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その一

天原飛行機競争を観にさいとうたんにある緑原へ。

 五月五日土曜日、こどもの日。

 瑞葉は七時に起きると支度をする。生実の家に行く途中でコンビニのソライエに寄り、ツナおにぎりとツナパンにシジミの味噌汁と紙パックの野菜ジュースを取ってセルフレジに持っていく。タッチパネルに指を触れて会計を済ませてから手提げ袋に商品を入れると、祭りの飾りまだが残っている晴長公園のテーブルで食べることにした。

「瑞葉、朝ごはん?」

 野菜ジュースを飲んでいると結菜が来る。

「結菜おはよー」

 瑞葉は振り返ると後ろから結菜が来て瑞葉の右隣に座る。

「なかなかの朝食ね」

「でも、納豆巻きも買えば良かったかな……」

 瑞葉はツナおにぎりを食べ終わり、ツナパンを食べ始める。

「おはよー、二人共。瑞葉は朝ご飯か」

 承芽は瑞葉の反対側に座る。

「そうなんだけど、ちゅっと足らなかった……」

 瑞葉はゴミと袋を分けて、近くの入れ物に入れると、水飲み場の水を飲む。

「よし、行こっか」

 瑞葉が言うと、四人は公園の北の階段を登り、広い草地の真ん中にある生実の家に向かう。瑞葉がインターホンを押すと、すぐに生実が出てくる。

「おはよーみんな。それじゃあ、今日もオオソラタマで行くよ」

 四人は西側の建物に向かう。生実が壁の端末に触ると、大きな扉が左右に開くとオオソラタマが見える。前方の窓は開いたままになっている。

「待ってて、外に出すから」

 生実は壁の端末を操作して機体を外に出す。四人が乗り込むと、居間には家具やテレビが持ち込まれている。

「昨日のうちに色々と持ち込んでおいたから、好きに使っていいよ」

 そう言って、生実は機体の先端にある画面で、天原最東端にある緑原で開かれる、天原飛行機競争の開場を行き先に設定する。機体は上空に上がり、緑原に向かって飛んでいった。


「ミックスフルーツ狩りって?」

 瑞葉は棚に置かれた物を指差す。

「ああ、それはうちの新しい商品で、暇な時にでもやろうと思って持ってきたおもちゃ。やってみる?」

 瑞葉は持ってくると箱から取り出して畳に置く。瑞葉は機体の後方、結菜は右、承芽は左、生実は前方に座る。

「まずは、四色のまとめて分かれた枝に果物をぶら下げる色をルーレットで決めるの」

 瑞葉がルーレットのつまみをひねると、瑞葉の前に緑、結菜の前に青、生実の前に黄、承芽の前に赤が止まる。

「次に、この長いスプーンに果物を載せて、十八ヵ所ある枝に果物をぶら下げて。落とした果物はそのままね」

 果樹の表面に九ヵ所、その奥に四ヵ所、その奥に五ヵ所ある、への字の枝に果物をぶら下げる。果物は赤リンゴ、青リンゴ、梨、みかん、桃、柿、いちご、さくらんぼ、レモン、キウイ、マンゴー、ブルーベリー、メロン、すいか、バナナ、葡萄、白葡萄、パイナップルの十八種類。

「みんな全ての果物をぶら下げられたみたいね。そしたら、もう一度ルーレットを回して」

 瑞葉はもう一度ルーレットを回すと、瑞葉の前に青、結菜の前に黄、生実の前に緑、承芽の前に赤が止まる。

「止まった色の枝が自分の取る果物で、一番多く取った者が勝ち。それじゃあ、瑞葉から時計回りで始めて」

 瑞葉は手前の真ん中にある梨を取る。

「バナナや葡萄とか、取るのが難しい果物は表面にぶら下げればより簡単に取れるけど、自分がぶら下げた枝の果物を自分が取るとは限らないから悩むよね」

 瑞葉はぶら下がる果物を見つめて言う。

 収穫作業が終わると、手元に残せた果物を数える。

「私は十五個。葡萄二つとバナナが取れなかった……」

 瑞葉は十五個の果物を取った。

「十六個ね。奥にあるパイナップルが途中で転がっちゃった……」

 承芽は十六個の果物を取った。

「私は十八個取れたよ」

 結菜は全て取る。

「私もなんとか全て取れた」

 生実も全て取ることができた。

「子供向けの遊びとはいえ、大人でも楽しめそうだね」

 瑞葉は手応えを感じる。

 オオソラタマは四人を乗せてに緑原に向かって飛んでいった。

緑原へ。

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