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Soul-Move -新章開始-  作者: 癒柚 礼香
【エスナの地下迷宮】
79/145

98話≫〔修正版〕

よろしくお願いします。











ーー3階層ーー


「………やっと着いたな…」


金属製の重厚な扉を前にしてカマさんが声を発する。


そしてその声は周囲の壁や扉に反響して不思議な音色をかなでていた。


「………ここが、3階層のボスの居る部屋なのか?」


3階層を進むうちに遭遇する魔物の数は減っていき、

最終的にこの扉の前に立つまでに6匹のビックアーミーモンキーにしか遭遇しなかった。


それを武器が無い為かやや危ない手付きで始末したカマさんと、

武器のリーチのおかげである程度の余裕を持って始末した俺の違いはあれど他は特にこれと言ったイレギュラーが起こる事もなかった。


どうやら【魔力探知:強】に魔物は引っかかるが魔物が俺達を感知できる距離に居なかったのだろう。


運が良いとしか言いようがない。



「あぁ、ここが【エスナの地下迷宮(ダンジョン)】3階層ー【混沌の間】ーだ……」




ギィィィィィィィ…………




次の瞬間、金属製の重厚な扉は左右にゆっくりと開いていった。


100m四方の部屋は兎に角広く、

そして扉から伸びる血を吸ったかのような紅い絨毯は玉座に続いている。


奥に黒光する黒曜石の様な素材て出来た巨大な玉座はどっしりと鎮座していて、

表面には金で出来ているであろう精緻な意匠が施されている。


そして玉座に座る全身を黒塗りにした様な巨大な人型の魔物。


俺とカマさんはゆっくりと扉をくぐり抜け部屋の中に踏み出し、その魔物の全貌を視界に捉えた。



スキルを発動する為にその人型にフォーカスを合わせ魔物の情報を読み取る。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


上位悪魔(ハイデーモン)]lv:30



[解説]

Bランクの中でも強力な魔物。自分よりレベルの低い悪魔系統の魔物を複数召喚する。[中位悪魔(ノーマルデーモン)]の上位種。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



目を凝らすと黒だと思っていた体躯は赤黒く血を固めたような色をしている。

座っているので推測だが全長は5mはあるだろう。

背中から生えた翼は広げたら10mはゆうに越すのではなかろうか…


流石にこのボスの間で存分に使う事は出来ないだろけれど、手足の爪は1m程もあり、切り裂かれればひとたまりもない。


そして側頭部には2本の巨大な角がそびえていて、更に1本の鋭い角が額から生えている。


瞳は金色の色彩で染められていて、

爬虫類種の様に縦に割れた瞳孔が見える。


極め付けに口元から覗く2本の牙も金色に光っていて神々しささえ感じる。


俺は即座に戦闘体制に入り剣を抜き、

カマさんはガントレットを打ち鳴らし腰を落とした。


「……来るぞ…」


カマさんの言葉の直後、

玉座に座るハイデーモンが胸を逸らした。

そして息を吸い込んみ内蔵を破裂させるかの様な低く重い咆哮を放った。



「-----------------------------------------!!!!!!!!!!!」



その咆哮が終わると同時に玉座の周りの地面や壁が波打ち黒い人型が5匹顕現した。


ハイデーモンよりも一回り小柄な体躯、

だが感じ取れる魔力の反応もハイデーモン程では無いにしても強力な物だった。


俺はさっきのステータスの内容を思い出した。


ーー自分よりレベルの低い悪魔系統の魔物を複数召喚するーー



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


中位悪魔(ノーマルデーモン)]lv:25


[解説]

Cランク中では中間の強さの魔物。[上位悪魔(ハイデーモン)]程の知能は無いが、人に近い思考能力は存在する、だが悪魔系統の種族は孤高を好む為連携は苦手。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そういえば解説が僅かばかり詳しくなっている気がするのは気のせいだろうか、レベルの上昇と共に詳細になっていくと言うのは推測済みだが…


レベルが30になれば何かしらアクションが起こると思われるが詳しい事は分からない。


あくまで今までのレベルやスキルの上昇や派生の結果から考えた推測に過ぎないが…



ちょっと現実逃避していたけれどもこれは結構まずい気がする。


玉座に座るボス級魔物はBランクの30レベル


取り巻きの魔物は5体ともCランクで25レベル


俺は取り巻きと戦っても【下克上】が使えないから剣や拳では時間がかかってしまう。


となると魔法だろうか。


幸いにもハイデーモンが玉座から腰を挙げる気配はない。



やるしか無いか。


そうと決まれば行動は早い。


スキル【弱点解析ウィクネス・アナライズ】発動


1体のノーマルデーモンを視界に捉えるとその個体の心臓部と思われる胸の中心と頭部が赤く光った。


悪魔系統とは言え心臓や頭部を潰されれば死ぬことは分かった、時間が惜しい。


俺は直ぐに次の行動へと移る。



…スキル



全属性魔法オール・アトリビュート・マジック


ー発動ー


炎属性中位槍魔法発動



炎属性中位槍魔法発動



炎属性中位槍魔法発動



炎属性中位槍魔法発動



炎属性中位槍魔法発動



「ぐっ………」


耐えろ。

耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ!!!


