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その七

帰宅。

 いつの間にな眠っていた四人が目を覚ますと、船が向かう先に川岸の公園が見える。

「もう、ここか」

 瑞葉は眠たそうな目を見開く。

 船は速度を下げ、ゆっくりと船着き場に近づいて止まる。四人は自転車を引いて船を降りる。

「ここからは、また自転車か」

 承芽はダルそうに言う」

「でも、少し眠れたから体力は回復してるでしょ?」結菜

「確かにそうだね」

 承芽は気が楽になる?

「じゃあ、もう一息、行くとするか」生実

 船着き場のある街を抜け、畑や果樹園のある道を進むと建物が増えていき。朝とは違って人通りも増えていく。一時間ほどで近所の交差点に着き、晴山町に入って緩い坂を登っていく。

「やっと着いたー」

 瑞葉は笑顔になる。

 最後の坂を登りきって四人はゆっくり走っていく。商店街に入り、瑞葉はいつもの風景がどこか懐かしく思えてくる。四人は承芽と結菜の店の裏に広がる公園に入り、ベンチに座り込む。

「疲れたー」

 承芽はテーブルに手を伸ばして突っ伏す。

「とりあえず、喉乾いた」

 生実も座り込む。

「飲み物買ってくるね」

 瑞葉は結菜と公園の入口近くにある自販機に買いに行き、適当に四本選んで戻ってくる。

「何買った?」

「レモンソーダとブドウソーダとグレープフルーツソーダとミックスソーダ」

「それじゃあ、ミックスを貰うわ」

 承芽は缶を開けて一気に半分飲む。

「私はグレープフルーツ」

 承芽も一気に半分飲む。

 結菜はブドウソーダを選び、瑞葉は残りのレモンソーダの缶を開ける。

「次は電車で行こう」承芽

「のんびりと観光して回ってる場合ではなかったからね」生実

「明日からまた学校が始まるし、とりあえず今日は解散にする?」

「そうだね、お腹空いちゃった」瑞葉

 瑞葉は三人と別れ、公園を出ていった。


 瑞葉は風呂から上がり、静葉から貰った惣菜の入ったタッパーを並べると、ポテトサラダ炊きたての米と一緒に食べ始める。

「全然足りないなぁ」

 瑞葉はポテトサラダを食べきり、マカロニサラダも全て食べ、暖めておいた鰆の煮付けも食べきる。まだ足りない瑞葉が米を昨日買った味海苔と一緒に食べる。

「甘い物も食べたいなぁ」

 瑞葉がみたらし団子を持ってきて、麦茶と一緒に食べていると呼び鈴が鳴る。

「誰だろう。みんなは疲れてるだろうし、静葉さんかなぁ」

 扉を開けると、母親の鈴葉と父親の響人が立っていた。

「あっ、お帰りー」

「ただいまー」

 鈴葉は笑顔で返す。

「早かったんじゃない?」

「まぁ、飽きちゃった」

 響人は少し冴えない表情で答える。

 三人は家に入っていった。

「ご飯はどうしてた?」鈴葉

「静葉さんがいっぱい持ってきてくれたから、なんとかなってるよ。食べてみて」

 瑞葉が冷蔵庫からポテトサラダが入ったタッパーを持ってくると、二人も食べる。

「で、この梨味海苔って、美味いのか?」

 響人は置いてある瓶が気になる。

「私は美味しかったけど」

 響人は箸で摘まんで食べてみる。

「意外と美味いじゃん。それじゃ、俺はさっきからゲームがやりたくて仕方がないから」

 そう言って、響人は二階に上がっていった。


「よし、これだ」

 響人は(ばけ)のカセットをゲーム機に差し込む。電源を入れると、タイトル画面に化の文字が映し出され、ボタンを押すと縦スクロールのアクションシューティングが始まる。化弾という特殊な弾を発射する、銃口の無い化銃で妖怪を倒していくが、妖怪には表属性と裏属性があり、表妖怪と裏妖怪が存在する。裏妖怪は、動きは遅いが弾攻撃を得意。通常の化弾が効かない裏妖怪は化銃を振り回して倒していく。

 途中で化屋に寄り、妖怪を倒して貯めた化コインで化弾の属性を表属性から裏属性に変える。これによって、裏妖怪は化弾で倒せるようになったが、表妖怪は化弾か効かなくなった。また化屋に入る。化弾も強化できるが、化銃を強化して、表妖怪対策を強化する。ステージの最後に登場するボスにはどちらの属性も効く。

