第1集 献身慈悲のナインペイン 第6章 異変 ー6ー
ライフィールド氏の息子夫妻もといリバス嬢の両親が帰ってきてから三日後。
遂に葬儀が執り行われた。
少し前にあったドッグマウス氏の葬儀と同様、フォーマルな式典が行われた後は、同窓会の様な顔合わせの場になっていた。
そして、参列者の中には私の祖母に付き添いの父の姿もあった。
「おばあちゃん、お父さん、お久しぶりです。」
「ウィル、元気にしていたのか。長い間家に帰ってこないから父さんも、家で留守番をしている母さんも心配していたぞ。」
「まあまあ、ウィルもいい歳なんだからそんなに心配することないじゃない。便りがないのは元気な証拠と昔から言うでしょうに。もっと自分の息子の事を信じなさい。」
両親には心配をかけてしまった様だけど、祖母は相変わらずだなあ。
まあ、祖母はライフィールド氏の事を知っているからってのもあるんだろうけど。
「ところで、ウィル。一緒にいるお嬢さんは誰だい?」
「えっとね、おばあちゃん。おじいちゃんが作ったリビングドールを偶然見つけたんだ。見つけた時は体が壊れていたんだけど、それを修理したのがこの娘なんだ。」
「初めまして。私、名前はフレイムヴィレッジといいます。」
「まあ、あの人が作った人形なの!?そうね、昔のあの人…ウィルのお祖父さんもね、こんな風に完成した人形を私に見せてくれたのよ。」
珍しく祖母が祖父との思い出を話してくれた。
私が生まれる前から、うちでは祖父の話はこれまで何となく避けられていたし、こういう話は初めて聞くなあ。
「ねえ、ウィル。あなたがウィローさんのところでお祖父さんの作った人形を見せてもらったり、お祖父さんの作った人形をこうして修理したって事は、やっぱりお祖父さんの技術を次いで、いづれはリビングドールを作るのね、きっと。」
多分、祖母の言う通りだと思った。
ライフィールド氏の屋敷でナインペインと出会い…
瓦礫の下から掘り起こしたフレイムヴィレッジを修理し…
私のリビングドールへの興味が、着実に強くなってきているのは自覚している。
だから、今はフィーヴィーの修理の方に興味が向いている私でも、いつかはリビングドールを作る方に興味が向くと思う。
「でもね、ウィル。おばあちゃんは心配なの。ウィルやあなたのお父さんをリビングドールに触れさせたくなかったのはね、あなたのお祖父さんの様になってほしくなかったから。だからね、ウィル。強くなりなさい。あなたがいづれ、お祖父さんと同じ問題に直面した時に乗り越えられるように。」
そうか…祖母は祖父が失踪した本当の理由を知らないんだった。
でも、強くならなきゃいけない事には変わりはないか。
祖父は完全漆黒に殺されてしまったけれど…
私もフィーヴィーも強くなっていつか戦うかもしれないその時に備えなければいけない。
「ところで、生前のウィローさんはどうだったかい?この前、おばあちゃんが五十年ぶりぐらいに話した時にね、何か悩んでいるようにも見えたし、覚悟を決めて話しかけにきたようにも見えたから、亡くなる前に悩みが解決していて思い残す事がなかったのならいいのだけど。」
「大丈夫だよ、おばあちゃん。私がライフィールドさんのところに行った事で、その悩みも解決したと思うから。」
「そう…それならよかった。ウィルも他人の役に立てるまでに成長したのね。」
葬儀も終わり、参列していた面々も次々と帰っていく。
私もこのまま祖母や父と一緒に帰ろうかと思っていた矢先の事だった。
街の警察が三人ぐらい私とフィーヴィーのところにやってきた。
「ウィル・フォーメンだな。悪いが大人しく署まで来てもらうぞ。」