体内から急速に何かが抜けて行く感覚、

思わず膝を付きそうになるのを堪えて制御に集中する。


循環(サーキュレーション)】の容量で集いゆく熱の密度を高め、

赤い炎が紅く、更に紅く、紅黒くなってゆく。


俺の周囲に集う、鉄をも瞬間的に溶解する程の温度を内包した長さ4m程の渦巻く5つの炎槍(えんそう)

既存の魔法からかけ離れたその魔法は、

既に古代魔法と仮称した魔法と変わらない領域にまで達していた。


発動キー


「…【中位炎伍槍ミディアム・フュンス・フレアスピア】…」



……ギュルルルルルルルルルーーーー!!!!!!!



回転を始め推進力を増した5つの炎槍はノーマルデーモンに向かって各々が飛び出す。


そして寸分たがわず着弾し、

全ての頭部を抉った後、ノーマルデーモンの上半身を巻き込みながら爆破した。


代わりに周囲に顕現した炎槍が離れていった直後、視界が歪み膝の力が抜け落ち床に崩れ落ちるハメになったが…


(……やばい……焦りすぎたか……ッ…)


『…大……か!…丈夫…かっ!…カ…デ…』


この声は …は…カマさんか?


くそっ…このままじゃまずい、ハイデーモンが…


なんでそこまで気が回らなかったんだ!


俺は自分の浅はかさを呪いながら、

ノロノロとした動きで腰のポーチに手を伸ばしたが、

その前に喉を通る甘い液体を無理やり嚥下させられ意識が一気に覚醒した。


「大丈夫か!?おい!大丈夫か!?カナデ!」


目の前にはカマさんが俺の背に手を回し起こしてくれていた。


カマさんにそんな気は無い。

あくまで真剣な表情だ。

なびくフリルがシリアスを邪魔するが…


カマさんの空いた手には空の瓶を握っていたことから意識が切れる前に魔力回復薬(マナポーション)を使ってくれたのが分かったが、

これが魔力欠乏症なのだろう。


前にもエミリーと会った時と、

ダストファングバードを倒す時になった気がするが如何せん記憶が曖昧で断言は出来なかった。


「俺とお前はランクが違くてもパーティなんだ。カナデはランクなんか目じゃないくらい強いかもしれない…だがな、今は仲間なんだ、1人で無理をするな、俺を頼れ。背を預けろ。いいな?」


そうだった、目の前の敵を倒す事だけ考えて味方との連携を疎かにした。


結果はどうだ、ノーマルデーモンは倒せても、今現在ハイデーモンに背を向けているカマさんは俺のせいで危険に晒されてるじゃないか…


「すいませんでした。…ありがとうごさいます」


カマさんは満足げに頷いたあと立ち上がりハイデーモンを睨んだ。


奇しくもそれはハイデーモンと同じ行動であり、カマさんの瞳とハイデーモンの割れた瞳孔の見た先が重なったように見えた。


「…………立てるか?…カナデ…」


カマさんが俺の方を見ないで聞いてくる。


俺は簡潔に返事をしたあと、カマさんの隣りに並んだ。


大きく息を吸い肺に大気中の酸素とマナを行き渡らせる。



ー【縛りの咆哮(バインド・ロア)】ー



「GURAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!」




「オラァァァァァァァァァァァァァ!!!」




「グギャァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」




俺の咆哮とカマさんの雄叫びが、

玉座から立ち上がったハイデーモンの咆哮を

上書きするように掻き消した。


ここを抜ければ一気に4階層だ、

全力で行かせてもらう。






【SideOut】



半人族(デミヒューマン)[lv:28]』 :【剣士(ソードマン)】/【戦舞技師ダンズ・ワー・トリッグ】/【全属性魔術師オール・アトリビュート・ウィザード


雪埜(ユキノ) (カナデ)


必要経験値/規定経験値:1955/2900



能力(スキル):【戦舞技(センブギ)補正:強】【鈍感:大】

【剣豪:Ⅰ】【魔力探知:強】

【体力補正:強】【筋力補正:弱】

解析の眼(アナライズ・アイズ)】【弱点解析ウィクネス・アナライズ】【縛りの咆哮(バインド・ロア)

new!【竜種の咆哮(ドラゴ・ロア)

野生の本能ワイルド・インセィティクト】【下克上】【全属性魔法オール・アトリビュート・マジック

【魔力量増大:中】【隠密(スパイ)】【暗視(ナイトヴィジョン)】【魅了(チャーム)

【砂塵の爪甲】【魔法操作:強】【思考加速(アクセラブレイン)

瞬間移動(ワープ)】【予測の眼(ヴィジョン)】【血分体(ブラッド)】【下位従属】

【魔法威力補正:中】new!【魔法命中率:強】

超回復(ハイ・リカバリ)】【粘糸精製】【識字】

色素調整ピグメント・アジャストメント】【剥ぎ取り補正:弱】


残存Point:[7]


所持金:[105900エル(10万5千9百エル)


称号:【魂を鎮める者(クロムソウル)





カナデは経験値3750獲得



※[カマさんは経験値0獲得]



[!]パーティ打倒による経験値分割はありません



経験値3750を手に入れました



※規定経験値を超えました。



1levelupします。



必要経験値がresetされます。



1Point獲得



【魔法命中率:中】→new!【魔法命中率:強】



[!]【派生補正(デリベイション):中】

能力(スキル)の派生率[中]上昇 により、スキルが[派生/進化]しました!



縛りの咆哮(バインド・ロア)】→new!【竜種の咆哮(ドラゴ・ロア)



竜種の咆哮(ドラゴ・ロア)

自分より実力の低い(レベルの以外のステータスも含み)対象を高確率で行動不能にする。効果は最大10秒、また竜種の咆哮系スキルには同種の咆哮や吐息を打ち消す効果もある。







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