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その一
五月二十二日火曜日。四人は学校から帰って瑞葉室で格闘。
「うーん、新しい絵を描こうかな」
瑞葉は気が変わった? 承芽と生実の対戦を眺めながら呟く。
「何が?」承芽
「出展する絵だーよ」
「もっと描きたい絵を思い付いたのね?」結菜
「そうそう。とりあえず、描いてみようかな」
瑞葉は隣の美術室に入り、下書きを描き始める。
「三人で出来ることといえばなんだろう?」生実
「トリオ漫才」結菜
「確かにコンビには無理ね」承芽
三人はネタを考え、戻ってきた瑞葉に披露した。
「最近は、“しなきゃです”とか“やらなきゃです”とか、感情的な言い方を記号化することが多いよね」承芽
「“です”を付けると言いやすいよね」生実
「“きゃ”で終わるとちょっと照れがあるからじゃない?」結菜
「あと、文章が最初の一字だけとか」承芽
「二人で話してみて」生実
「お」承芽
「お」結菜
「な?」承芽
「こ」結菜
「お?」承芽
「さ」結菜
「さっぱり分からんぞ。なんて言ったんだ」生実
「おはよう」承芽
「おはよう」結菜
「なに食べた?」承芽
「こめ」結菜
「おかずは?」承芽
「さば」結菜
「よく会話が成立するな……」生実
「どうだった?」承芽
「面白かったよ」瑞葉




