その二
五月二十七日日曜日。四人は山鳩屋に来た。
完全セルフであり、瑞葉はコーヒーを作ってからパウンドケーキを取りに行くと、様々な道具や材料が置かれている長いテーブルの脇に何かが置かれている。
「小説占いガチャ?」
瑞葉は回してカプセルを出す。開けると紙が入っている。
「家電で吉」
紙には一文だけ書かれている。三人もガチャを回して席に戻る。結菜の紙には魔法で吉、承芽の紙には動物で吉、生実の紙には飲食店で吉と書かれている。
「小説を書けってこと?」
承芽が戸惑っていると、結菜が端末を持ってくる。
「これで続きを書いて小説を完成させるみたい」
「つまり、迷ったら占いで決めてくれってことか!」
生実は占いの意図に気づく。
端末は何台もあり、四人はまだそれほど進んでいない物語を読んでから、新たな展開を考えることにした。
ある日、俺は近所を散歩していた。途中、自販機でぶどうのゼリーサイダーでも買うことにした。ボタンを押すとクジが始まる。1391だからハズレかと思ったら、もう1本ゼリーサイダーが出てきた。
「スライムゼリー?」
とりあえず飲んでると、体が水色になり、自販機吸い込まれた。気づくと辺りは草原が広がっていた。体が青いし、やっぱり異世界に来たのかな? そういえば、なぜか自販機もある。確かに、まだ中世とは限らない。だがその時、中世の格好をした四人組が通りすぎていった。そういえば、って異世界のことか。1391は無理矢理な気もするが。(黒文字)
ある日、俺は気分転換に散歩をすることにした。途中、自販機青いゼリーソーダを買った。クジが始まり、9999と揃ってファンファーレが鳴った。改めてボタンが光り、今度は青いゼリーソーダを選んだ。ゼリーソーダを振ってから飲むと、体中に力が溢れてくる。
「!」
思わず手の平を電柱に向けて言葉が出た。すると、手から水の球が電柱に向かって飛んで行き、派手に電柱を叩きつけた。しかし、よく見ると、水滴が人影を形作る様に浮いている。
「なぜ分かった……」
電柱の方から声が聞こえると水滴が人の様に、全身黒の誰かが姿を現す。
「ロミクル、相変わらず気配を消すのが下手だな」
「気配は完璧に消したはず!」
またしても、思わず言葉を発していた。ロミクルって誰なんだ。
(青文字)
投稿するたびに文字の色を変えている。
結菜が続きを投稿した。
次の日、散歩をしていると、試しに言ってみた。
「ロミクル」
「きさま!」
「そう、思い出した……」
ロミクルは闇を好む。だが、あいつが牛乳を飲んでいるのを公園で見て以来、あいつは執拗に追いかけ回るようになった。
「牛乳ぐらい、誰でも飲むだろう」
「では、なぜ追いかける」
「とりあえず、決着を付けようと思ってな」
間髪入れずミタマを飛ばした。しかし、ロミクルはどこかに消えてしまった。
「相変わらず、逃げ足の速いやつだ」
(黃文字)
承芽が投稿した。
ある日、俺は公園を散策していた。開けた空間に着くと、ロミクルが牛乳を飲んでいる。
「見られたくないのではなかったのか?」
「なぜお前の前で牛乳を飲むか分かるか?」
「さぁ」
「それは、黒の力が強まるからだ!」
ロミクルからオーラが溢れ出る。
「これは……」
「俺の体内で自らに宿る黒の力に白の力をぶつけることによって、黒の力は負けじと強くなる。そうすることで……」
「にゃぁぁぁぁぁ!!」
そこらじゅうから猫が集まり、ロミクルに飛びつく。
「こら! やめろ! まさか……」
「オーラは白いぞ、そして、牛乳臭い」
「ふっ、まだ黒の力を使いこなせていないみたいだな」
「いや、かなり使いこなせてるようだぞ、実は白の力に向いてるんじゃないか?」
「ふっ……、俺に白の力が向いてるだと?」
ロミクルはどこかに消えていった。
(赤文字)
生実が投稿した。
ある日、俺はコーヒーでも飲もうと、山鳩屋という店に来た。どうやら、自らコーヒーを作る必要があるらしい。とはいえ、コーヒーなら毎日作っているし、たまには誰かが淹れたコーヒーでもと来たのだが。とりあえず、完成したコーヒーをのんでくつろぐ。
「よう、ミズル」
「ロミクル、また勝負か」
「今日は休戦だ。俺はコーヒーが大好きでな。ここにはよく来るんだよ」
ロミクルは最後に牛乳を足す。
「俺はコーヒーで強くなる。お前はどうなんだ?」
「さあ、知らないな。それにしても、コーヒーで強くなるとは羨ましい。俺もコーヒーが好きなんだがな」
「お前は何で強くなるんだ?」
「そういえば、思い出せない……」
(緑文字)
瑞葉が投稿した。
「そうだ、確か、スライムソーダを飲んだら……強くなった、というより、元に戻ったというか……」
「それは、あれだな、ミラースライムの仕業だな。見た相手に乗り移る、厄介なスライムなんだけど、本当に存在していたとはな。最近、どこかで見たか?」
「スライムなんか、100年は見てない」
「いや、どこかで見たはずだ。まあ、注意することだな」
店を出て、一人で森を歩いていると、青い服の男が近づいてくる。
「やあ、また会ったね」
「お前がミラースライムか……」
「よく分かったね。でも大丈夫、ちょっとイタズラしただけ。もう乗り移ったりはしないよ」
「そうか、ではさらばだ」
(青文字)




