その五
発明家の家にお邪魔中。
自宅に戻り、居間で雑談をしていると、玄関から物音が聞こえてくる。
「帰って来たみたい」光織
「あれ? お友達かな?」
「こんにちは」
「光助に会いに来たんだって」
「お、俺? そ、そりゃ、どうも」
「私は稗田生実というんですが、私も色々と作っていまして……」
「ええ? あ、あのヒエダの娘さんですか……。これはこれは、よく来てくれました」
「生実は飛行機大会で優勝したんだよ」光織
「ああ、あれ、生実さんでしたか。最後は凄かったよね。もしかして、生実が設計したのかな?」
「はい、私が作りました」
「そりゃすごいな。何年生かな?」
「私たちも中一です」承芽
「いやぁ、近頃の子は みんなすごいなぁ……」
「光織はなんか作ってるの?」生実
「私は……特にないかな。手伝うくらい」
「実は、私は立絃さんの建築物にとても感銘を受けまして、一応、裏の社屋もその影響で設計したんですよ。それほど奇抜でもないけど……」
「まあ、立絃の設計もそこまで奇抜ではないですけどね。立絃の設計は基本的に、奇抜過ぎず、街に溶け込める建物を目指してるんで」生実
「新しさと普遍性だね」承芽
「まあそうだけど、新しさは二の次かも。新しいところがあっても、どこか馴染みのある設計かな」
「実は、立絃さんの建物にとても感銘を受けまして、一応、裏の社屋は立絃の設計が影響してると思うんだけど、見たかな?」
「さっき中も見させてもらいました」生実
「昔からありそうな馴染みのある建物ですよね」瑞葉
「それは最高の褒め言葉だね」光助
「そうだ、三時から試合でしょ? 今まで何してたんだよ」光織
「そうだった。ちょっと気晴らしに散歩してただけ。それじゃあ、行ってくるわ」
「みんなも観に来る? 関係者の特等席があるから、今からでも入れるよ」
「ほんと? そりゃ、もちろん行くよ」承芽
車に乗り、競技場に向かう。
「準備はしてあるから、あとは競技場に行くだけ」
助手席に座る光織が言う。
「いやぁ、最近はロボットばかりで。特にサッカーロボットね。実はかなり自信があるんだよ。本気で優勝を狙えるとおもってるよ」
運転をしながら光助が言う。
「さすがは大企業ですね。何体も高性能なロボットを作るんだから、開発には結構な動員数が必要なんじゃないですか?」生実
「いやいや、開発はほとんど僕と光織だよ。しかも、光織の頭脳がとても役に立っていてね。半分以上は光織のおかげかな」
「それは凄いじゃない、光織」承芽
「まあ、楽しみにしてて」
競技場に着くと二人と別れ、四人は個室の特等席に案内される。見渡すと、満員の観客で賑わっている。
「お、光織と光助さんが出てきた」承芽
「ロボットでサッカーか、凄い時だよねぇ」瑞葉
ロボットの選手は様々な動きをして、動作確認をしている。一旦控え室に戻ってから選手が並んで入場し、一例に整列する。次に集合写真を撮り、選手がフィールドに散らばっていく。
他にチームがいないため、ヒロハラが自動的に地元の葉瀬県代表として、隣の県の石沢チームとの試合が始まる。
試合は、葉瀬県選手の速攻で走り回る展開が続き、特に空中からのパスが活かされ、11対7で葉瀬県が準々決勝に進んだ。
「凄い数の得点が入ったね」瑞葉
「人間も上手くなれば、このぐらいのゴールが当たり前になるかもしれないよ」承芽
フィールドから手を振る光織に手を振って答える。
競技場の外で光織と落ち合う。
「おめでとう。凄い試合だったね」生実
「ありがとう」光織
車に乗って家に戻る。
「次の試合を楽しみにしてるよ」承芽
「まあ、期待していてください」光助
「そういえば、帰りも自転車で?」
「いやいや、かなり大変だったから、帰りは遊覧船で」瑞葉
「そっか。じゃあ、船着き場まで車で送ってあげるよ」光助
今度は和子の運転で船着き場に向かった。自転車は別の車に載せて光助が運転することになった。
「異次元に収納すれば運搬も楽なんだけどね」和子
「まあ、光助は自分で運びたいだろうけどね」光織
「それにしても凄いな、自転車で来るとは。私も考えなくもないけど」
「電車がありがたく思えてくるよ」瑞葉
「なるほどね」
船着き場に到着。
「今日はありがとうございました」生実
「次の試合も頑張ってね」承芽
「色々とお世話になりました」結菜
「これからも色んな発明を作ってくださいね」瑞葉
「うん、私も何か新しい物を作ってみるよ」光織
「わざわざ会いに来てくれてありがとうね」光助
「また会えるその日を楽しみにしているぞ」和子
四人は自転車を引きながら遊覧船に乗船した。




