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その四

彩重町へ。

 彩原の名所である彩重町(あやえまち)に行くことになり、四人は大通りに戻ると、大通りの先に階層都市の彩重町が見える。大通りを北に進むと、一キロ四方ある八階建ての彩重町の目の前に着く。

「大きい!」

 瑞葉は彩重町の全長に驚く。

「これは壮観だね」

 承芽は彩重町の全長に驚く。

「一見すると商業施設に見えるけど、これは階層都市であって、階ごとに一丁目から八丁目まであるの」

「人が住んでる陸地は少ないから土地を有効活用しようとしたんだね」

 結菜も感心する。

 四人は二車線ほど幅がある真ん中の道路から中に入っていく。一階の道は全て普通の道路だが、車は入ることはできない。


「おっ、ソフトクリーム売ってる」

 真ん中の大通りを進んで行くと、承芽がアイスクリーム屋を見つける。店に近寄ると、瑞葉は店頭のショーケースを覗き込む。

「あれ? ソフトクリームが並んでる」

 とりあえず、瑞葉はバニラ、結菜はコーヒー、承芽はチョコレート、生実は抹茶を注文すると、店員はショーケースからソフトクリームをトングで取り出す。

 瑞葉は受け取るとよく見てみる。

「ソフトクリームの形をした焼き菓子みたい」


 彩重町の北端に着き、二階に上がって少し狭くなった道を歩いていくと、様々な通信の部品を扱う店を見つける。

「ちょっと寄っていくね」

 生実が店に入っていくと、光石が並ぶ棚でじっくり探し始める。

「これを買おっかな」

 生実はを手に取る。

「なにそれ」

 承芽が尋ねる。

「まぁ、送受信に特化した光石だね」

 買うとまた適当に歩き始め、三階に上がっていった。


 三階に上がり、また練り歩いていく。

「おおっ、あれは」

 承芽はアニメ関連の玩具を揃える店の前で一つの商品に目が止まる。

「まかせてマ組に登場するコマ!」

「あのアニメね。子供から大人まで大人気だよね。アニメ情報誌の表紙も飾ったよね」

 結菜も好きなアニメで、主人公達が暇な時によく遊ぶコマと同じ柄のコマが売ってる。

「コマったトキはマカせとけ! でしょ?」

 瑞葉は決めセリフを真似る。

「このコマは大人気で、どの店も完売らしいね」

 生実も好きなアニメ。

「今買わないと次いつ出会えるか分からないから買っておこう。ちょうど四種類が一つずつあるよ」

 四人でコマを買うことになり、承芽は主人公マクルの赤いコマ、生実はマワルの緑のコマ、瑞葉はオクルの青いコマ、結菜はクルミの黄色いコマを選んだ。店を出てまた歩き出す。

「フィギアも大人気だよね。ドリルみたいに回って根こそぎ闇の埃を振り払うマクルのコマ形態良いよね」

 承芽のお気に入りキャラはマクル。

「良いよね、あのコマというかドリルというか、頭から突っ込んでいくところとか。もちろん、マワルの扇風形態も良いけどね。マワルは空中戦がカッコいいよね」

 瑞葉は自分が買ったオクルの良さも語る。

「マワルの歯車形態も、無骨で重装甲なところがカッコいいよね。でも、ああ見えて相手の動きを止めたりして頭脳派なんだよねぇ」

 生実はマワルのカッコ良さを語る。

「クルミは料理担当だけど、コマ対決なら負けない三人に負けないんだよねぇ。いつも胡麻すってるのが効いてるのかな」

 結菜はクルミが四人の中でコマ回しが一番得意なところを挙げる。四人は店を出ると、また適当に歩いていく。

「お店が分かりづらい所にあるからまだ残ってたのかもね」

 瑞葉はたまたま見つけて買えて喜ぶ。


 四人は四階に上がり、あまり広くない道の中を歩くいていく。

「ここにもアニメの店がある。また珍しいのがあるかもしれないよ」

 瑞葉はアニメの商品を扱う店を見つける。

「よし、探してみるか」

 承芽が言うと、店に入っていく。

「おお、あれは、かがみをとおるに登場する天の御鏡を型どった置き鏡!」

 店内を見て回っていると、承芽が声を出して驚く。

「みんな、ちょっと来て」

 承芽はみんなを呼ぶ。

「これは転送装置の鏡だね。凄く人気があって、どの店も完売らしいよ」

 結菜が説明する。

「名声を巡って人形ロボットが宇宙で鬼ごっこをするんだよね」

 瑞葉も好きなアニメ。

「巨大な鏡を伝っての瞬間移動が大きな鍵を握ってるんだよ」

 生実はなぜかという言葉に反応する。

「千里の思い描いた想像が、未来に大きな影響を与えてるのが特徴ね」

 結菜が言う。

 かがみをとおるは宇宙を舞台にした鬼ごっこで、全く別の場所に移動することができる特殊な鏡が重要な存在として活用されている。

「色んな競い合いがあるけど、元はなんてことない遊びだったりするもんね」

 瑞葉が言う。

 かがみをとおるの世界は、科学が発展した未来の時代だが、古代に土器作りが好きな女の子の千里が隠れんぼの最中に鏡を見つけたことで、未来に大きく影響を与えている。鏡から女の声が聞こえてくると、千里に願いを問いて未来を託す。そして千里は、あらゆる願いの一つに、鬼ごっこを願った。