 妖怪の攻撃を受けると、化コインが減っていく。化コインが無くなるとゲームオーバーになる。


 鈴葉は米に梨味海苔を付けて食べてみる。

「他にも色々あるよ。ほら、このメロンとか」

 鈴葉は他の味海苔も食べてみる。

「この一週間はどうだった?」

「色々あったよ。完成したゲームを発売したり、結菜と承芽と生実で青原と光原と彩原と、今日は自転車で鳥原と朝宮に行った」

「自転車で? それはそれは……」

「天川沿いから行ったんだけど、アシストがあるし、思ってたほどでもなかったよ、帰りは遊覧船だったし。そういえば、青原には寄った?」

「寄ったよ。畑の中を車で移動したりね。四日だったかな」

「私達もその日に青原にいたんだよ」

「そうなんだ」

「で、次の日には格闘ゲームを発売したんだけど、やったことある?」

「まだやってないよ」

「じゃあ、今から対戦しようよ」

 二人は二階に上がっていった。


「ん?」

 昔のゲームをやっている響人が振り向く。

「友達が作った格闘ゲームで対戦しよう」

 準備をして電源を入れる。

「アマネシホシ、面白そうね」

「じゃあ、二人で対戦してみて」

 操作キャラの選択画面に移り、響人と鈴葉はキャラを選ぶ。

「じゃあ、タチエにしてみようかな」

 鈴葉は地の民対タチエを選ぶ。

「じゃあ、タチル」

 響人は地の民のタチルを選ぶ。

「二人供、地の民だね」

「地の民?」響人

「タチエは地下の世界に住んでる人達の女王で、タチエとタチルは仲が良いのね。でも、タチルはゲームばかりしてタチエはあまり相手にしてくれないから、タチルから話しかけても、タチエは怒って相手にしないんだけど、タチルは気にしないでいるからタチエは余計に怒っちゃうわけ。これに技が書いてあるから、確認してね」

「タチル、暇なんでしょ?」

 そう言って、岩を飛ばす。

「暇ではないけどな」

 タチルは砂で壁を作り 、飛んできた岩を防ぐ。

 演出後に対戦が始まり、タチエは地の岩を飛ばしで攻撃し、タチルは砂壁で岩を防ぎ、地の巻きと地の長巻き、地の噴き刺しを試しながら反撃する。

「タチルは地の砂壁でがあるから守りが得意で、ゲージを使って強化すれば跳ね返せるよ」

 タチルは地の砂波を放ち、砂が地面を這っていく。しかし、タチエは前方に跳んで避け、空中で地の岩投げで地面から斜め上に岩を飛ばす。

「げっ」

「地の砂波は速度が速いから便利だけど、低空だから反撃を受ける可能性もあるから、連発は危険だよ」

 タチルも前方に跳びつつ、地の砂波を当てる。

「地の砂波は下段攻撃だから、しゃがんで防御ね」

 タチルは着地で地の噴き上げを当て、タチエも地の噴き岩で垂直に岩を飛ばす。タチルの体力が25%を割り、タチルの黄色いマントが外れる。

「マントが外れると攻撃力が少し上がるけど、防御力が少し下がるよ」

「防御力が下がるのか」

「先に入力しておけば、マントが外れないように死守してくれるよ」

 タチエもマントが外れ、最後の攻防を繰り広げると、最後はタチエの地の岩波で無数の岩を出現させてから前方に飛ばして一本取る。

「やっぱり鈴葉は強いな」

「ふふ」

 ニ本目が始まり、お互い動きに磨きがかかる。タチルは体力が25%を割ると、攻撃を受けつつマントが外れないような動きをする。

「守り重視だ」

「マントがそのままだと、防御力が少し上がるよ」

「そうだったか」

 タチルは守りへの意識が高まり、タチエの攻撃を防いでいくと、最後は地の噴き飲みで一本取る。

「よし、追い付いた」

 三本目が始まると、タチルはすぐにマントを取って攻撃力を上げ、タチルが主導権を握って体力で優位に立つち、奥の手、地の竜巻でタチエの体力を25%以下にする。すると、タチエの守りは外れず、ゲージが100%になり、体力も少し回復する。

「え?」

「この場合、防御力はそのままの変わりに、二つのゲージが100%になるの。ゲージの回復量によって、体力も回復するよ」

「そ、そうなんだ」

 響人は動揺し、攻撃の手が止まる。タチエは隙を見見て、攻撃し、最後は地の岩雨で三本目を取った。

「地の岩雨は当て易いから便利だよね」

 次に、瑞葉のアヤメと鈴葉のタチエが対戦し、タチエが一本取ってアヤメが追い付くが三本目はタチエが取った。次に、瑞葉のアヤメと響人のタチルが対戦し、アヤメが一本取ってタチルが追い付くが、三本目はアヤメが取った。

「君達、上手すぎだろ……」

「みんなは私より上手いよ」

「俺も上手い方なのに。まあ、力差があるよりはマシだけどな。さて、化をまたやるか」

 響人と鈴葉は協力して攻略していき、難なくクリアーした。

「息ぴったりだよね」

「長年やってるからね。やっぱり昔のゲームの方が好みだな」

「まあ、言いたいことは分かるけど、最近のも面白いよ」

「そうなんだけど、こればかりはしょうがない。それじゃあ、少しやり方を変えてまたやるか」

「私はご飯の途中だったから、下に戻るね」

 瑞葉は階段を降りていった。

「アマネシホシ、なかなか面白いじゃん」

「瑞葉の友達が作ったんだって」

「ええ? どういうことだよ。同じ次元の人間とは思えないな……」

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