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ねこのねがいごと  作者: 瀬山藺人
十二話
79/84

その二

 五月二十七日日曜日。四人は山鳩屋に来た。

 完全セルフであり、瑞葉はコーヒーを作ってからパウンドケーキを取りに行くと、様々な道具や材料が置かれている長いテーブルの脇に何かが置かれている。

「小説占いガチャ?」

 瑞葉は回してカプセルを出す。開けると紙が入っている。

「家電で吉」

 紙には一文だけ書かれている。三人もガチャを回して席に戻る。結菜の紙には魔法で吉、承芽の紙には動物で吉、生実の紙には飲食店で吉と書かれている。

「小説を書けってこと?」

 承芽が戸惑っていると、結菜が端末を持ってくる。

「これで続きを書いて小説を完成させるみたい」

「つまり、迷ったら占いで決めてくれってことか!」

 生実は占いの意図に気づく。

 端末は何台もあり、四人はまだそれほど進んでいない物語を読んでから、新たな展開を考えることにした。


 ある日、俺は近所を散歩していた。途中、自販機でぶどうのゼリーサイダーでも買うことにした。ボタンを押すとクジが始まる。1391だからハズレかと思ったら、もう1本ゼリーサイダーが出てきた。

「スライムゼリー?」

 とりあえず飲んでると、体が水色になり、自販機吸い込まれた。気づくと辺りは草原が広がっていた。体が青いし、やっぱり異世界に来たのかな? そういえば、なぜか自販機もある。確かに、まだ中世とは限らない。だがその時、中世の格好をした四人組が通りすぎていった。そういえば、って異世界のことか。1391は無理矢理な気もするが。(黒文字)


 ある日、俺は気分転換に散歩をすることにした。途中、自販機青いゼリーソーダを買った。クジが始まり、9999と揃ってファンファーレが鳴った。改めてボタンが光り、今度は青いゼリーソーダを選んだ。ゼリーソーダを振ってから飲むと、体中に力が溢れてくる。

「!」

 思わず手の平を電柱に向けて言葉が出た。すると、手から水の球が電柱に向かって飛んで行き、派手に電柱を叩きつけた。しかし、よく見ると、水滴が人影を形作る様に浮いている。

「なぜ分かった……」

 電柱の方から声が聞こえると水滴が人の様に、全身黒の誰かが姿を現す。

「ロミクル、相変わらず気配を消すのが下手だな」

「気配は完璧に消したはず!」

 またしても、思わず言葉を発していた。ロミクルって誰なんだ。

(青文字)


 投稿するたびに文字の色を変えている。


 結菜が続きを投稿した。

 次の日、散歩をしていると、試しに言ってみた。

「ロミクル」

「きさま!」

「そう、思い出した……」

 ロミクルは闇を好む。だが、あいつが牛乳を飲んでいるのを公園で見て以来、あいつは執拗に追いかけ回るようになった。

「牛乳ぐらい、誰でも飲むだろう」

「では、なぜ追いかける」

「とりあえず、決着を付けようと思ってな」

 間髪入れずミタマを飛ばした。しかし、ロミクルはどこかに消えてしまった。

「相変わらず、逃げ足の速いやつだ」

(黃文字)


 承芽が投稿した。 

 ある日、俺は公園を散策していた。開けた空間に着くと、ロミクルが牛乳を飲んでいる。

「見られたくないのではなかったのか?」

「なぜお前の前で牛乳を飲むか分かるか?」

「さぁ」

「それは、黒の力が強まるからだ!」

 ロミクルからオーラが溢れ出る。

「これは……」

「俺の体内で自らに宿る黒の力に白の力をぶつけることによって、黒の力は負けじと強くなる。そうすることで……」

「にゃぁぁぁぁぁ!!」

 そこらじゅうから猫が集まり、ロミクルに飛びつく。

「こら! やめろ! まさか……」

「オーラは白いぞ、そして、牛乳臭い」

「ふっ、まだ黒の力を使いこなせていないみたいだな」

「いや、かなり使いこなせてるようだぞ、実は白の力に向いてるんじゃないか?」

「ふっ……、俺に白の力が向いてるだと?」

 ロミクルはどこかに消えていった。

(赤文字)


 生実が投稿した。

 ある日、俺はコーヒーでも飲もうと、山鳩屋という店に来た。どうやら、自らコーヒーを作る必要があるらしい。とはいえ、コーヒーなら毎日作っているし、たまには誰かが淹れたコーヒーでもと来たのだが。とりあえず、完成したコーヒーをのんでくつろぐ。

「よう、ミズル」

「ロミクル、また勝負か」

「今日は休戦だ。俺はコーヒーが大好きでな。ここにはよく来るんだよ」

 ロミクルは最後に牛乳を足す。

「俺はコーヒーで強くなる。お前はどうなんだ?」

「さあ、知らないな。それにしても、コーヒーで強くなるとは羨ましい。俺もコーヒーが好きなんだがな」

「お前は何で強くなるんだ?」

「そういえば、思い出せない……」

(緑文字)


 瑞葉が投稿した。

「そうだ、確か、スライムソーダを飲んだら……強くなった、というより、元に戻ったというか……」

「それは、あれだな、ミラースライムの仕業だな。見た相手に乗り移る、厄介なスライムなんだけど、本当に存在していたとはな。最近、どこかで見たか?」

「スライムなんか、100年は見てない」

「いや、どこかで見たはずだ。まあ、注意することだな」

 店を出て、一人で森を歩いていると、青い服の男が近づいてくる。

「やあ、また会ったね」

「お前がミラースライムか……」

「よく分かったね。でも大丈夫、ちょっとイタズラしただけ。もう乗り移ったりはしないよ」

「そうか、ではさらばだ」

(青文字)





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