その七
光原から晴山に帰ることに。
「そろそろ帰ろっか」
温泉で癒された四人が街中を歩いていると承芽が言い、四人は駐車場に向かっていった。飛行機に乗り込み、生実は画面を操作すると、飛行機は方向を変えながらゆっくり上昇し、晴山に向かって飛び始めた。
「なんか眠くなっちゃった……」
瑞葉は風呂上がりのせいか、力が抜けて眠くなってねっころがる。
「おやすみ~」
承芽は既にうつぶせになっている。
「私もちょっと寝ようかな……」
「それじゃあ、六時に到着で設定しとくよ」
生実は画面を操作すると、生実も眠ることにした。
「ついにこの日がやって参りました。ご覧ください、参加する三百機の飛行機は準備を整え、あとは開始時間を待つだけとなりました。そして今回も順位などおかまいなしに、目立つことを優先して設計した飛行機が多く集まっております。集まった大勢の観客も大興奮のようです。海王星競争の開始まであとわずかです!」
リポーターの女性は集まった飛行機を背に、カメラに向かって状況を伝えている。カメラは飛行機から、十万人はいる特設の観覧席に向ける。集飛行機をずっと眺めている観客もいれば、屋台の食べ物に群がる観客など、それぞれで祭りを楽しんでいる。
「ふぁ~、待ちくたびれた。そろそろかな?」
出発の準備を終えてから一寝入りしていた生実が目を覚ます。
「ほら見て、いっぱい集まってる!」
瑞葉がテレビを視ていると、映る熱気に包まれた観客が映る。
「私達は参加すれば満足だから、ほぼ海王星旅行だね。そもそも、競争に特化させて造ってないし」
「まあ、私達は着くまでのワクワク感を三日分の食料とゲームで楽しむことを優先してるけどね」
承芽も順位に関心がない。
「食料とゲームは良いんだけど、ずっとじっとしてると体がなまっちゃうのが心配ね」
「それなら、筋トレの道具もちょっと持ってきてあるよ」
生実は、食事以外の体調管理も怠りなく準備している。
「そろそろ発進時間の十時だよ」
瑞葉が時間を伝える。
「よし行こう、海王星へ」
そう言って生実は外に目を向ける。
「ついに、海王星競争が始まるね」
瑞葉は発進時間が迫り緊張感が増していく。
「十秒を切った!」
承芽が操作画面を見ると、秒読みが一桁になる。
「発進!」
発進と同時に生実が言う。生実の造ったオオソラタマは上空に飛び立ち、あっという間に宇宙に到達する。機体は先端を進行方向に向けて飛んでいった。
「さて、暇だね」
生実は一息つくと、上体を三人に向ける。
「さっそくだけど、アマネシホシでもやろっか」
承芽は振り替えって言う。
「うん、やろう」
瑞葉が言うと、四人はゲームの準備に取り掛る。
「私はパットでいいや」
スティックに慣れない瑞葉はパットを手に取る。瑞葉以外はスティックを設置した。ゲーム機を起動し、操作キャラの選択画面なる。じゃんけんの結果、瑞葉対承芽、結菜対生実の組み合わせに決まった。
「どれにようかな」
瑞葉は選ぶ操作キャラを考える。
「んーと、機の民デルルにしよっと」
瑞葉は人造人間で機械の力を使う、灰色のマントを着た女キャラ、デルルを選ぶ。
「私は空の民レシル」
承芽は風の力を使う赤いマント姿の男キャラ、レシルを選ぶ。
戦う場所をランダムに設定すると、対戦場はレシルの赤い飛空船アカグモに決まる。画面は飛空船の甲板に移り、左に瑞葉のデルル、右に承芽のレシルが対峙する。
「よう、あいつは元気にしてるか?」
「………………ええ」
レシルの言葉にデルルが答えると対戦が始まる。
デルルは機の鋸を発動し、鋸の歯のように山を三回描いて突進蹴りを繰り出すと、レシルは前方に跳んで避ける。レシルは着地と同時に空の突き蹴りで一直線に突き進んで蹴りを当てる。
