その六
遊覧船で帰ることになり……。
乗船してからほどなくして、遊覧船が動き出したした。
「まあ、帰りは遊覧船があるから、朝宮に行こうと思ったんだよね」承芽
「私も遊覧船はがあるのは知ってたから、帰りは乗ると思ってたけど」結菜
「私は知らなかったから、帰りも自転車だと思ってた、てんてんてん」瑞葉
「身をもって公共の交通機関の有り難みを感じたよね」生実
「とにかく走り続けたから、なんか眠くなってきちゃった」瑞葉
四人はベンチに座って景色を眺めていたが、疲労で眠ってしまった。
「さあ皆さん、お待たせしました。これより、朝宮発明会優秀賞に選ばれた皆さんに、作品を発表してもらいましょう」
男性の発明家が現れる。
「私が開発したのは、天気交換」
スクリーンに装置が映し出されると、会場がざわめく。
「なんと、この天気交換装置を使うことで、雨の日でもこれから来る晴れの日と交換できるのです」
会場が一気に騒がしくなる。
「例えば、今日は晴れですが、この装置を使うことで、来週降る雨を降らせることができます
スクリーンに青空が映し出される。
「これは現在の天気です。雲一つない青空が広がっていますね。それでは、この装置を使ってみましょう。雨量を設定し、ボタンを押します」
発明家がボタンを押すと、辺りに雨雲が現れ、雨が降りだした。
客席から歓声が上がる。
「もう一度押すと……」
ボタンを押すと青空に戻った。
「凄いな、どういう仕組みなんだ?」承芽
「休日がいつも晴れになるね」瑞葉
「私は、雨の休日も好きなんだけどな。むしろ、慌ただしい平日の雨の方が大変だと思うし」結菜
客席には瑞葉、結菜、承芽もいる。
「いやぁ、凄いですねぇ。これがあれば、遠足の日も雨を心配する必要がなくなりますね。それでは、次の作品に参りましょう。
男性が現れる。
「僕の発明は、どこまでも坂道ー」
会場がざわめく。
「僕か住んでいる所は坂道が多くて、本当にこりごりなんです。そこで坂に対する積年の思いを込めて作ったのが、この装置です」
男性は用意された普通の自転車に乗る。
「この自転車にはどこまでも坂道が搭載されております」
ボタンを押すと、自転車は漕がなくても勝手に進みだした。もう一度ボタンを押すと自転車が止まる。
「どうやったのかというと、重力の方向を変えたんです。坂道にしたいなら、前方に重力を向かわせる。坂道にしたいなら、重力を後方に向かわせる」
「おおお、こんなのを待ってたんだよ!」承芽
「これで坂に悩まされることが無くなるね」瑞葉
「私は自転車を押して登り坂を登る短い間の時間が好きなんだけどな」結菜
「僕は自転車が好きで、よく坂のない川沿いや海岸沿い、それに広大な天原平野道をよく走ります。自転車仲間には坂の無い所に住んでいる者も多いのですが、そいつはなんと、坂が好きなんだそうです。しかもあろうことか、特に登り坂が大好きだとか。もう、呆れて返す言葉もありません」
「この発明も凄いですねぇ。きっと毎日の買い物が楽しくなることでしょう。続いては最後の作品です」
次々に夢のような発明が発表され、最後の作品を残すのみとなり、生実が台を押して登場する。
「生実だ!」瑞葉
「私達にも秘密にしてたからね」承芽
瑞葉と
「私が考えたのは、無限詰め詰め!」
そう言って、作品を隠していた赤い布を引くと、30センチほどの箱が現れる。
客席がざわめく。
「なんと、この箱は無限に物を収納することができるのです」
「一見地味だけど、日常生活で一番困るのは収納かも」
「これがあれば、漫画に埋もれる心配が無くなるね」瑞葉
「確かに、助かるかも……」結菜
全ての発表を終え、大賞を発表する準備が整う。
女性が封を開け、受賞者と発明品が記された紙を読み上げる。
「朝宮発明賞大賞は、稗田生実さんが発明された、無限詰め詰めす!」
「生実が大賞だよ!」瑞葉
「他の発明と比べると地味かもしれないけど、こんなのが欲しかったという願いに答えたのが大きかったってことね」承芽
生実は記念のトロフィーを受け取ると、客席の三人に笑顔で手を振った。




