表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/84

その七

格ゲー大会が終わり、そのあと。

 格ゲー大会が一段落すると瑞葉が言う。

「そう言えば、あと少しで絵が完成するんだけど、描いてきていいかな」

「それならみんなで見どけよっか?」

 結菜が提案する。

「そうね」

 承芽が賛同すると、四人は隣の部屋に移動して、畳部屋に敷かれた絵の回りに座って見つめる。

「これは、瑞葉の家かな」

 結菜が訊く。

「うん、そうだよ」

 絵には、瑞葉の家と森を描いた風景画が描かれている。

 瑞葉は絵皿一枚と筆一本に、葡萄茶色の顔料が入った瓶と膠液の瓶を用意する。顔料を瓶から少し出し、膠液を数滴垂らして中指で溶いていくと岩絵の具ができあがる。中指をタオルで拭き、手を戻す。

「ふう……」

 瑞葉は一呼吸して、心を整える。

 筆を持つと、筆先に岩絵の具を取り、絵の真ん中に持っていき、ゆっくりと筆先を絵に触れさせ、上から下への動きを数回繰り返す。瑞葉は筆を置くと手を戻す。

「できた」

 瑞葉は満足そうな表情になる。

「おめでう」

 三人は口を揃えて言うと拍手をする。

「ありがとー」

 瑞葉は完成を見届けていた三人に感謝する。


「なんか完成した達成感で外に散歩でもしてみたくなっちゃった、ちょっと行ってみようよ」

 晴れ晴れとした表情で瑞葉が言うと、四人は気晴らしに散歩をすることにした。

 外に出ると四人は南に進み、木々の先の急斜面を降り、目の前の更に急斜面な階段を登っていく。

「さっきからずっと学校に行く道を進んでるわね」

 承芽が指摘する。

「そういえば……」

 生実も気づく。

 先に広がる崖に着くと、四人は道から外れて草地にの中を進んでいく。

「あ、猫さん」

 瑞葉は斜面から四匹の猫が山を登ってくるのが見えた。

「さっきの猫達みたいだね」

 生実は毛色でついさっき見かけた猫と気づく。

 猫達が近寄ってくると、瑞葉の足元にはキジトラの猫、瑞葉の左側に立つ結菜の足元には茶トラ白の猫、瑞葉の右側に立つ承芽の足元には三毛猫、結菜の左側に立つ生実の足元にはキジトラ白の猫が寄ってくる。四人は挨拶代わりに頭を軽く撫ると、猫達も四人と同じく南方向に向く。

「そうだ、写真でも撮っておこう」

 生実は小型の飛行カメラを取り出すと、光石の浮遊する力で滞空させる。飛行カメラは自動で四人の前方や後方などから撮っていく。

「猫達もお気に入りの所みたいだね」

 四人が来た道を戻っていき、瑞葉は振り返ると、猫達はずっと森を眺め続けていた。


 猫達と別れて、四人は北東にある商店街に辿り着く。

「それじゃあ、今日はこの辺りで解散でいっか」

 承芽の店の前で承芽が言う。

「それじゃあ、また明日ね」

 瑞葉はそう言いって家に帰っていった。


 瑞葉は布団の中で一日を振り返る。完成したゲームや、描き終えた絵の出来映えに満足感を覚え、猫と出会ったことも思い出す。

「次は猫を描こうかな」

一話が終わりました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