デルルは立ち上がると、間合いを詰めて通常技を二回当ててから、機の鋸で一回山を描いて突進するが、レシルは全て防ぎ、空の突き飛び・弱で少し突進する。デルルは真上に跳んで避けて着地すると、角度の少ない機の大鋸で斜め上に高く跳んでから同じ角度で斜め下に高速で降下して蹴りを当てる。更に通常を二発当てて機の鋸で山を三回描いて突進して連続攻撃が決まり、大きく体力を削った。
レシルが立ち上がると、間合いを取っていたデルルは前方に大きく高速で跳んで空中から斜め下に高速で降下する機の大鋸で突進するが、レシルは防御する。間合いが空き、デルルは空中から機の大鋸で斜め下に突進して斜め上に跳んで離脱する。レシルはもう一度跳んでから機の大鋸を発動しようとするが、レシルは空の飛び蹴りで斜めに飛んで蹴りを当てる。
レシルは立ち上がるデルルから離れると、空の突き蹴り・弱で少し突進すると、デルルは真上に跳んでしまう。
「間違えた!」
「もらい~」
瑞葉が声を出した頃には、斜め上に跳ぶレシルの空の飛び蹴りを食らってしまう。更にゲージを消費して空中で強化版空の突き蹴りを発動し、大技を連続で当てる。
間合いを詰めようとするレシルに対し、デルルは機の流れ星を放つと、防御が遅れたレシルに光線が当たる。
「それがあった……」
承芽は上達した瑞葉の腕に手応えを感じる。瑞葉も引けを取らずに削りあっていく。
デルルは隙を突いて奥の手、機の箒星を放ち、太い光線がレシルを包み込む。
レシルは奥の手を食らって体力を大きく減らして、残り僅かになる。デルルは果敢に攻め立てるが、レシルの守りが堅くなり、瑞葉も体力を減らしていくと、レシルは奥の手、空の風蹴りで一直線に跳んで蹴りが入り、レシルが先勝した。
「惜しかったわね、最後は慎重になりすぎたかもね。まあ、よくあること」
「あともう少しだったのに……」
承芽は瑞葉をねぎらう。
二本目が始まり、レシルは積極的に攻めていく。お互い体力削りあっていると、デルルはレシルの蹴りを真上に跳んで避け、着地と同時に機の雷を発動すると、腕を少し広げて地面から少し浮いた上体で体中に電気を流す。レシルは避けられず、体中に電撃が流れてマントが吹き飛ぶ。
その後もレシルは迷わず攻めていく。デルルはなんとか奥の手、機の大雷を発動し、体の外に電気を広げると、レシルは避けられず体中に電撃が流れる。デルルも積極的に攻めていくが、承芽の堅い守りに阻まれ、最後は空中から空の風蹴りを食らって承芽が勝った。
「まだまだかぁ……」
瑞葉は上達して少し自信がついていたものの、承芽との差はまだかなりあると感じた。
「でも、瑞葉の上達の早さには驚くわね」
承芽は改めて瑞葉の上達ぶりに感心する。
続いて結菜と生実の対戦。
「私は霊の民、シノネ」
結菜は紫のマントを着た女キャラ、シノネを選ぶ。
「私は宇宙にちなんで宙の民、ノクア」
生実は黒に赤い裏生地のマントを着た、重の力を使う男、ノクアを選ぶ。対戦場はノクアの黒い飛空船クログモの甲板になり、左にシノネ、右にノクアが対峙する。
「なぜ、あなたがここに……まさか」
「かもな」
シノネの言葉にノクアが答えると対戦が始まる。
お互いに間合いを取りながら出方を見ていると、シノネが霊の瞬きでノクアの後ろに瞬間移動すると、すぐに元の位置に戻って牽制する。その瞬間、ノクアは宙の曲が蹴りで直線的な弧を描いて突進するが、シノネは間一髪で守る。ノクアは続けて通常技を当てるが、シノネは守りを堅め、通常技の隙を突いてノクアの後ろに瞬間移動し、マント攻撃を三回与える。
ノクアはすぐに立ち上がり、二回の通常技から宙の巻き蹴りで、マントの赤い裏地を見せながら大きく円を描いて蹴りを加える。
シノネは間合いを取るとノクアの後ろに瞬間移動する。ノクアは通常技で反撃するが、シノネは後ろに瞬間移動して間合いを取ると、真上に瞬間移動して相手の出方を伺う。ノクアは少し近づこうとした瞬間、ノクアの目の前に分身が現れ、マントの攻撃を受ける。
