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Soul-Move -新章開始-  作者: 癒柚 礼香
【エスナの地下迷宮】
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82話≫〔修正版〕

よろしくお願いします。









まぁ、

一言で言うと美少女だ。


「冒険者になりたいんだけど、今から登録出来る?」


「あっ、はいっ!今すぐできまひゅ!」


あ…噛んだ…


紫髪の美少女は顔を真っ赤にして俯いてしまった。


仮にも冒険者ギルドの受付がそんなんでいいのか?と思ったがまぁ仕方ないか、

新人かも知れないしな。


「ほら、落ち着いてもう一回言ってみようか。落ち着いてーすーすーはー、すーすーはー」


俺は美少女の肩に手を置き優しく深呼吸させた。


深呼吸チガウカー。


「ふぇっ、は、はぃ…すーすーはー、すーすーはー、」


やばい、なんですかこの生き物は…


すぐに悪い人に連れて行かれそうな予感しかしない。

お兄さんは心配だ。


「すー…はぁ〜…ふぅ、ありがとうございました、お恥ずかしい所を見せてしまってすみません…えっと…冒険者登録で宜しいんですよね?」


美少女は恥ずかしい所をお見せしましたと言い、

僅かに頬を朱に染めながらだがさっきよりは落ち着いた声色で言葉を続けた。


「大丈夫だよ。そう、頼めるかな?」


「は、はいっ!では、この用紙にお名前と年齢、性別、種族、加護神、職業を記入して下さい。」


加護神?


それは髪色と同じ神の事か?


今の俺はよく見なきゃ分からないけど紫色だから…何だっけ…


まぁ後で聞くとするか。

幸いにも目の前の美少女の髪色も紫だしな。


名前は カナデ・ユキノ


年齢は…いくつだっだっけ、17でいっか。


性別は男、っと。


んで、種族は…人族でいっか。


別に半分くらい人間じゃ無くても大丈夫だろう。


加護神は一応飛ばしておいて、


職業は…全属性魔術師オール・アトリビュート・ウィザードだとまずそうだな、


※大陸が震撼しちゃいます。


だから剣士(ソードマン)でいいか。


※妥当な判断です。


「ここの加護神ってさ、自分の髪の色の神様書けばいいの?」


「あ、はぃ。そうです、えっと…カナデさんですね、カナデさんはわたしと同じ冥闇神ベクターナ様の加護を授かっているみたいですね……うへへ………はっ、で、ですので冥闇神ベクターナ様と書けば宜しいかと!」


なんか一瞬浮ついた表情になったのは気のせいだろう。

俺との会話で浮かれてくれる要素は見当たらないからな。


「あ、ありがとう。…えっと、」


「わ、わたしはエイラです。呼び捨てでいいですよ?」


「わかった、宜しくなエイラ、」


「は、はいっ!」




そこだけ後光がさした気がしたがあながち間違えではないだろう。


俺は確かにエイラの背後から光を感じた。




俺、異世界の受付嬢舐めてたのかも…


前の世界なんて目じゃないよ…


まぁ、エイラと張れそうなのは.

前の世界に置いてくる事になったソラだけだな。



もちろん血分体(ブラットドール)のソラとは違う、前の世界での数少ない話し相手である。


俺の…


ってこんな事考えてたらいつまでたっても冒険者になれないな。


俺の雰囲気が変わったのを察知したのかエイラはすぐに畏まり説明を始めた。


流石受付嬢、空気を読むのがうまい。

受付嬢とはそういうものも持っていたのか。


「すみません、話が逸れてしまいましたね。それではギルドカードを発行するするまでの間、冒険者ギルドの説明を受けますか?」


テンプレがキターー。


もちろん答えは、


「お願いします」


である。


もちろんそんな事を考えてるなんて悟らせないよう優しくスマイルしながらのお願いしますだが。


「は、はぃ、それでは説明させていただきます。」


「お手柔らかに」


「はい、では説明させて頂きます。…冒険者を統括し、

実力と実績に応じて仕事を斡旋するのが冒険者ギルドです。

この街以外にも人が集まる所にはギルドの支部が置かれていて、

ギルドは国家に属していなく独立しています」


やはりギルドは独立して政治的にも独立しているのか。


だから国家の干渉は受けない…


こんなの国が許すのか?


