雨の日-其ノ壱-
怖いの好きだけど怖いものは怖い。
3年前のある雨の日。
時計の針は0をさしていた。
そろそろ大きな通りも静まり返る時間。
いつもなら。
しかし今日は、少し人通りが多い気がする。
私は、当時田舎から出てきたばかりの10代だったので、流石に女の一人夜道は少しの不安と恐怖があった。
その恐怖は、人間半分幽霊半分。
仕事終わりの帰り道には、いつも「あと、数秒後…数分後に後ろから通り魔に刺されるかも…」とか、いろんな過剰な妄想をしていた。
その日もそんな事を、悶々と考えていた。
そして、歩いていた人がはけて私はひとりになり
傘の雨音と共に静かな道に響くヒールのコツコツ…と言う音が私の近くから聞こえた。
でも、ヒールの音が聞こえるはずがないのだ。
私は普段からヒールは履かないし、もちろんその日もスニーカーだった。
違和感と恐怖が交わる中、私は少し小走りに前に足を進めた。
しかし、そのヒールの音は私の歩くスピードに合わせるかのようについてくる。
すると、普段私が家に帰るために渡る交差点にさしかかって、信号を無視すれば良かったのかもしれないが、私はつい待ってしまった。
すると、ヒールの音は私の横で止まった。
私は、少し目線を横にやると黒い就活生が履いているような低めのヒールの靴を履いた女が、立っていた。
しばらくして、信号が青になると、その女は少し小走りで向かいのコンビニへ入って言った。
後ろ姿は、やっぱり就活生でストレートのセミロングぐらいの髪の毛を低めに束ねて左右に揺れていた。
私も、なにか夕飯を買って帰ろうと、女が入ったコンビニへ入った。
店員が「いらっしゃーせー。」と、気の抜けた接客をしていて、何気なくコンビニを見渡すが、女の姿は無かった。
ああ、トイレかな?
と思い、適当な物を選んでレジに並んだ。
私は何気なく店員に話しかけた。
『こんな夜遅くにも、就活生がんばってるんですね。』
すると、店員は。
『は?あっ、えーっと、そうっすねぇ。あー。でも、こんな夜遅くに来たのは今日はお客さん(私)だけっすよ。』
『え?でも、さっき就活生の格好した女の人ここに入ってきませんでした?』
『何いってんすか。そんな怖い事言わないでくださいっす。』
私は少し不気味に思い、コンビニをあとにした。
部屋について、電気をつけると黒い影が部屋の奥で動いたよに見えた。
見間違いだと、自分を納得させてお風呂に入った。
お風呂からあがり、テレビを見ていると、玄関の方からが物音が聞こえた。
その時時計をはっと見ると2時をさしていた。
いい時間だし、もう寝ようと歯磨きをしに洗面台へ向かった。
歯磨きをし終えてうがいをして鏡に映る自分を見ると全く知らないニヤリと笑う女がうつっていた。
『うわっ!!!』
と、声が出てしまい目を擦って見直すと鏡が少し顔の形に曇っていた。
『なんだ…見間違いか。』
少し、怖くなったので、私はベットに入ると、顔まで布団を被った。
しばらくして、私は目が覚めた。
すると、ベランダの方から女の啜り泣く様な声が聞こえてきて、不気味に思い再び布団をかぶった。
しかし、啜り泣いているかのような声は収まることは無い。
少し気になって、ベランダに出てみると、誰もいない。
でも、洗濯物で隠れていたが室外機の横に白くて細い足が見えた。
ぎょっとして部屋に戻り気を紛らわせようとスマホを見ると時刻は3時だった。
牛水時は幽霊が出やすいって聞くけど、ほんとに出るなんて。
翌日、私は目を覚ました。
すると、足全体がすごく冷えていた。
布団の中に入っているにも関わらず。
そして、足に力が入らずベットから落ちて、ベットの隙間に顔をやると、青白い女の顔があった。
『うわぁぁああ!!!!』
大きな声で私は叫んだ。
そうすると、足に力が戻りベットの下の顔もなくなっていた。
to be continued...
最近寒いですね。。