その四
生実は自宅の地下にある広い書斎に並ぶ本をを適度に眺めながら歩いていた。
「晴山の本集か」
内容は、発行された晴山町に関する本をまとめてあるため、晴山町の歴史を調べるための本を探すのに一役買ったりする。生実は何度も使っている本を改めて開く。
「『晴山、石探し』。そういえば、この本は見たこと無いな」
生実はさっそくネットで探してみるが、それらしき本は見当たらない。両親にも尋ねたが情報は得られず、電話で結菜と承芽も知らなかった。一応、瑞葉にも尋ねてみた。
「それなら、確か山猫屋にあったと思うけど」
四人は山猫屋に集まると、さっそく探してみる。
「これでしょ?」
瑞葉は開けた棚の引戸か一冊取り出して見せる。
「私にはよく分からないんだよね」
生実は渡された本を開くと、上に青、左に赤、右に緑、下に黃の丸い印があり、下にはしずは、いさと、と書かれている。隣の頁にも同じ様に印され、下にはすずは、ひびと、と書かれている。
「これはもしや、晴山のどこかに隠された光石を見つけて、スタンプラリーみたいに押すんじゃないかな?」
と、ちょっと楽しそうな承芽。
「どこに有るかはまったく見当がつかないか……」
結菜は悩む。
「あの……いつもここに置いてある光石ってことは無いかな?」
瑞葉は机に置いてある青い光石を手に取る。
「なんでもいいんじゃない? 押してみれば?」
瑞葉は承芽に言われ、捲って同じ位置に押そうとする。
「スタンプ台に付けてからでしょ?」
思わず押そうとする瑞葉に承芽は止めようと言うが、瑞葉は勢いで押してしまった。しかし、離すと青い印が残っている。
「これは面白いね。光石の色に応じて印の色も変わるのか。どれどれ」
生実は近くに置いてある別の赤い光石を押して見るが、紙には反応がない。
「特定の光石じゃないといけないのか、特殊な加工が施されてるみたいだね」
生実は驚く。
四人は外に出てはみたが、どの方向に向かったらいいのか迷う。
「さて、晴山のどこにあるんだ? 全く分からないぞ」
承芽はお手上げ状態。
「そういえば、山鳩屋にも似たような丸い光石があったはずだけど……」
瑞葉の言葉を頼りに山鳩屋に向かった。
山鳩屋に入ると奥の休憩室に入り、探してみた。
「あった。赤い光石だね」
瑞葉が押すと、赤い印が付いた。
「それにしても、都合よく瑞葉の店にあったよね」
承芽は不思議に思う。
「もしかしたら、静葉さん辺りが作った、一冊だけの本かもね」
と、結菜。
「確かに、値段とかは記されてないね」
瑞葉は不自然な本の仕様に気づく。
四人は店を出た。
「この大きさで黄色か緑か、うちには無いかな。結菜は?」
「あるかも」
承芽に尋ねられて心当たりのある返答。
結菜は引出しから取り出す。
「こういう単純な丸い光石って、以外と少ないよね」
結菜はさっそく黄色の光石を押してみると、黄色い印が付いた。
「やっぱり、私達にしか見つけられないみたいだね。静葉さん達が私達の為に作った遊びだと思うな」
瑞葉はなんとなく把握した。
「生実の家にも有りそうだけど」
承芽の言葉に顔をしかめる。
「そうなんだよ。むしろ有りすぎて見分けが付くかどうか……」
四人は研究室や倉庫などを探したが、同じ大きさの光石は見つからなかった。結局、全く探していない隣の自宅を探すことにした。
「以外とこっちにあると思うんだよなぁ」
承芽は物置を探す。
「引き出しの奥とか」
結菜は台所を探す。
「ここには無いと思うけど」
自室を知り尽くしている生実はどこを探せばいいのか迷う。
「無いかぁ……」
瑞葉が居間を探していると三人が来た。
「あとは親のとこかな」
親の部屋を探すことにした。
「お、これは……」
瑞葉は生実と書かれた箱を押入れから取り出して開けると、中には生実が小さい頃に着ていた服が入っていた。
「着てたねー」
瑞葉は一枚取り出して思い出すが、本来の目的を思い出すと、箱の下に手を入れて探る。
「おお、これは……」
瑞葉は取り出すと、緑の光石が入っていた。
「なにもこんな所に置かなくてもいいのに……」
生実は力が抜ける。
瑞葉が緑の光石を本に押すと、緑色の印が付いた。
「よく見かける所だと無くなるかもしれないし、難しすぎても探すのが大変だし、このぐらいが探しやすいからじゃない?」
承芽はここに隠した理由を推測する。
「でも本当は、生実の成長を見守ってもらうため」
結菜はこれが本当の理由ではないかと、うまいこと結論付ける。
あとで静葉さんに聞いたら、たまたま見つけた光石らしく、何かに使おうとしたらこういうことになったらしい。




