105話≫〔修正版〕
よろしくお願いします。
「まぁ、ワシが知っているのはこのくらいだ。そろそろ戻らねば昼の飯を逃してしまうわい。」
俺はその緊張感のない言葉に肩の力が抜け脱力してしまった為、
大人しくダインの後をついて行く事にする。
「なぁダイン、何故俺に【魔物の氾濫】が起こる事を知らせた?
いくら魔力があったって1人じゃどうにもならないんだぞ?」
記述にあったとおり当時に拠点を責められればNPCじゃぁ…
…いや、まて、彼等はまだNPCなのか?
違うだろう。
既に人として自我を持ち活動するなんら代わりのない人間だ。
ならば拠点も守り抜く事ができるのではないか?
そう考えると俺を1番被害の大きそうな所に送り込みたいのだろう、この男は。
「だがなぜ【魔物の氾濫】が起こると分かったんだ?」
「ワシが上から聞いた話だと1ヶ月前にエルフの国の巫女の1人が未来を視たらしいな」
1ヶ月前、俺がこの世界で目が覚めた数日前だな。
それにその未来視、スキルなのだろう。
ずいぶんと便利なスキルもあるんだな。
「どんな未来が見えたんだ?」
「『いきなり襲って来た魔物達、砦の都市の人々は泣き叫び怨嗟の声を上げなす術なく、魔物は臓腑を喰い千切り愉悦の表情を浮かべる。大地には人の血の川が幾千と流れるだろう。』だそうだ。」
酷い…だが、やれる事はある筈だ。
視えた未来に写っていた断片的な単語。
砦の都市、
いきなり襲って来た、
なす術なく、
奇襲されてなす術なく全滅させられたって事なんだろう。
「カナデ、我々にカナデの力を貸してはくれぬか?」
さっきまではかなりうざかったが、今ではそのうざさはなりを潜め、
目の前には頭を下げた1人の老人が居た。
俺の力に頼り切ろうとしていない。
顔を上げたダインの瞳にはまだ強い炎が燻っているのが分かった。
「あぁ、もう!
ここまで聞いて断れると思ってるのか?
何人の人が死ぬとも分からないのに…
で、砦の都市って何処だ?」
「巫女の視た記憶から要点を纏め、
その人々が着ていた服や街並みを書き出してもらい鑑みた結果、思い当たるのは1つ」
そこでダインは言葉を区切り、俺を正面に見据えた。
そして都市の名を告げた。
ー【城塞都市ガルテン】ー
と。
「城塞都市ガルテンはここからは少し遠いと聞いたぞ。一応準備を含め3日程度で出るようにするが…」
「そうだな…魔法を使えば分からんが歩鳥車だと2週間以上かかるし巨鳥に騎乗しても1週間以上はかかる。
それに徒歩だと1ヶ月をゆうに超える。
なんせ帝国との国境に近いからな…
近いルートだとそうだな…
森伝いに行けば徒歩でも1週間とすこし、
騎乗して行けば5日かからないかもしれないな。
だが、魔物との遭遇率がやや高いかもしれぬが」
ビックモアとやらには乗った事ない。
乗り方も分からないし、
徒歩で森伝いに移動する事に決まりだな。
その事をダインに伝えて森を中にある更地をあとにする。
帰りに門番のおっちゃんに相当驚かれたけどそれはご愛嬌だろう。
なんせ昨日の夜に門をくぐって中に入った奴が外から帰ってきたのだから。
ウォルテッドの冒険者ギルドに帰ると何もなかったかのようにギルドマスターのダインと俺は5階のギルドマスタールームに戻った。
その時受付にいたエイラが「え!?えっ!?カナデさんが…2人?…はわわ…」とか言っていけど面倒だし弁解するのは後回しにしよう。
どうせ門番のおっちゃんと同じ理由で驚いているのだろう。
ギルドマスタールームに入ると気絶から戻ったシナモンさんがぶち破った壁の修理をしていた。
カマさんも壁を塞ぐ板を運んだり大変そうだ。
俺もダインも手伝う事になり、
その前にシナモンさんの説教を3人揃って正座して受けたのは良い?思い出だ。
カマさんに至っては完全なとばっちりだがシナモンさん曰く「止めない貴方もいけないんです!」だそうだ。
説教と壁の修理が終わり、黒光りするソファーに座り一息つく。
ダインも向かい側に座り黒光りする木の机に肘を載せてくつろぎ、そして話し始めた。
「すまんの、ワシが悪ふざけをし過ぎて少々懲らしめられて来た。」
その言葉にシナモンさんが再び気絶しかけるが、
なんとか意識は保ったようだ。
「ところで、本題に戻ろう。カナデのギルドランクじゃが、規則もあってそう簡単に飛び飛びで上に上がる事は出来ん。
じゃが、エンシェントアンデットドラゴンを討伐した事でのプラスと経験不足をマイナスとして、それを加味してBランクとする。
依存はないか?」
「やはり俺もそれが妥当だと思うな。」
「ああ、それで構わない。」
カマさんにも軽く考えてもらってBランクでも問題がないかどうかを確認し、
今日はお開きとなった。
そして帰り際にエイラの誤解を解いて(約1時間)今日も無事?に【猫丼亭】に帰宅した。
まだ昼過ぎだが、今日は疲れたので装備の確認をしたあとに夢の世界に吸い込まれるようにして就寝した。
【SideOut】
『半人族[lv:32]』 :【剣士】/【戦舞技師】/【全属性魔術師】
雪埜 奏
必要経験値/規定経験値:710/3300
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:大】
【剣豪:Ⅰ】【魔力探知:強】
【体力補正:強】【筋力補正:中】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【竜種の咆哮】【野生の本能】
【下克上】【全属性魔法】
【魔力量増大:中】【隠密】【暗視】【魅了】
【砂塵の爪甲】【魔法操作:強】【思考加速】
【瞬間移動】【予測の眼】【血分体】【下位従属】
【魔法威力補正:中】【魔法命中率:強】
【超回復】【粘糸精製】【識字】
【色素調整】【剥ぎ取り補正:弱】
残存Point:[16]
所持金:[1096300エル]
称号:【魂を鎮める者】
【英雄の国の者】




