その五
昼御飯を買いに商店街へ。
四人は商店街の東側の坂を登った所にあるコンビニに向かう、商店街の坂を登り所に、全面の水色に黄色でソライエと書かれたコンビニに入る。
「えーと、これにしよう、謎弁当」
瑞葉は中身の見えない弁当を手に取る。
「私も買おうかな、結菜と生実も買おうよ」
承芽も弁当を買いたくなり、結菜と生実にも謎弁当を勧めると、二人共謎弁当を選ぶ。
四人はついでに買った、中が氷の青いアイスを食べながら、坂を降りた所にある晴長公園に入り、木製のテーブルがあるベンチに座る。
「当たり!」
瑞葉はアイスの棒をみんなに見せる。
「さすが瑞葉、また当たり」
隣に座る結菜が言う。
「当たりは私もたまにあるけど、それにしても瑞葉はよく当てるわね」
瑞葉の向かいに座る承芽が言う。
「この棒を送れば氷乃甘世の人形は十二体になるんだよねぇ」
瑞葉は自慢気に言う。
「多分、瑞葉が一番持ってるかもしれないわね」
承芽の隣に座る生実が言う。
「とりあえず、お弁当を食べよう」
瑞葉は弁当の蓋を開ける。
「お、アジフライかぁ」
「私はイワシフライみたい」
結菜は蓋の裏の表記を確認する。
「カツオフライみたい」
承芽も蓋を開ける。
「私のはニシンフライ」
生実も蓋の表記を確認する。
「今日はフライが多いみたいだね」
瑞葉はソースかけながら言う。
弁当をほとんど食べ終わると瑞葉が言う。
「それにしても、なんで静葉さんはあんなに強いんだろう」
瑞葉は箸を止めて言う。
「静葉さんはよく山に登ったり海まで歩くこともあるみたいだけど、やっぱり体力を維持してるからじゃない?」
生実は普段の生活から強さの秘訣を推察する。
「確かに体力は重要ね。体力の維持だけじゃなくて、脳も活性化させるし。でも、それならプロもやってること、走ったり筋力を鍛えたりもするみたいだし、それ以上の何かがあるはず」
結菜は考え込む。
「静葉さんは、ただ楽しんでるだけに思えるけど、どうなんだろう」
瑞葉が深く考えていると承芽が思い当たる事を言う。
「私も単純にゲームを楽しんでるだけだけど、やっぱり大きな大会だと緊張しちゃうんだよね。でも、緊張するのはそれだけ価値があるということだし、それだけ熱くなれるんだよ。緊張を拒まず、素直に受け入れられることが楽しむ秘訣かな」
「そっかぁ」
瑞葉は承芽の考え方に感心したが、静葉は緊張すらしていないように感じていただけに、静葉も承芽と同じなのか疑問が残る。
「そういえば、アマネシホシは売れるかな……」
答えが決まらない瑞葉は気持ちを切り替えるかのように、天魔後輪の売れ行きを気にする。
「元々の評判は良いから、長い目で見れば売れていくと思うけど」
承芽は自信ありげに即答する。
「そうだ、晴山神社に行ってお願いをしてこようよ」
瑞葉が思い付くと、四人は晴山神社に行くことにした。
四人は晴山公園を出て商店街の東の坂を登り、住宅街を北に進んだ所にある晴山神社に着く。瑞葉が鐘を鳴らし、四人は手を合わせて目をつぶる。
「よし、お守りを買おう」
瑞葉は目を開けるとお守りが欲しくなった。境内にある無人の建物に入り、お守りが並べられた箱の中を見る。
「私は水色のお守り」
瑞葉は好きな色の水色をしたお守りを選ぶ。結菜は黄、承芽は赤、生実は緑のお守りを選び、お金が沢山入っている箱の中に百円を入れる。四人は晴山神社を出て、商店街に戻っていった。
瑞葉は帰る途中、弁当に入っていたフキの煮物を思い返し、気になっていた事を思い付く。
「そういえば、水菜や長葱の保存方法って難しいよね、水菜を袋から一束だけ上手く取るのが難しいから、一旦袋から全て取り出すんだけど、また袋に戻したり、紙で包むのも手間なんだよねぇ」
「つまり、切らずに保存したいのよね」
結菜が言う。
「それなら、うちの店に使える物があるかも」
承芽は店で扱う商品の中で役に立ちそうな商品を思い出す。
「じゃあ、ちょっと探してみよう!」
小物を探しに承芽の店へ。