第1集 献身慈悲のナインペイン 第5章 修理 ー3ー
私とフィーヴィーは店を出た。
このまま真っ直ぐ屋敷に戻ってもいいけど、フィーヴィーの歩行状況をもう少し観察するためにも少し寄り道するのも悪くないか。
はあ…それにしても…
今更ながらお金がない。
フィーヴィーを動かすまでに随分と使ってしまったのもあるけれど、そこまでならまだ余裕がある。
だけど、全ての修理を行い本格的に稼働させるには…結構な額のまとまったお金が必要…か…
今日、部品を見に店に訪れたのも実は今後の予定と大まかな見積もりを出すためだったけど…
これからの見通しが立たない……
どうしよう……?
「ご主人様どうしましたか?お店で商品を見てから落ち込んでいるみたいですし、買い物も殆どしていませんでしたし、何か問題でもあったのですか?」
「うん、実はね。お金が足りなくて他の部分の修理が遅れそうなんだ。それでどうしようか悩んでいたんだ。」
「なるほど、そういう事でしたか。ご主人様任せてください。こうして動けるようになりましたから大丈夫です。私、稼ぎます。」
「稼ぐって…一体どうやって…?」
「これです。この人を倒せばお金が沢山手に入ります。」
そう言ってフィーヴィーは賞金首の手配書を指差していた。
「ちょ、ちょっと!?賞金稼ぎなんて危ないよ。それに体もまだ直したばかりだから、いきなり無茶するのはよくないよ。」
「心配いりません、ご主人様。私、この人を探しに行ってきます。」
「あっ、……。」
フィーヴィーは走って行ってしまった。
走る彼女の姿を見て、こうして走れるまでになってよかったと思っている…
場合じゃないか…
追いかけなきゃと思ってももう見えないし、どうしよう?
と途方に暮れていたら彼女が戻ってきた。
「ご主人様、手配書の男を見つけました。早速行きましょう。」
「わっ!?ちょっとちょっと……!」
私の手を掴んだフィーヴィーは駆け足で私を引っ張っていった。