ノクアが立ち上がる間にシノネが空中から近づくと、またノクアの目の前に分身を出現させて攻撃させるがノクアは防御する。直後にシノネはノクアの後ろに瞬間移動すると、後ろの空中に瞬間移動してマントで攻撃を与えると、コンボゲージを二回消費してノクアの後ろ前と瞬間移動してマント攻撃を与える。通常技より攻撃力の高い瞬間移動攻撃をコンボゲージを消費して繋げることで、通常技による連続攻撃より体力を削ることができた。
ノクアが立ち上がると、シノネは空中へ瞬間移動して間合いを取るが、同時に、ノクアは空中から宙の曲が蹴りを当て、二回通常技を当ててから宙の巻き蹴りで小さく飛び回って蹴りを加える。
シノネは立ち上がって間合いを取ってから前に進むと、ノクアは後ろに下がって間合いを取ろうとするが、その瞬間、シノネはノクアの後ろに分身を出現させてマント攻撃を当てると、コンボゲージを消費して自らをノクアの前に瞬間移動してマント攻撃を当て、奥の手、霊の分霊を発動し、五体のシノネによるマント攻撃を受け、ノクアの体力が25%を割ってマントが吹き飛ぶ。ノクアはマントが剥がれたことで、僅かに攻撃力が上がった。
「やるな」
ノクアは立ち上がるとセリフを言う。
ノクアは上がった攻撃力で猛攻を仕掛けるが、シノネは瞬間移動を駆使して上手く避けつつノクアの体力を削ると、最後はノクアの後ろに瞬間移動しマント攻撃を与えて一本を取った。
二本目が始まり、攻撃力が上がった状態のノクアは猛攻を仕掛ける。シノネの瞬間移動を見極め、的確に反撃して体力に差をつけていく。宙の曲が蹴りを受け、シノネの体力はあっという間に25%を割ってシノネのマントが吹き飛ぶ。
「なに……」
シノネから声がこぼれる。
勢いに乗ったノクアは、奥の手、宙の大巻き蹴りで何回も回転する。シノネの防御力が間に合うが、九回の当たり判定の最後の一発で体力が底をつき、シノネが吹き飛んでノクアが一本を取った。
両者共にマントがない状態で三本目が始まる。
シノネは瞬間移動、ノクアは飛び蹴りを駆使して接近戦を繰り広げる。シノネは奥の手、霊の鎮めりを発動すると、マントでノクアを締め付け、ノクアを精神攻撃を与える。
ノクアは奥の手ゲージが最大の三回分まで貯めてシノネを警戒させつつ、コンボゲージを効果的に使って攻撃を仕掛けていくと、宙の波蹴りを立て続けに二回放つが、二回とも防御される。
ノクアが奥の手を匂わせつつ立ち回ると、シノネは霊の鎮めりを放つ。ノクアは防御力すると、奥の手を防御されて隙を作ったシノネに対し、奥の手、宙の闇雲を発動し、黒いガス雲でシノネを包み込む。シノネの体力が無くなり、ノクアが勝った。
続いて、瑞葉のデルルと結菜のシノネとの三位決定戦。対戦場はシノネの古里である地下世界の草原に決まる。
「あなたですか」
「お手合わせ」
デルルの言葉にシノネが答えると対戦が始まる。
デルルは機の鋸による突進攻撃を軸に立ち回るが、シノネは瞬間移動で的確に交わし、デルルの体力を削っていく。デルルの体力はあっという間に差をつけられる。
「あれ~」
瑞葉から声が漏れる。
デルルは状況を打開しようと機の花火を放ち、小さな爆弾が弧を描いて飛んでいく。シノネは後に飛んで避けると爆弾はそのまま落ちて地面に設置される。シノネは間合いを維持し、二秒で爆発する。デルルは機の欠片・中で少し遠くに爆弾を飛ばして地面に設置され、二秒後に爆発する。デルルは機の花火・強でシノネに届く距離まで飛ばすと、シノネはデルルの目の前に瞬間移動して攻撃するが、デルルの防御が間に合い、デルルは投げ技、機の金縛りでワイヤーを伸ばし、シノネを締め上げて電撃を流す。シノネは間合いを取ると、デルルは機の流れ星の遠距離攻撃で牽制する。シノネはデルルの多彩な技に少し翻弄されるが、瞬間移動でデルルに接近戦を仕掛けていき、最後は霊の分霊でデルルの回りに五人のシノネが現れ、マントの総攻撃で一本を取った。
