その四
歩きながら、お金の稼ぎ方を語り始めた。
「一文字一円。社員として働く」
結菜は理想の投稿サイトを提案する。
「登録すれば社員なんだね、いいね」
承芽も面白い提案に喜ぶ。
「つまり、一万文字で一万円かぁ。なかなか大変だね」
瑞葉は素直に喜べる妄想なのか疑う。
「毎日平均で一万文字だと月に三十万円。ちと厳しいかな。誰でもとは程遠い。せめて一文字二円なら……」
生実は少しねだる。
「面接でなぜ弊社を希望するのか聞かれたら、なんて答えれば良い?」
瑞葉が尋ねる。
「金のためではない!」
承芽は究極とも言うべき答えをはっきり言う。
「人のために御社のなんちゃらを通じて役に立ちたい」
結菜も究極の答えを言う。
「以前、なんちゃらをきっかけになんちゃらに興味を持ち、なんちゃらに携わる会社で働きたいと思うようになり、家から市場近い御社を希望しました」
長い生実。
「きっかけってなんだったんだ?」
そっちが気になる承芽。
「じゃあ、給料は全員同じで良いかな?」
瑞葉は今の言葉をまとめて給料を設定する。
「まあ、金のためとは言わないわな」
承芽は納得する。
「土日祝日夜早朝に働くなら、給料は50%は増えて良いよね」
瑞葉は50%でも控えめのつもりで言った。
「まあ、休む日、寝る時間に起きてるんだから、100%が妥当かと」
「おおおおお」
生実の回答に唸る瑞葉。
「瑞葉に昼夜逆転はできるかな?」
驚く瑞葉に現実を告げる承芽。
「うーん、結菜なら大丈夫そうだけど……」
「確かに、抵抗はあまり無いかな」
「おおおおお」
また唸る瑞葉。