112話≫〔修正版〕
よろしくお願いします。
上空の魔物を一気に殲滅する為に血まみれの広場に降りたった俺は、
血まみれの広場の赤色は血だけでなく鋭利な刃物で両断されたような死体で埋め尽くされているのだと認識し直した。
飛び散る臓器、大腸と小腸の見分けのつかない物が辺りに散乱し、糞尿の匂いと血の匂いが混ざり、強烈な悪臭となり辺りに立ち込めている。
その死体の半分程がローブを被っていて、
残りの半分は騎士鎧をつけていた。
どうやら王国の兵の死体のようだ…
そしてその血まみれの広場には数匹の風鳥獣が死肉をついばんでいた。
広場にいる個体は全部で5匹、どれも死肉をついばむのに夢中になり、俺の存在に気がついていなかった。
俺は気がつかれないうちにステータスを解析した。
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[風鳥獣]lv:36
[解説]
Bランク中位の魔物。全長2m
グリフォンの使う風属性の鎌鼬の魔法は強力であり、魔術師の使う上位の魔法と同等。
鉤爪も鋭く裂かれれば致命傷となり、嘴の攻撃も相手を穿つ威力を秘めている。
【風属性耐性】
【雷属性脆弱】
【風塵の鎌鼬】
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グリフォンは属性的に風の上位にあたる雷に弱いのだろう。
俺は剣を抜き放ち、身体に風を纏わせる。
【概念魔法】オリジナルスペル
「ー【我一陣の疾風を纏う】ー」
エレクトロンは早すぎてまだ移動にしか使えないがアイオロスはギリギリ戦闘にも耐えられるのだ。
俺は剣を構えアイオロスを効率よく身体に纏わせながら地面にしっかりと両足をつけて降り立ち、
降り立った瞬間地面を蹴りつけ5m程先にいる直線上に重なった2匹のグリフォンに…
久し振りに脳裏に浮かんだ戦儛技を発動した。
属性戦儛技…
「…【風突】ッ!!!」
体内のマナが魔力に変換され、それが更に風の属性を帯びる。
俺の体内のマナは無色透明だから明確なイメージを持って変換された時に属性に染まるのだ。
その魔力は手から剣に向かって流れて行く。
そして剣先が魔力を帯び刀身から鋭い緑の光が瞬く間に伸び、敵に迫る。
2匹のグリフォン慌てて回避しようとするが時既におそし。
重なったグリフォンは頭部を風の刃で貫かれ、穴が空き数秒後に絶命した。
そして俺の存在に気がついた残る3匹のグリフォンに向かい合う。
そして剣を下ろし逆の手を上げ、魔力を練る。
幸い周りに見ている気配は2つしかない。
しかもその反応は前に見た事がある人間だ。
よって少しくらいは問題ないだろう。
スキルー【全属性魔法】ー発動
雷属性下位槍魔法発動、
雷属性下位槍魔法発動、
雷属性下位槍魔法発動、
俺の周りに展開し限界まで密度を高めた3m前後の、3本の雷槍。
発動キー
「焼き殺せ…【中位雷参槍】…」
バチッ!!ババババババッッ!!!!バチッ!!
ドリルの様に回転し始め、
解き放たれた3本の雷槍はそれぞれ雷速でグリフォンに迫り逃げる間もなく穿つ。
そして数秒後、雷槍に内包されていた稲妻が弾け飛びグリフォンは完全な肉塊となった。
そして【魔力探知:強】に引っかかった背後2つの反応が動き出したのを確認して振り返り、
その顔が視界にはいった。
建物から僅かに見える半身は、
地面に膝をつき涙を流しながらも俺の戦いを記憶に焼き付けんと目を見開いていた金髪の少年。
歳は12、3歳だろうか…
同じく隣にべたっと座っているのは緑の髪の少女、こちらも歳は少年と同じだろう。
見覚えがある、と言うかついこの前に
【深淵の密林】で助け、
ご飯をご馳走になった少年と少女だった。
確か名前はルーデンスとリリー。
なんでここに?と思ったが少年と少女のステータスに前は無かったジョブが追加されてるのを確認し、納得した。
何が彼らの戦う動機になったのかは分からないけど、
彼らの進む道は時代の流れに巻き込まれ苦労するかもしれないな…
そんなおじいちゃん的思考をしながら、
これから来るイベントを考え、心の中で彼らに声援を送った。
「体力が切れかけてるみたいだから。これは体力回復薬っていうアイテムだ。
消費した体力と少しだけ精神を回復させてくれる。」
そう言いながら彼らにスタミナポーションを2つ渡した後、
広場を見渡し上空を自由に飛び回るデーモンやグリフォンを見上げた。
彼らは安心したのかへなへなと座り込んだまま俺の方を見ている。
だが大きな怪我もない様だし大丈夫だろう。
「俺は上空の魔物を叩いて来る。君たちは今はまだ逃げ隠れる存在でいればいい。」
それだけを言い残しここを離れようとした時、
「「あ、ありがとうございました!」」
緊張か他の何かかは分からないが、
僅かに上ずった感謝の声が聞こえて、遅れてきた俺にそんな言葉はもったいないと思ったが背中をからかけられた声を受けて心があったかくなるのを感じて無粋な事を言うのはやめた。
だが俺は感謝されるような人間ではない。
街に残る人々を助けたいと思う偽善的な気持ちの一方、
心の何処かでこの状況を楽しんでいるのだから。
歩みを再開し目の前の建物の屋根に飛び乗る。
そしてさらに跳躍し、屋根を伝い城壁の近くに向かう。
どうやら市民は先程殆どが避難出来たようで、
基本的に魔力が少ない一般人が多い為に使える判断方法なのだが、
【魔力探知:強】に反応する微弱な反応は殆ど街に居ないか、
一箇所に固まっている様子だ。
取り敢えず城壁を越えてきた魔物を交戦している所に飛行系の魔物も集中している様なのでそこに向かって飛ぶ。
城塞都市ガルテンの戦況は刻一刻と悪化している様に見えた。
【SideOut】
『半人族[lv:36]』 :【剣士】/【戦舞技師】/【全属性魔術師】
雪埜 奏
必要経験値/規定経験値:1490/3700
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:大】
【剣豪:Ⅰ】【魔力探知:強】
【体力補正:強】【筋力補正:中】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【竜種の咆哮】
【野生の本能】【下克上】【全属性魔法】
【魔力量増大:中】【隠密】【暗視】【魅了】
【砂塵の爪甲】【魔法操作:強】【思考加速】
【瞬間移動】【予測の眼】【血分体】【下位従属】
【魔法威力補正:中】【魔法命中率:強】
【超回復】【粘糸精製】【識字】
【色素調整】【剥ぎ取り補正:弱】
【異次元収納】【毒耐性:弱】【麻痺耐性:弱】
【雷耐性:弱】【炎耐性:弱】【氷耐性:弱】
【武器作成:Ⅰ】【格闘術補正:弱】【幸運補正:弱】
残存Point:[12]
所持金:[1096300エル]
称号:【魂を鎮める者】
【英雄の国の者】
[!]経験値10000を手にいれました!
※規定経験値を超えました。
3Levelupします。
必要経験値がresetされます。
3Point獲得