デルルは接近戦を仕掛ける。シノネも瞬間移動を駆使して、お互いに体力を削りあっていく。デルルは機の花火を地面に落ちる前に爆発させるなどして展開を速めていく。デルルの体力が25%を割るが、デルルはしぶとく防御を堅めつつ攻撃を当てていき、シノネの叩きつけるも25%を割り、マントが吹き飛ぶ。
シノネは攻撃力が上がり、瞬間移動を繰り返して、デルルを翻弄すると、通常技を外したデルルに対し、シノネは投げ技、霊の鎮まりでデルルをマントで締め上げ、体力を吸収して二本目を取り、結菜のシノネが勝った。
「やっぱり結菜も上手いな~」
最後は承芽のレシルと生実のノクアによる決勝戦。対戦場はレシルの飛空船アカグモに決まる。
「よう、生きてたか」
「お前もな」
レシルの言葉にノクアが答えると対戦が始まる。
お互いに得意の突進技を地上と空中で繰り広げ、お互いに体力を削りあっていく。
ノクアが空中から宙の曲が蹴りを放つと、レシルは空中で空の突き蹴りで力押ししてノクアの体力が25%を割るが、事前の入力でマント着用を維持させると、攻撃力ではなく防御力を上げた。
ノクアも宙の波蹴りでレシルの体力を25%に割らせる。
お互い体力が僅かになっても、後先考えずに攻撃を与えあっていくと、レシルの空の風蹴りがノクアを捉え、レシルが一本を取った。
二本目が始まると、レシルはマントを脱ぎ捨てる。自らマントを脱ぐことでも攻撃力を上げられるが、体力が25%を割るまでは防御が下がる。
レシルがマントを脱ぐと、ノクアもマントを脱ぎ捨てる。お互いの攻撃力が上がり、防御力が上がったことで、体力の低下が格段に早くなり、あっという間にお互いの体力が25%を割ると、ノクアの宙の闇雲がレシルを包み込んで一本を取った。
三本目が始まり、防御力は元に戻る。
またしても体力の削りあいになり、お互いの体力が僅かになり、ノクアは宙の大巻き蹴りを放つと、レシルの防御が間に合う。だが、九回の当たり判定にギリギリで体力を残す。奥の手を防御されて隙を作ったノクアに対し、レシルは空の風蹴りを放つと、八発全てがノクアに決まる。
「惜しい、あと少しだったのに……」
生実は言葉をこぼす。
「なんとか耐えたか」
承芽は遠慮がちに言う。
「ねぇみんな、外がなんかおかしいような……」
瑞葉が外の光景に違和感を感じる。
「明けてみる」
生実が壁のボタンを押すと、機体の前半分の窓が下部に収納される。
「壁かな?」
生実は上を見上げると黒い壁が見えなくなるまで広がっている。
「どれどれ」
承芽が壁に向かって跳び跳ねると、壁に着地して見上げる。
「みんなも来なよ」
承芽が誘うと、三人も壁に向かって跳び跳ねる。
「地球と同じ重力かな?」
生実は軽く跳び跳ねて重力を確認する。
「もしかしたら、ここは宇宙の果てかな?」
「そうだよ」
結菜が言うと、どこからか声が聞こえる。
「猫?」
瑞葉は、いつの間にか前足を立てて壁に座っている猫に気づく。
「まさか、喋ったのはあの猫?」
「うん、君達以外は僕しかいないよ」
「もしかして、猫神様?」
「まあ、そんなところかな」
瑞葉の質問に答えると、猫が近寄ってくる。
「この壁みたいなのはなんなの?」
承芽が質問する。
「宇宙の果てを示す壁だよ。壁の向こうは空間も時間もない、完全な無だよ。それにしても、人がここまで来たのは始めてだよ。こりゃ、宇宙をもっと広げる必要があるかな、いや、その必要はないか、どうやら君達がここまでこられたのは偶然みたいだし」
「ということは、言い伝えは本当だったということかな」
「そういことになるね」
結菜の言葉に猫神様が答える。
「やっぱり、猫神様は普段は常世に住んですか?」