そんな事を思いながらも、

エイラに続きを説明してくれるように促せば、気分が乗って来たのか噛む事なく説明を続けた。


「冒険者ギルドは冒険者の実力をランク付けしています。ランクにはE・D・C・B・Aの5段階あります。

最初に冒険者として登録された方は最低ランクのEランクになります。

もちろんカナデさんもEランクからですね。」


「ハハハ、まぁ、そうなるね。」


いきなりランク上がったら周りがうるさそうだしね、

ぶっちゃけて言えば俺は登録さえできればいいんだし。


「依頼は冒険者のランクと同じく5段階あります、特例を除いて冒険者は依頼の難易度で、自分のランクと同じ依頼を受けるんです。」


「特例って?」


「特例は魔物の襲撃から街を守る時ですね。その時は難易度が高くても全員参加になる場合と、一定のランクより上の冒険者が対象になる場合があります。」

 

「へぇ、そうなのか。」


非常時に冒険者が手を貸して戦力として街を守る。


その代わりに国は冒険者ギルドを懐刀として国内に置いておく。


冒険者は日々強くなるし、

しかもそれは国が冒険者を育てるわけじゃなく、勝手に強くなっていくから…確かに悪くない手だな。


「ランクは冒険者ギルドが責任を持って付けいます。なので特例を除き冒険者ランクより難易度の高い依頼はギルドは勧める事は無いですね。」


「まぁ、そんな事したら下手したら死ぬしな。ようは自分より上のランクは受けられないって事か?」


「は、はい、その通りです。お話が早くて助かります。」


 まぁいざって時に冒険者が死にすぎて数が足りなくなるのは馬鹿みたいだからな。


ランクの低い人間には難しい依頼を受けられないようにしているんだろうな。


「冒険者はCランクが1人前とされていますが、Aランクには二つ名が付きます。【強剣のオリエール】【不破のゴドフリー】【氷姫フロイズ】【滾るオカマ】でしょうか。」



思ったより厨二病臭くないな、【紅のジャスティス】みたいなもっと凄い感じの名前が来ると思ってたのに。


…………いや、ちょっとまて。

【滾るオカマ】って何だよ…



絶対会いたくない。



あ、今フラグ立てたかも……


まぁ気にしていても仕方が無い。

もし掘られそうになったら全力で阻止しよう。


でも、Cランク…おっさんのランクか…


「あの…どうかしました?」


「あ、ごめん!続けて。」


どうやら少し考え過ぎていたようだ。


「はい、わかりました。Bランクにもなるとかなり待遇が良くなります。Aランクなどはもはや国賓級の扱いを受けます、国民が歓迎する事すらあります。なんせ世界でも数人しかいないですからね。」


「凄いね…」


そのAランクの冒険者のレベルはいくつなんだろうか。


どんなスキルをもっているのだろう。


どれだけの死線をくぐってきたのだろう。


頭の中に様々な疑問が浮かび上がっては消えてゆく。

これからがとても楽しみである。


「ランクの昇格は、冒険者ランクと同じランクの依頼を5件こなすことで昇格となります。ですが急ぎ過ぎて我を失い、身の丈に合わない依頼を受けて死んじゃう人も結構いるんです…。ですから、カナデさんも焦らないで下さいね?」


受付に座るエイラは僅かに席を乗り出し俺を見つめてくる。


その瞳は僅かに潤んでいて、心配してくれているのが伺える。


これを断れる男がいるだろうか


いや、居る訳がないだろう。


「大丈夫、自分の実力に自惚れてなんか無いから」


自惚れる訳がない。

ローランドのおっさんにあの敵を任せてしまった俺が、強者を名乗る事など出来はしないし、自惚れるなど考えもしなかった。


「なら良かったです、説明はこれで終わりになります。そろそろギルドカードが出来上がると思うんですけど…ちょっと見てきますね!」


そういいながらエイラは受付の奥に走って行った。


後姿を見たとき、

お尻のあたりに白いボンボンみたいな物がついていたのは気のせいではないだろう。










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