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その五

生実は飛行機競争、瑞葉、結菜、承芽はなんでもあり競争に参加することになり。

「緑原なんでもあり競争、開始一分前です」

「さて、次は私達ね」

 急いで登録を済ませ、並んでいた飛行機の後ろで待機していると、なんでもあり競争の開始五分前のアナウンスが響く。

「多めに食べといて良かったね」

 予定していなかった事態に空腹だけは避けられそうと瑞葉が言う。

「やめたくなったら、この腕輪を使うんだよ。係員がすぐ来るから」

 承芽は左腕に着けた腕を瑞葉に見せる。

「うん、分かってるよ」

 瑞葉は登録時に受けた説明を思い出す。

「開始十秒前、八、七、六、五、四、三、二、一、スタート!」

 なんでもあり競争が始まり、前方から参加者が動き始める。直径十キロ以上ある緑原を一周する競争が始まった。

 一キロ走った所で、地面に札が沢山置かれている。

「一枚引くみたいだよ」

 承芽は二人に促す。

「『ウキタマで進む』、だって」

 結菜は札に書かれた文を読む。

「ええ!? 珍しい札を引いたじゃん!」

 承芽は結菜の引いた札に驚く。

「はぁ? 『テントで三十分休む』だと……」

 承芽はがっかりする。

「『ウキタマで進む』だって!」

「すごい瑞葉、ソラタマは過去にあまり出たことがないのに」

 結菜は低確率の札を引き当てた瑞葉に驚く。

「なんなのあんた達……」

 承芽はあきれながら適当に札を選ぶ。

「はぁ? 『テントで三十分休む』?」

「承芽もかなり珍しい札じゃん」

 結菜は興味ありげに承芽の札を見る。

「あんた達の引きの強さにはついていくないわ……」

 承芽は自分が引いた札との差に嘆く。

 三人は隣に用意された大きなテントに入ると、奥に一人乗りのハシタマとソラタマが見える。

「それじゃあ、私達は待ってよっか」

 瑞葉の言葉に結菜が頷く。

「二人は先に行ってていいよ。どうせなら一位を目指しちゃえばいいって」

 承芽は二人を先に行かせようとする。

「……わかった、先に行ってるね」

 瑞葉が言うと、二人はハシタマとソラタマが自動で外に出ていく。ハシタマとソラタマは三十キロ程で並走していく。


「おおっと、一枚しかない飛行機を引き当てた選手がいるようです。しかも、隣には車も走ってます!」

 会場の大画面にソラタマとハシタマが映し出され、実況の言葉に大歓声が響く。

「車だけでもかなりの低確率なので、今年は大当たり年になりましたねぇ」

 解説の言葉に会場がざわめく中、実況は切り替わった映像に注目する。

「おや? なんと! 一番後ろからもう一台の車が走ってきます!」

「ということは、用意された車と飛行機が全て引かれたということになります。これはかつてない出来事ですよ」

 なんでもあり競争に詳しい解説者が説明する。


 テントは一度の動作で長方形に形を変えて完成すると、承芽は中に入って横になった。

「昨日はずっと歩いてたからちょうどいいかも」

 承芽は一休みすることにした。


 承芽はいつの間にか眠っていると、いきなり腕輪が鳴り響く。

「いつの間にか眠ってたみたい……」

 承芽はテントから出て走り出すと、一キロ先にまた札が沢山散らばっている。承芽は一枚取る。

「『ハシタマで進む』じゃん」

 隣にある大きなテントに入ると、奥にハシタマが見える。ハシタマに乗ってボタンを押すと、ハシタマは自動で外に出ていく。承芽は手動に切り替え速度を上げると、承芽はすぐに瑞葉と結菜に追い付いた。

「あれ? まだ一緒にいたの?」

「承芽もハシタマ!?」

「これならみんなでゴールできるね」

「でも、つまんないから本気の競争でどう?」

「別にいいけど」

 結菜は乗り気でいる。

「瑞葉のソラタマには敵わないから、先に行ってていいよ」

「わかった。先に行ってるね」

 瑞葉は高度を上げて速度を上げる。


 少し退屈になってきた生実は、画面になんでもあり競争の映像を映す。画面には変わった姿で走る選手や、札を取らずに走り続ける選手が映っている。

「色々いるなぁ……」

 画面を視ていると瑞葉が映し出される。

「瑞葉、まじか……」

 更に結菜と承芽が映し出される。

「結菜と承芽も……」


 平坦な地面が続いたため、承芽と結菜に差がつくことなく進んでいると、少し高さのある崖が見えてくる。

「私は登っていくよ!」

「えっ!?」

 承芽は速度を上げと崖を勢い良く登っていく。

「私はやめておこう……」

 結菜は崖を回り込んでいく。

「どうやったんだ……」

 生実も驚く。

 結菜は大きく迂回すると、遠くに承芽のハシタマが見える。

「かなり差がついちゃったみたい……」


「早くも飛行機を引き当てた選手が戻ってきました!」

 実況の声がに大観衆が沸く。

 瑞葉は緑原を一周すると、一位でゴールにたどり着いた。少し経つと承芽と結菜も戻ってくる。

「ものすごい速さで戻ってきます!」

 実況は承芽が乗るハシタマの速さに驚く。

「確か、あの一人乗りのハシタマの最高速度は百五十キロのはずですが、二百キロは越えてるのではないでしょうか!」

 解説の言葉に大観衆がどよめく。

 承芽がゴールすると、瑞葉が駆け寄ってくる。

「承芽、最後は凄い速さだったね」

「とりあえず全力で走っただけだけど、どうかした?」

 承芽は驚く瑞葉を不思議がる。少し経つと、結菜も戻ってくる。

「ちょっと承芽、性能に差があったんじゃない?」

 結菜はハシタマを承芽に寄せて尋ねる。

「そうかなぁ……」

 承芽は結菜にも怪しまれて戸惑う。

「調べてみましたが、改良はしてないそうです」

 実況の説明に会場は納得する。


 表彰式が始まると、札を引かずに完走した選手の表彰式が行われる。最後に総合順位の表彰が十位から始まり、結菜、承芽、そして瑞葉にトロフィーが贈られた。

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