「基本的にはね。でも、この世界を作ったのは僕だから、この世界に関しては僕が責任をもって管理をしてるんだよ。それはそうと、そもそも何をしていたらここにたどり着いたのかな?」
「そうだった、海王星に行かないと。とりあえず、オオソラタマに戻ろう」
生実は本来の目的を思い出すと、リモコンを操作して機体を近付けようとする。
「そんなことしなくても、戻りたいと願えば戻れるよ。思いっきり跳んでみて」
猫神様に言われた通りに跳んでみると、体は高く跳び上がり、機体に着地する。
「海王星に行きたいと願えば行けるはずだよ」
「色々と教えてくれてありがとう」
承芽は感謝する。
「またどこかで」
生実も声を張って最後の挨拶をする。
「ありがとうございました」
結菜も。
「猫神様、またね」
瑞葉が言うと、機体が反転して発進する。生実は窓が空いてることに気付いて閉める。
「そういえば、猫神様は雄かな?」
瑞葉が聞く。
「言い伝えによると雄みたいだね」
結菜が答える。
「さて、海王星にはいつ着くのやら」
生実は心配になる。
「ほら見て、あれじゃない?」
承芽が指す方向に星が見えてくる。
「いつの間に着いたんだ?」
生実は海王星の近くまで来ていることを画面で確認する。
機体は着地地点に着陸する。機体の外に出ると大歓迎で迎えられた。
「私達が一番みたいだね」
四人は手を振って大歓迎に答えた。
四人は目を覚まし、窓際に寄って外を眺めると、遠くに晴山が見えてくる。
「森や中学校がいつもより明るいみたいだけど……」
瑞葉は、晴長山の先にある晴山中学校の屋上の賑わい気づく。
「そういえば、今日は緑の日だから、商店街や学校で祭りをやってるはずだね」
生実は毎年行われている祭りを思い出す。
「じゃあ、ちょっと行ってみる?」
承芽が提案する。
「もちろん」
結菜が興味を示す。
「うん、なんか凄くお腹空いてきちゃった」
瑞葉は空腹を感じる。
生実の家に着陸して四人が降りると、機体は建物の中に下がって行く。四人は家の南側の階段を下りて公園の中に入る。
「やってるねぇ」
承芽が公園を眺めて言う。近所の住人がこの日のために用意した鉢花が公園全体を飾っており、様々な植物や種も売られている。交通規制され、車が通れなくなっている商店街に行くと、様々な屋台が両側に並んでいる。
「色々焼きがあるよ」
瑞葉に誘われて、四人は丸くて平たい形に生地を流し込んであんこや惣菜などを詰めて焼いた食べ物を買うことにした。
色々焼きを食べながら、歩いていると瑞葉が次の目的地を言う。
「四人共つぶあんか」
承芽が言う。
「晴長森にも行ってみようよ」
四人は晴長森に行くことにした。森に着くと、湖を中心に森全体に明かりが飾られ、湖には羽の形をした小船に明かりが灯されて浮かばれている。見回すと写真を撮る人が沢山見かける。瑞葉も写真を撮ることにした。
「猫が湖に浮かんだ羽を辿って渡った逸話が羽橋市の名前になったんだよね」
瑞葉は羽橋市の生い立ちを言う。
「学校にも行ってみようよ、物凄くお腹が空いてたの忘れちゃってた」
瑞葉は空腹に気づく。
「一日中移動ばかりで、まともな食事をしてなかったからね」
結菜も空腹を感じる。四人は学校にも行くことにした。
中学校に着き、晴山祭りと書かれた横断幕をくぐって校内に入り、南棟東側の階段を登って屋上に出る。
「それじゃあ、それぞれで食べたい物を選んだら、ここのテーブルに集合ね」
生実が言うと四人は散らばっていった。
瑞葉は丸い形をした玉焼きを持って戻ると、入口の隣のテーブルに結菜が座っている。
「結菜も玉焼きだ」
瑞葉は結菜の前に置かれた玉焼きに気づく。他にも焼きそばが置かれている。
「私も焼きそば買ってくる」
瑞葉は焼きそばも持って戻ってくると、結菜の向かいに座る生実の背中が見える。生実も玉焼きに焼きそばも選んでいる。
