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人形技師ウィル・フォーメン  作者: 敦賀正史
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第1集 献身慈悲のナインペイン 第8章 黒化現象 ー2ー

 黒化現象…

 リビングドールに持たせた清廉純白の心が黒く染まって暴走する現象の事らしい。

 らしいと言うのは、心が黒く染まるというのが良く分からないからだ。

 そもそも、清廉純白の心を与える理由もよく分からない。

 そんなあやふやな認識だった。

 そう、今さっき目の前で黒化したリビングドールを見るまでは。

 今なら分かる。

 人形がいけない事をやらない様に清廉純白の心を与える事。

 そして、清廉純白の心を与えた筈なのに黒い心が芽生えてしまい、いけない事をやってしまうのが心の黒化現象だと言う事も。

 何故、黒い心が生じるかはわからない。

 けれど目の前のリビングドールには、確かに人を殺めるという黒い心が生まれていた。

 本来、清廉純白の心を持っていれば、人を殺めようとか考えられないのだと思う。

 だがしかし、その心が黒化してしまったばっかりに、ナインペインは人を殺める様になってしまった。

 純白清廉の心を入れる導入や黒化の結果は分かっても、肝心の黒化する過程が全くわからないので、どうしようもない。

 ナインペインが、何時黒化したのかもわからない。

 最初に出会った時には既に黒化していたのだろうか?

 それとも、モールス・フォーメンの孫である私に出会い、祖父の真実を語るか悩むライフィールド氏を見て、黒化したのだろうか?

 私がナインペインの核心を見た時には異常はなかった様に見えたし、そもそも心が黒化したからと言って核心の見た見に変化が現れるかどうかもわからない。

 でも、ナインペインが最初に人を殺めた時…恐らくはライフィールド氏を殺した時には…既に彼女の心は黒化していたに違いない。

 もっと救いのあるものだとばかり勝手に思い込んでいた。

 しかし、原因どころか過程や兆候すら分からないんじゃあ、どうしようもない。

 もしかしたら、核心を取り出して心を白く上塗りすれば一時的には直るのかもしれない。

 けれど、過程が分からない以上は、その白く上塗りした心も直ぐに黒く染まってしまう。

 成る程、祖父の他にリビングドールを作ろうとする者がいないわけだ。

 リビングドールが悪事を働いた責任を取りたい物好きなんているわけがない。

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