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その七

 同人誌を売っている体育館に戻る。

「まめさん、ありがとう」承芽

「羽焼きそば買ってきたよ」瑞葉

 瑞葉が羽かまぼこが二枚載せてある焼きそばをまめさんに渡す。


「あっ、ねむい」

 焼きそばを食べたからか、結菜は眠くなって目を閉じる。

「あれ? もう夜。そして、なぜか片付いてる」

 椅子と机を一つずつ残し、体育館は真っ暗。だが、机をよくみると、一枚の紙と懐中電灯が残されている。

「結菜、起きた? それじゃあ、今から肝試しね。学校のどこかに隠れてるから見つけてね」

「ちょっと、面白そうかな……」

 体育館を出て、一年二組の教室。

「さすがに無いか……」

 中棟の第二理科室で止まる。

「ここかな」

 扉を開けて懐中電灯で理科室を見渡すが誰も居ない。

「怪しい……」

 奥に行くと、机の陰に人影。

「生実みーつけた」

「流石に早いなぁ。結菜が起きたのを確認してから隠れたのに」

 第二美術室で止まる結菜と生実。美術室に入り、結菜は教室内を探すが誰も見つからない。

「怪しい……」

 結菜はベランダに出る。

「瑞葉みーつけた」

「見つかっちゃったか……」

 次に結菜は迷わず図書室に向かう。

「承芽は図書室で本でも読んで暇を潰してそうね」

 四階の美術室から図書室に入ると、東奥に承芽が座っている。

「流石に早いなぁ。まあ、懐中電灯で本を読むのは大変だったから、早く見つけて欲しかったんだよね。四階ならもっと時間外掛かると思ったんだけど……」

「瑞葉が美術室に隠れてたから、そのまま四階から探しだしただけだよ」

「なるほど……」

 目が覚めた結菜。


 夕方。続いて、もあのオモソラの出番。

「空に想うオモソノでーす」

 もあが挨拶をする。

「坂」

 もあが歌う曲名を言うと、早いテンポの歌が始まる。

「坂を上る~、坂を上る~、坂を上る~、坂を上らないと帰れない~~……」


 七時過ぎ。即売会の片付けを終え、屋上の屋台に行ってくつろく。

「そろそろね……」

 結菜に連れられて、北棟一階の教室に向かう。

「これ、やってみたい。無人肝試し」

「わざわざ夜になるのを待ってたのね?」生実

 結菜が自由に使う空き教室に張られた紙を読む。教室に入ると誰もおらず、真ん中に机が一つだけあり、一枚だけ紙が置いてある。

「最後の一枚ってことか」承芽

「四つの印を取りに行けばばいいんだね?」瑞葉

「この鍵で箱を開けると、印と次の箱を開ける鍵が入ってるみたい」結菜

「懐中電灯もあるよ」生実

 一人ずつ懐中電灯を持って教室を出ていった。


 まずは理科室へ。

「もう、私達だけみたいね」承芽

 階段を上がって理科室に入ると箱が置いてある。最初の教室で手に入れた鍵で結菜が箱を開けると、外側が黒で内側が赤い折り紙で作られた、丸い形をした火の印と鍵が入っている。生実が取っって理科室を出る。

 ガタガタ。

「第二理科室から物音がしたんだけど……」承芽

 次は美術室。

「あった」

 生実が箱を開けると、外側が黒で内側が青の折り紙で作られた丸い形をした魂の印と鍵を瑞葉が取って美術室を出る。

 バタバタ。

「あれ? 第二美術室から足音が聞こえたような……」

 次は図書室。

「誰も居ないかな」承芽

 図書室に入ると、奥の長机に箱が置いてある。瑞葉が開ける。中には外側が黒で内側が黄色の折り紙で作られた、丸い形をした月の印と鍵が入っている。承芽が取ると次の場所に向かう。

 ペラペラ。

 図書室から出ようとした時、上の階から本のめくる音が聞こえる。

「上に誰かが居るみたい……」瑞葉

 最後は音楽室。

 承芽が箱を開けると、外側が黒で内側が紫の丸い形をした、音の印と最後の鍵を結菜が取って音楽室を出る。

 第二音楽室からピアノの音が聞こえる。

「だ、誰かが弾いてるみたい……」瑞葉

「でも、曲調はゆったりでサラッとしてる」結菜

「もう……、明かりを付けずにピアノを弾く誰いてるのは誰なんだ?」承芽

 承芽が扉をゆっくり開けると音が止まった。ピアノの奥を覗き込むと、長髪の人影が見える。そーっと近寄る。

「あら、皆さん、お揃いで」

「なんだ、まめさんか……」瑞葉

「それにしても、ピアノ上手いですね」結菜

「それほどでも」

「この曲、素敵ですよね」結菜

「なんというか、間がね」

「とりあえず、明かりを付けようか……」生実

 瑞葉が明かりを付ける。

「そういえば、第二理科室や第二美術室からも音がしたけど……」瑞葉

「私ね」

 まめさんは紙を見せる。

「確かに、私達のとは場所が違う」

「紙によって場所が違うのか」生実

 北棟一階にある最初の教室に戻り、結菜が箱を開けると、外側も内側も黒い、夜の印を取ると、結菜は箱の蓋に書かれた文を読む。

「火、魂、月、音が揃う時、真の夜が訪れる」


 帰り道。

「真の夜ってなんだ?」承芽

「あまり深く考えてもなぁ……」生実

「まめさんはどう思う?」瑞葉

「ノリね」

「ノリ?」瑞葉

「つまり、生きるとは、ノリである」

「ようは、勢いってこと?」瑞葉

「近いわね。しかし、僅かな違いでもかなりの差があると思う。勢いとか気合いとか根性とかも似た表現だけど、ノリと言った方が堅苦しさがなくて良いわね」

「音楽も肝試しもノリだね」瑞葉

「生きるとはノリである。まめ」

八話おわり。

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