「子供が外で遊ぶとしたら、どこでも遊べて道具も要らない隠れんぼか鬼ごっこが定番だもんね」

 瑞葉は女の子の願いに納得する。

「それにしても、千里は飛行機や人型ロボットが飛び交う世界まで想像しちゃうんだから凄いよね」

 生実は少女の想像力に感心する。

「神様に認められたくらいだからね」

 瑞葉が答える。

「ちょうど四つある、もちろん買おう」

 承芽は迷わず言うと、四人で買うことにした。


 四人は五階に上がって練り歩いていく。

「またアニメの店があるよ」

 瑞葉がアニメの店を見つけ、四人は店に入っていく。

「あっ、コロニーお越しに登場するマコロニのストラップ」

 生実はアニメに登場する、コロニーの形をマカロニにしたマコロニのストラップを見つける。

「地球の人口が減っちゃって、宇宙コロニーに住む人々が地球に帰って過疎化が進んでるから、かつての活気を取り戻そうとするんだよね」

 瑞葉は説明する。

「私はこれにしよう。外側と内側の円の間を四角く区分けしてる、工業コロニーの筒型マコロニ」

 瑞葉は筒型マコロニを選ぶ。

「私は食物や植物を育てている、農業コロニーの丸型マコロニ」

 結菜は丸型マコロニを選ぶ。

「私はショッピングモールや遊園地などの大型商業施設のために建てられた、輪型マコロニ」

 承芽は輪型マコロニを選ぶ。

「私は平たい居住コロニーの平型マコロニ」

 生実は丸くて平たい平型マコロニを選ぶ。

 買うと四人は店を出て歩いていく。

「マコロニストラップもなかなかの売れ行きみたいだね」

 瑞葉は買えて満足気に言う。

「コロニーお越しは、特に食品のマコロニの売れ行きが凄いみたいだね。ちょっと前までは沢山あったけど、最近は見かけないよね」

 生実はマコロニの売れ行き事情を言う。

「沢山並んでるのを見ると誰も買わないのかなって思うけど、たまたま並び始めた時期だっただけで、ちょっと経つと品切れになってたりするよね。やっぱり気になったら迷わず買うべきだよ」

 承芽は買い物の心得を言う。


 四人は六階に上がって練り歩いていく。

「猫の店だ」

 瑞葉は色んな猫グッズを揃える店を見つける。

「そういえば、今日は猫の日だった」

 承芽は猫の日だったことに気づく。

 四人は店の中に入って見て回る。

「色々あるねぇ」

 瑞葉は見て回る。指す棚に三人が目を向けると、畳まれた猫の被り物が並んでいる。

「ちょっとお腹空いたから、この猫ビスケットを買ってくる」

 そう言って承芽は四袋持ってレジに向かう。店を出ると近くのベンチに向かい、承芽から瑞葉に普通の味、結菜にコーヒー味、生実に牛乳味を渡し、承芽の手元にはチョコレート味が残る。袋を開けると、猫の顔や、様々な姿勢をしたビスケットが沢山入っている。

 四人は黙々と食べ続ける。

「さっき少し食べただけだから足りないかも」

 承芽は百グラムあるビスケットを次々と口に運んでいくとあっという間に全て食べ終わる。

「私も食べられそうかな」

 結菜のビスケットも残り少なくなっていく。

「もう昼御飯ってことでいいや」

 生実もそろそれ食べきる

「ずっと歩いていたからね」

 瑞葉も手が止まらない。

 四人共ビスケットを全て食べるとまた歩き始める。


 四人は七階に上がって練り歩いていく。

「ここにもアニメの店があるよ」

 瑞葉がアニメの店を見つけると、四人は店に入っていく。

「これは、時のもぐり旅で主人公が身に付けている時の首飾り!」

 承芽が見つけると三人が集まってくる。

「時間を巻き戻して色んな時代を旅して、歴史上の人物にまつわるちょっと嫌な出来事を無かった事にするために手助けするんだよね」

 瑞葉が言う。

「いわゆるタイムスリップ物なんだけど、次元は一つだけで同時にいくつかの次元は存在することはないんだよね」

 結菜も設定を言う。

「主人公がいる世界は一番先の未来で、その次元より先の未来には行けないけど、過去なら行くことができるわけよ」

 承芽が捕捉する。

「この時の首飾りは色んな機能があるよね。さすがにタイムスリップは無理だけど、照らしたり、電気コンロにしたり、地図とかは再現できるみたいだし、これも買っちゃおうか?」

