その六
五月二十六日土曜日。早朝から瑞葉の家の前に集まった四人は、天原芸術祭の会場がある隣の首都に向かった。
「ギリギリになっちゃた」
瑞葉は昨日完成したばかりの絵を携えて歩き始めた。
「まあ、事前に登録しなくても、持ち込みで何の問題も無いし」承芽
最寄り駅を降り、ちょっとした商店街に広大な自然公園があり、その一角に大きな建物がある、高さはせいぜい二階程だが、敷地面積はかなり広い。
「これなら、天原中から集まった数多の作品をまかなえられる」生実
受付を済ませ、空いてる箇所に絵を掛ける。
「題名は『羽と猫』」
「近所の伝説ね」結菜
少し大きな泉に浮いている白い羽を黒い猫が伝って猫が歩いていく様子が描かれている。猫は黒だけで、目などは描かれていない。この黒が、色鮮やかな葉と、木々の上に少し広がる青空を際立たせている。
「猫や木々とか全体的に黒いのは、逆光を強調してみたから」
「はっきりとした曖昧さが上品かな」承芽
「逆光美ね」結菜
「まあ、よく短時間でよく描けたよね」生実
四人は楽屋で休憩を取ることにした。
開場時間の九時になり、大勢の客が会場の各方面に散らばっていく。ほどなくして、四人も会場を散策することにした。多種多様な作品を吟味して、瑞葉の作品がある所に行ってみた。
「瑞葉の所、結構集まってるみたいだよ」承芽
「おお」瑞葉
四人は帰った。




