70話≫〔修正版〕
修正版。
よろしくお願いします。
今は目が覚めてから25日目、多分昼ごろだろう。
クラン【ピアロマイアスの麗槍】のメンバー4人と別れてから、
俺は真っ直ぐに進み立ちはだかる魔物を全てソラと共に斬ってすすんだ。
ただ、無心に、ひたすらに、がむしゃらに…
そして今目の前にそびえる扉こそが、
【エスナの地下迷宮】2階層
ー【餓鬼の間】ー
奥にある玉座の前に立ち塞がるのは、
1体の[単眼鬼]。
全長は3mを越え、4mに至る程の体躯。
筋骨隆々なその身体は鎧などなくとも天然の防具となりうるのだ。
顔の半分を占めるのは赤く光る単眼、それは今俺とソラを睨みつけている。
手に持つ棍棒は荒々しさを一層際立て、腰に巻かれた茶色い布も荒々しさに一役買っていた。
俺は間髪いれずに解析スキルをかけて分析する。
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[単眼鬼]lv:25
[解説]
強い個体は稀に自分よりレベルの低い鬼系統の魔物を複数、従える事がある
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やっと俺と同じレベルのボスが出たか…
だが格上じゃないからスキル【下克上】はまだ使う事は出来ない。
そして[単眼鬼]の周囲には5匹の[混沌小鬼]がはべっている。
どれも森で見たゴブリンよりは体格が良いが、ゴブリンのレベルは全て12と均一だった。
「主…ゴブリンは私が受け持ちます。」
外見が8歳の俺に戻ったソラは何処からともなく赤黒い剣を抜き放った、
正確には胸から抜いたのだが表現すると生々しいので割愛する。
名をくれた主、造ってくれた主の役に立ちたい。
だから私は【血剣ダインスレイヴ】を抜き放ったのです。
血を渇望せし剣【血剣ダインスレイヴ】を。
「さんきゅ!じゃあ…行くぞ!!」
その掛け声をコングとみなしたサイクロプスはゴブリンに向けて声を上げた。
俺はサイクロプスに目掛けてまずは挨拶変わりに先制で戦舞技を放つ。
戦舞技ー【一投刹那】
サイクロプスの大きな単眼を狙って懐の短剣を全力で投擲した。
青い線を残しながら高速で迫る短剣をサイクロプスは、
隆々とした筋肉で無理矢理持ち上げた棍棒によって防ぎ切った。
無理矢理軌道上まで持っていかれた棍棒に突き刺さった短剣は輝きを失い、俺も予想外の動きに目を見開くが、
これくらいのイレギュラーに対応出来なければ俺は数十回は死んでいる。
そしてこれをチャンスに変えるとすれば、
サイクロプスが目を庇った、ここが狙い目となる。目だけに。
……………そう。サイクロプスは俺の事を一時的とは言え視界から外した事により、俺の位置を見失っているのだ。
俺はスキル【弱点解析】を発動させ、
更に【予測の目】も重ねて発動させた。
確実を期す為だが、スキル【予測の目】ばかり使っている訳にもいかない為速攻で決める時しか使わない。
サイクロプスの目の位置と胸の中心が赤く光り俺に弱点を知らせる。
〈敵を見失った為棍棒で床すれすれを薙ぎ払ってくる〉
刹那、導き出された予測が脳裏に浮かび俺は上体を落とし一歩踏み込む事によって、あえてサイクロプスに近づいた。
そしてサイクロプスの棍棒をさながら高飛びの背面飛びの様に跳躍して回避する。
そのままスキル
【全属性魔法】発動
岩属性下位槍魔法発動
下位の岩属性の槍を使うの始めてだが、
全ての属性を使い慣れておかないといざという時困るだろうし、この場合あの筋肉を貫通させるとなれば硬く、鋭い物がいいしな。
空中で体制を完全に整え、サイクロプスを見据える。
そしてスキルの発動した後、直ぐに身体を逸らし投擲の体制を作り、
肩の後ろまで引いた手の平に魔力が渦巻き、
次第に岩の槍を顕現させていく。
それも無骨な岩ではなく洗練され、表面は磨かれたように光を反射した。
その岩の槍はやがて回転し始め、今か今かと血を求め回転力を高めていく。
そして俺は、身体の反りが限界に達した時、敵を穿つ発動キーを唱えた。
「【岩の槍】!!」
反らした身体を弓のようにしならせ、手に乗った岩の槍をぶん投げる。
その行動により岩の槍が放たれるまでの時間は1秒かからず、発動キーと同時に投擲された。
その石槍はまるで矢のように直線を描き、
サイクロプスの下腹部をこれでもかと言うほどに大きく穿った。
「ギャァァァァァァァァァ!!」
だが、さすがCランクと言えよう。
サイクロプスは下位の魔法をスキルで変態的に強化しても一撃死とまでは行かなかったようだ。
しかしすでにサイクロプスは虫の息、
【予測の目】も発動する気配がない。
俺は近寄る事なく再び魔法を発動した。
炎属性下位槍魔法発動
発動キー
「…【炎の槍】…」
「……ガ……ァ…………ァ…………………」
サイクロプスの断末魔は炎の槍の暴力的な爆発と爆風によって掻き消された。
手助けをしようとソラの居る方向に振り向けば、5匹いたゴブリンは4匹が床に倒れ伏していて、最後の1匹も既にソラの手刀によって頭部を貫通され、
死体は地面から数cm程浮き上がっていた。
「こちらは始末を終えております。…炎属性の魔法は使い所が選ばれますね。主」
「大丈夫だ…ついこの前間違えたから」
「……………」
俺とソラは少し気まずく(主に俺のせいだが)なったが、
先を急ぐ為に玉座の裏に開いた3階層への扉に入り、下に続く階段を見下ろした。
「…あるじ………」
「嫌な感じがするな…だけどここを通らなければ下には行けないか…」
「はい…この通路以外に下層に至る通路は確認されておりません。」
「…よし、じゃあ腹くくって行くか…」
「了解しました。主」
【SideOut】
『半人族[lv:25]』 :【剣士】/【戦舞技師】/【全属性魔術師】
雪埜 奏
取得経験値/必要経験値:1600/2600
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:中】
【剣術補正:強】【魔力探知:中】【体力補正:強】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【野生の本能】【下克上】【全属性魔法】
【魔力量増大:中】【隠密】【暗視】【魅了】
【砂塵の爪甲】【魔法操作:中】【思考加速】
【瞬間移動】【予測の眼】【血人形】
【下位従属】【魔法威力補正:中】
【魔法命中率:中】【超回復】
【粘糸精製】
残存Point:[3]
加護:なし
称号:【魂を鎮める者】
経験値800を手に入れました
※ボス級魔物打倒により2Point獲得しました!
ついに3階層にふみいれるカナデと【血人形】のソラ。
果たして最下層にたどり着く事は出来るのか。
そして取り残されたローランドは今!
↑まぁローランドの話は少し先になりますがね。