 生実が勧める。

「もちろん。これもすぐ売り切れそうだからね」

 四人は時の首飾りを買った。


 四人は八階に上がって練り歩いていく。

「中古ゲームの店があるよ」

 瑞葉が中古ゲームの店を見つけると、四人は店の中に入っていく。

「良いのが色々あるねぇ。あぁ、なんか買いたくなってきた……ほら、これとか、灯の星」

「承芽は全てのソフト持ってるでし」

 生実は承芽の衝動買いを止めようとする。

 瑞葉と結菜は中古ソフトの棚から離れて、関連商品が並ぶ棚を見てみる。

「色々あるね、ほら、灯の星のもある。ソフトと連動して、攻略地点を線で結んでいくみたい」

 瑞葉は手に取る。

「画面上でも確認はできるけど、これならいつでも確認できるね」

 結菜も一つ取る。

「闇の勢力によって失われた、あらゆる動力の源である光石の力を復活させていくんだよね」

 瑞葉が説明する。

「うん。ステージ中、闇の力が乗り移って闇の石になってしまった光石に光球を当てると、光の力が復活して戻っていくんだけど、放って進めていくと別のエンディングになるんだよね」

「なにそれ!」

 瑞葉は結菜の言葉を遮る。

「えっ、知らなかったの?」

 結菜は意外そうな表情で反応する。

「いやいや、普通は放っておくという発想に至らないでしょ……」

「そうかなぁ……。でも、私の場合は放っておくというより、攻撃しないでどこまで行けるか試しにやってみただけだけどね」

「確かに、ゲーム性より物語性を意識してたかかな……」

 瑞葉は思い起こしてみる。

「なんか面白いのでも見つけた?」

「これ」

 承芽が覗き込んでくると、結菜が盤を見せる。

「あれ? これは確か、灯の星の地図じゃない?」

 承芽は盤を見てすぐ気づく。

「今時は画面にするところだろうけど、立体的な地図に点灯と線で表すのは凝ってるなぁ」

 生実は手の込んだ作りに感心する。

「じゃあ、これも買おっか?」

 承芽と生実も一つ取り、レジに向かっていった。


「さて、次はどうしよっか」

 承芽が尋ねる。

「屋上もあるんじゃない」

 生実が提案すると、屋上に上がっていった。


 扉を開けて屋上に出ると、広い空間が視界に広がる。

「なんか学校の屋上に似てるね」

 瑞葉は中学校の屋上を面白い思い起こす。

「大きな違いは中庭がないくらいかな」

 生実が屋上を見渡して言うと、ひとまず歩いていく。いたるところに置かれたベンチでは、屋上の売店で買った食べ物を食べたり、買った商品をテーブルに広げたりして談笑する姿を多く見かける。

「ねえねえ」

 後ろから瑞葉の声が聞こえて三人が振り替える。

「うわっ」

 承芽が威勢よく驚く。振り替えると、瑞葉が猫の被り物を被っている。

「さっきの店か、いつの間に……」

 生実は瑞葉の行動力に驚く。

「みんなのもあるよ」

 瑞葉は折り畳まれた猫の被り物を取り出すと、先日名付けた猫と同じ柄を、名付け親に渡す。

「いいねぇ、これ」

 承芽は猫の被り物を気に入る。

「思ったより視野が広いよね」

 生実は機能性も気に入る。

「なんか猫になった気分」

 結菜も気に入る。

「でしょ」

 喜ぶ三人に大満足の瑞葉。

 四人はベンチに並んで座り、休憩を取ることにした。


 四人はずっと空を眺め続ける。

「あれ? いつの間にか猫だらけだよ」

 時を忘れて空を眺めていた瑞葉はふと辺りを見渡すと、四人が被っている猫の被り物以外の柄も色々いる。

「あそこの屋台でも売ってるみたいだよ」

 生実が指す方向にある屋台に列が伸びている。


 四人は猫の被り物を身につけたまま彩重町を出ると、南にある彩原駅に通じる大通りを進み、途中から最上階まで階段状の建物の二階に上がってベンチが並ぶ外側を歩いていく。

「みんな被ってるね」

 瑞葉は自分達以外にも猫の被り物を多く見かける。四人はそのまま電車に乗って羽橋駅に帰っていった。

羽橋へ。

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