け。俺も少し言い過ぎたかもしれない。選ばないは言い過ぎた。とりあえずキープして、セフレとして弄んで捨てるくらいには美人だった。」
「美人!?そ、そうかしら…やっぱりそうよね。ふふふ、勇者カインといえども私の美貌を前にすれば、オスとしての下劣な感情を催してしまうのも無理もないわね!いいわ、もっと私の美貌を褒め称えなさい!」
セフィリアは俺から手を放すと、得意げに腕を組む。…やっぱコイツアホだな。
「うわー、マジですか。ちょっとひくなー。いや、だからこそお似合いなのかもしれないですね?それじゃ、彼女さんと末永く幸せに、斉藤さん。」
「お前に引かれる覚えはないんだが…ちょっといいか?このままだと話が変な方向に行ったまま、いつまでも話が終わりそうもない。いいか俺はこの女ホントに知らないんだって。」
「えー。もう斉藤さんたら、ウソばっかり。セフレにしたいって言っていたじゃないですか。」
俺は自身の無実を訴えるが、警官は疑わしげの目を送るだけだった。
「フフフ。カインが私を知らないのも無理はない。」
また力ずくで納得させてやろうかと思っていた俺を遮ったのは以外にもセフィリアの一言だった。
「どういうことなんだ、セフレ?」
「セフィリアよ!いい?カイン…いえ斉藤喜一が私のことを知らないのも無理はない…なぜなら!私は前世での因縁から、キイチを襲いにきたのよ。」
「俺の前世の因縁…?つまりお前、ババアなのか?」
「違うわよ!」
「斉藤さんあれじゃないですか?スピリチュアル的な…よくわからないけど、運命感じちゃった☆みたいな?」
「それも違うわよ!こうなった仕方ないわね…いい、今から極秘の設定情報を下に出すからちゃんと読むのよ。いいわね?」
*****設定情報(極秘)開示開始*****
斉藤喜一;邪竜王を倒した異世界の英雄。死後、地球人に転生。
邪竜王:喜一(前世)に倒されたが、実は生きていた。セフィリアを刺客として地球に送り込む。
セフィリア:パシリ。
警官:本名は本田隼人。21歳。神奈川県小田原市生まれ。好物は温かいかまぼこ。嫌いなものは冷えたカマボコ。実は最近、実家から出て一人暮らしを始めた。必要に駆られて料理を始めたのだが、それがとても面白く。近くにある料理教室に通うかどうかを本気で悩んでいる、
*****設定情報(極秘)開示終了*****
「なるほど、そういうことだったのか。俺は異世界を救った英雄だったのか。」
「確かにわかりやすいですね。それで斉藤さんどう思います?やっぱり男が料理教室通うのって変ですかね?」
「ちょっと待ちなさいよ!?情報のバランスがおかしくない?なにカマボコって?…というか私パシリなの?嘘ですよね?邪竜王さま!!」
「おかしいところあったか本田?」
「ちょっといきなり名前呼ばないでくださいよ。…照れるじゃないですか。」
「ご、ごめん。その本名が分かったらつい読んでみたくて…怒った?」
「…怒ってませんよ。斉藤さん。ちょっと…びっくりしただけですから。」
本田の言葉に、俺は思わず顔を伏せる。この笑顔を見られたくなかったから…。
「ホモ臭いやり取りをしてる場合じゃないですよ!本当に分かってるんですか!?貴様を倒すために私が異世界から送り込まれたことを!」
「ああ理解した。設定によるとお前は異世界からやってきたパシリだけど、地球にはお前が魔力を使うために必要なマナがないから、ゴミクズ以下の戦闘力しかないデクの棒なんだろ?」
「パシリの三文字からそこまで読み解いたんですか!?勇者パネェ!!!」
驚きとまどうセフレ、そんな無様な姿に俺たちは互いに笑みをこぼすのだった。
「呑気なものですね。ねぇ斉藤さん?」
「まったくだな本田。」
「ど、どういうことですか?」
俺体の態度に動揺を隠せないのか、セフレはごくりと唾を飲み込む。
「分からないのか?」
「キミは異世界人だろ?」
「そ、それがどうしたのよ!!」
「つまり。」
「つまり!?」
「俺がお前を相手にする理由はないってことだ!じゃあな俺は家に帰る。深夜勤務後で眠いからな。」
「僕も異世界人を保護する必要も逮捕する必要もはないってことなわけで。それじゃあとはお好きにどうぞ。」
俺は家に帰るために交番を後にし、本田も机に向かい書類仕事を始める。世は事もなしというやつだ。
「まってウソでしょ!?だって異世界よ!冒険よ!ここは男の子なら乗らないとマズいでしょ!?…本気なの!?待って、お願い見捨てないで!!!私を見捨てないで。」
一人取り残された。セフレは泣きながら俺目がけて走り出す。俺は全速力でその場を後にするのだった。