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その六

飛行機競争となんでもあり競争に参加中。

 いつの間にか眠っていた承芽は、腕輪から鳴る音で目が覚める。

「時間か……」

 承芽は急いでテントを出ると勢い良く走り出す。一キロ先でまた札が散らばっている。承芽は一枚取る。

「『ウキタマで進む』だ!」

 承芽は隣の大きなテントに入り、急いでウキタマに乗り込む。地上から少し浮き上がり、自動操縦で外に出ると手動に切り替えて一気に加速させる。西に進んだ所で小高い崖が見えてくる。

「回り込むか」

 承芽は進路を右方向に変え、なだらかな坂を登ってから南に進んでいく。次々と選手を抜き去ると、瑞葉と結菜に追い付く。

「瑞葉、まだいたの?」

 承芽は瑞葉の右側に並んで声をかける。

「承芽!」

 瑞葉はいきなり承芽が現れて驚く。

「承芽もウキタマを引いたのね」

「まあね」

 結菜の言葉に余裕の表で答える。

「せっかくソラタマを引いたんだし、一位になっちゃえばいいじゃん」

 承芽は瑞葉を先に行かせようとする。

「そうね、観客もそれを望んでるはず。珍しくソラタマが引かれたのに、一位じゃないのは格好がつかないでしょ?」

「そっか。じゃあ、先に行ってるね」

 瑞葉は高度を上げて、勾配が続く緑原西部を南下していった。

「さて、私達もここからは本気で行こうか」

「そうね」

 結菜は前方を見たま答える。二人はウキタマを一気に加速させた。


「早くもソラタマが戻ってきました!」

 瑞葉は五十メートルの高度を全速力で飛んでくると、大歓声で迎えられてゴールした。

「まさか私が優勝するとはね」

 瑞葉は全く予想してなかった結果に苦笑いをする。

「さて、結菜と承芽、どっちが先に来るかな」

 ソラタマを降りて待っていると、ウキタマが一台見えてくる。

「あれは……承芽!」

「そして早くも、ウキタマも戻って来ました! 更にその後ろからもウキタマが迫ってきます!」

 承芽がゴールして、すぐに結菜もゴールする。承芽がウキタマから降りると瑞葉が駆け寄ってくる。

「おつかれ承芽」

「優勝おめでとう瑞葉」

 結菜もゴールすると、二人のもとに行く。

「承芽の選んだ道の方が早回りだったみたいね」

 そう言って結菜はウキタマから降りる。

「どゆこと?」

 瑞葉は差がついた訳を尋ねる。

「私は最短だけど勾配が続く道を上がったり下ったりしながら進んだの」

 結菜はたどった道を説明する。

「私は大きく回り込む道を選んだんだけど、平坦な道が続いたから、それが差をつける要因になったわけね」

 三人は選手が使う控えの空間に入っていった。


 生実は自動操縦を手動に切り替えると、両脇の操縦棍を握る。

「もう、気合いしかない」

 左手が握る速度棍を一番奥まで押し込むと、ソラタマが出せる最高速度に達する。生実が目を閉じて意識を集中すると、ソラタマが出せる最高速度を越えていく。

「いいぞ、もっと速く!」

 ソラタマの速度はどんどん上がっていき、機体を次々に追い抜いていく。

「なんと! いきなり現れた一機があっという間に追い抜いていきます!」

「生実だ!」

 瑞葉は観客席の前に設置された大画面を観ていると、いきなり生実のソラタマが映って声を上げる。

「あれ、あんなに速かったのか」

 承芽はソラタマの速度に驚く。

 実況の興奮した声と共に、大歓声が会場に響く。

 生実は画面に映る全ての機体の位置を確認する。

「一位になったかな。ん? この機体は?」

 生実は画面で機体の位置を確認すると、南西の外れから東に向かって一直線に動いている点に気づく。右後ろを振り返ると一機が追い抜いていく。

「あの機体は……」

 見覚えのある機体が追い抜いていくと、そのまま一直線に飛んでいき、ゴールに向かう方角から外れていく。

「直線に強いってことか」

 生実を追い抜いた機体は天原の南東に到達すると、方角を北に変えて直線に飛んでいく。

「このままでは間に合わない……ソラタマ、もっと速く!」

 ソラタマは生実の期待に応えるように速度を上げていく。

 最後の直線に入り、北に向かって飛んでいく朋子は南西に振り返ると、近づいてくる機体に気づく。

「うそ! どうやってあの速さを曲線で出すのよ!」

 朋子が全面にあるボタンを押すと、足元奥の上からアクセルが飛び出る。

「これを使うとはね……」

 朋子が右足でアクセルをおもいっきり踏み込み、光石に圧力を伝えて力を引き出すと、機体は加速して生実から離れていく。

「なに!?」

 残りの直線に入り、生実は更に意識を集中すると、ソラタマも加速する。

「いっけえー!」

 ソラタマはゴール手前で追い抜き、生実は一位で飛行機競争を終えた。

「さすがね、どんな仕組みなのかしら?」

「大したことないと思うけど、まぁ、そのうち教えてあげるよ。そしたら、そっちの後ろに付いてる大きな動力部も見せてね」

「もちろん、いいよ」


 ソラタマを着陸させると、三人が寄ってくる。

「優勝おめでとう生実。さすがだね」

 瑞葉が称える。

「ただの乗用機なんじゃなかったっけ?」

 承芽が尋ねる。

「まぁ、色々あって……」

 生実はどう説明したらいいのか戸惑う。

「……あっそう」

 承芽は返答をためらう承芽を不思議に思う。

 三人の後を付いていく生実は一人呟く。

「性能だけなら遠く及ばないね……。競技用も造ってみよっかな……」


「またねー」

 表彰式を終え、朋子は飛行機に乗って飛んでいった。

「そういえば、紙飛行機の結果、出てるんじゃない?」

 瑞葉が言うと、紙飛行機大会の会場に行くことにした。

「おっ、承芽が一位だよ、総合順位も」

 四人は参加賞貰い、生実は紙飛行機の飾りが付いた優勝トロフィーも貰った。

「さて、帰ろっか」

 承芽が言うと、四人はオオソラタマに戻り、緑原をあとにした。

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