序章
「ごしゅじんさまー、次の街がみえてきましたー」
「あんまり列車の窓から顔を出すと危ないよ」
次の街に到着するのが待ちきれないのか、さっきから彼女がそわそわしている。
彼女の名前はフレイムヴィレッジ。
私は訳あって私の事を主人と慕う彼女と旅をする事になった。
「新しい街には何があるでしょうか、ご主人様?まだ見た事のないものがあるかもしれません」
「うん、それは到着してからのお楽しみだね」
「手強い賞金首がいるかもしれません。ご主人様に修理してもらった機能を試せますし、修理費用を稼ぐチャンスです」
「毎度の事だけど、あんまり危ない事はやってほしくないなあ…」
「私以外のリビングドールにも会えるかもしれません。どういう方なのか楽しみです」
そう、彼女…フレイムヴィレッジは人間ではない。
リビングドールと名付けられた人の様に考えて動く人形である。
私は他のリビングドールに出会うため、リビングドールの彼女と旅をしている。
「祖父の顧客リストによると、この街の人にも一体出荷しているみたいだけど、まだ無事で動いているといいなあ」
「それに、もしかすると…完全漆黒の手がかりも何か掴めるかもしれません」
完全漆黒を倒すために旅をしている彼女に、人形技師の私は付き添っている。
あの日の出会い…あの事件の末…
私は彼女はお互いの目的の為、一緒に旅をすると決めた。