「もうちょっと」
瑞葉は焼きそばを持って戻ってくると、生実の隣に承芽が座っている。承芽も玉焼きと焼きそばを選んでいる。瑞葉は焼きそばを置いてまた買いにいく。
「あと少し」
瑞葉は小麦粉をまぶして揚げる貝揚げとチョコバナナを持って戻ると結菜の左隣に座る。
「承芽と生実も玉焼きかぁ」
そう言って、瑞葉はチョコバナナきを食べる。
承芽は瑞葉の食欲に驚く。
「私の玉焼きは出し汁だけど、みんなは?」
結菜は三人に尋ねる。
「私はエビ」
承芽も中身を見せる。
「私はアサリね」
生実も中身を見せる。
「私はつぶあん」
瑞葉も玉焼きを半分食べて見せる。
瑞葉は八個の玉焼きを食べ終わり、いち速く焼きそばも食べ終わると貝揚げを食べ始める。
「相変わらずの食欲よね」
承芽は瑞葉の食べっぷりに感心する。
「夕食も込みだからね」
瑞葉は焼きそばを食べ終わると貝揚げを食べ始める。
瑞葉はいち速く食べ終わると、緑色の野菜スムージーを四人分買って戻ってくる。
「ところで、明日は天原最東端の緑原で開催する天原飛行競争を観に行んだけど、みんなも行く?」
生実は話題を切り出す。
「いいよ、みんなも行くよね」
承芽は瑞葉と結菜にも尋ねる。
「うん。開始時間は何時から」
結菜は開始時間を尋ねる。
「十二時ちょうど」
「明日は緑原かぁ」
瑞葉は嬉しそうな表情を見せる。明日の予定が決まり、四人は帰ることにした。
草地を進み、瑞葉の家の前に着くと、朝の八時に生実の家に集まる約束をして解散した。
瑞葉は布団の中で一日を振り返る。生実の飛行機で青原に行き、光原では温泉に入ったり、晴山祭りにも行って、目まぐるしい一日だったことに大満足して眠りについた。
レシル
空の民の王。
男。
風の力を使う。
赤のマントを着ている。
飛空船、赤雲に住んでいる。
即席麺の赤の翼が好き。
大技
空の突き蹴り/前方に突進蹴り。
空の飛び蹴り/斜め上に蹴り。三段階の角度。
空の下げ蹴り/空中から斜め下に蹴り。
投げ
空の投げ蹴り/空中に投げてから回し蹴り。
空の飛び投げ蹴り/空中の相手を掴んで回し蹴り。
奥の手
空の風蹴り/強力な突進蹴り。
ノクア
宙の民の王。
男。
重の力を使う。
黒に赤の裏生地のマントを着ている。
宇宙船、クログモに住んでいる。
即席麺、黒の爪が好き。
大技
宙の突き蹴り/前方に突進蹴り。
宙の飛び蹴り/斜め上に蹴り。
宙の下げ蹴り/空中から斜め下に蹴り。
宙の曲が蹴り弧を描いて突進蹴り。
宙の巻き蹴り上げ/下から前方に進みながら円を描いて蹴り。
宙の巻き蹴り下げ/上から前方進みながら円を描いて蹴り。
投げ
宙の浮き蹴り/重力を操って相手を浮かばせてから回し蹴り。
移動技
宙の浮き飛び/常に浮いている。防御可。攻撃を受けると解除。
奥の手
宙の巻き巻き蹴り/八回回って蹴り。
宙の毒雲/有毒ガスを発生させる。
デルル
機の民。
女。
十六歳。
高一。
機の力を使う。
灰のマントを着ている。
宇宙船、クログモに住んでいる。
大技
機の鋸/前方に一回から三回まで三角を描いて蹴り。
機の大鋸/前方に大きく一回から三回まで三角を描いて蹴り。
機の流れ星/腕から光線。
機の花火/前方に爆弾を投げる。当たらないと地面に設置後爆発。
機の雷/体中に電撃を流して、密接する相手を攻撃。
投げ技
機の金縛り/ワイヤーで縛り上げて電撃を流す。
奥の手
機の箒星/前方に大光線
機の大雷/体の回りに電撃を大きく張る。
シノネ
霊の民。
女
十六歳。
高一。
幻の力を使う。
紫のマントを着ている。
地底に住んでいる。
大技
霊の幻/分身を出現させて攻撃。相手の前・上・後ろ
霊の瞬き/瞬間移動からの攻撃。相手の前・上・後ろ
投げ技
霊の鎮まり/掴んで相手の体力を吸収する。
移動技
奥の手




