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その四
五月二十五日金曜日。瑞葉が別室で絵を描いている間、三人も太ペンで絵を描いていた。
「今日は『絵を見て一言』。ということで、私から」承芽
承芽は画用紙に描かれた、学校の屋上で昼御飯を食べている二人に一言。
「あー早く帰りたーい。てゆーか、月に帰りたーい」少女1
「え?」少女2
「急な話ね……」生実
「さらっと……」結菜
次に結菜が画用紙を見せると、公園のベンチで串団子を食べる少女の横顔が描かれている。
「…………つぶあん派」
「実際はこしあん派を主張する人が多いよね」生実
「どちらかというと、つぶあんかな」承芽
「甘味が直に来るよね。そこがいいんだけど」生実
次に生実が画用紙を見せると、一人の少女が森の中で佇んでいる。
「…………迷った」
「油断すると方向が分からなくなるよね、そこの森」承芽
瑞葉も戻ってくると、画用紙に描いてみた。画用紙を見せると、猫が丘から遠くを眺めている。
「…………暑くも寒くもない」




