その五
羽橋駅に戻った四人、次はどこへ。
電車が羽橋駅に着くと南口に出て、猫の被り物を脱いで向かい合う。
「夕方だけどまだ明るいし、どっか行ってみる?」
承芽が尋ねる。
「じゃあ、海に行こうか」
瑞葉の提案で海に行くことにした。
南にある海岸へ歩いていくと、高い建物は見なくなっていく。一キロ以上歩いたところで海岸に入り、広い草地が奥まで続き、その先に海が見える。
「あっ、船」
海を眺めていると、瑞葉が東の小さな入江から出ていく小さな船に気づく。
「日の入りはまだ早いかな」
承芽は空を見上げて言う。
「この時期の日の入りは北西だから海には沈まないって」
生実が答える。
「あそっか……」
承芽は北西に振り替えると、西側一面に広がる広大な森林公園の上に太陽が見える。
「そろそろ夕飯だねぇ」
結菜が海を見ながら言う。
「なんか急にお腹が空いてきたかも」
生実は空腹に気付く。
「結局今日は、食事らしき食事をせずに歩き続けたからねぇ」
承芽は一日を振り替える。
「そうだ、おかず不足に備えて海苔煮を買おう」
瑞葉は、ご飯に付けて食べる手軽な食材を思い付く。
「それなら、近くにそういう食材を売ってる店があったははずだけど」
承芽が思い出すと四人は海岸を出て、海岸の向かいにある海産物を扱う店に入ると、地元で水揚げされた海産物を中心に多くの食材が並び、多くの客で賑わっている。
「とりあえず、海苔煮を探してみよう」
瑞葉は目的の食材を探しだす。
「羽橋市は海苔も名物だよね」
生実は見回しながら言う。
「ほらあった」
承芽が指差す棚には様々な味煮が並んでいる。
「えっと、じゃあ、一つずつ……」
瑞葉は定番の味と、梅、椎茸、昆布、柚子、赤辛子、梨、桃、メロンをカゴに入れる。
「メロンとかもあるのね……」
承芽は驚いて呟く。
「変わり種か、こういうのは思ったより味が控えめで期待外れだったりするんじゃない?」
結菜はそう言って梨とメロンの味煮を手に取る。
「物によると思うけど、これは見た感じだと濃いめかな」
瑞葉は瓶の中を見てみる。
「私も買ってみよう」
生実も梨とメロン味の味煮を手に取る。
「……まあ、こういう変わった味を食べた方が、いつもの味の良さが改めて分かるってもんよね」
承芽も梨味とメロン味を手に取る。
店を出で四人は駅に向かう。
「帰ったらさっそく試してみなくちゃ」
瑞葉は嬉しそうに歩いていく。
「海苔煮もいいけど、ちゃんとしたおかずはどうするの?」
結菜が聞く。
「コンビニの弁当やスーパーの惣菜で良かったんだけど、昨日、帰ったあとに静葉さんがいっぱいおかずを持ってきてくれたのね」
駅に着き、構内にある階段を登った先の階段を登ると、上と下に青い線が入った白い電車が止まっている。四人は電車に乗ると。三人席に四人で座って発進を待った。
電車に乗って帰ることに。




