69話≫〔修正版〕【ピアロマイアス】
よろしくお願いします。
俺は背筋のゾクっとする言葉を頂いた。
背中が痒いぞ…ェ
「…当たりだ…」
意味は分からなかったけど、背中を伝う汗の一粒まで認識出来るほどに不安になった。
ソラはさっきの会話など記憶に無いと言わんばかりにイケイケの顔を晒して今は至って平然としている。
自己紹介した所当たりと言った艶のある紫色の髪を持ち、アメジストの様な輝きを持つ見た目20代前半の女性、ロゼッタさん。
身体つきは細身で、俊敏な動きが得意そうだ。
ステータスを見たところレベルは20とそれなりに高い。
どうやらこの人がリーダーらしく、このクランのランクはCランクらしい。
2人目は自分の事をウチと言う豪快な女性は
むさい男が嫌いなベルベットさん。
ウェーブのかかった燃えるように赤い髪を後ろに流していてなんというか…豪快だ。
瞳は燃えるように爛々としているのだが、目の形が落ち着いた雰囲気を醸し出している為か不思議と嫌な感じはしない。
これは多分調和が取れていると言うのだろう。身体つきもがっちりとしていて身長も大きかった。
レベルはロゼッタさんと同じ20レベルだった。
3人目は盗聴の結果
語尾が伸びるゆっくり口調だと言う事が判明した緑髪の女性。彼女たち曰く天然らしいミーシャさん。
ライトなエメラルド色をしている髪は腰の辺りまで伸びていてサイドをツインテールにしているハーフツインテールと言う髪型をしていた。
俺は新世界へ開きかけた扉をアイアンクローで閉じた。
レベルは18とクランの中では1番低かったが、バストはクランのメンバーの追随を許さずマックスだった。
おっふ。
4人目はお姉さんっぽい雰囲気を漂わせる青髪の女性。
名前はアイラさん。
青い髪はストレートで肩まで流れていて、肩から胸まではわずかにウェーブしている。
青い瞳はどちらかというと色素が薄いようで水色にも見える。
唇の横にあるホクロと胸元にあるホクロがエロかった。
取り敢えずお姉さんっぽくて色気が漂っている。
しかも世話を焼くのが好きなようで将来はいいお嫁さんになる事確実である。
レベルは21とクラン内で1番高いようでギルド内でも有名な様だ。
このクランの名は【ピアロマイアスの麗槍】
クランの名にもなっているピアロマイアスの麗槍の由来は神々が人間に授けたされる見惚れる程美しい槍の神器の1つらしく、
今は消息が不明になっているらしい。
クランの名前は伝説の武器から村の名前まで様々らしくどんな名前をつけても良く、かなり自由度が高いらしい。
なる程、確かにこのクランの人はみんな綺麗だな。
場所がダンジョンでなければ誘われたら付いて行ってしまいそうだ。
どことは言わないしここはダンジョンだからそれはないが。
そのあと少しソラを交えて雑談する事にした。なんせ俺の目的の1つには人間のいる世界に踏み込んだときのパイプが必要なのだから。
人里に降りればまずする事の1つに、冒険者登録が入っている。
となるとここら辺一帯を拠点として活動する冒険者にツテがあれば色々と優先的に情報も手にはいるし、何かと有利に働く筈になる。
そうしてピアロマイアスの麗槍との平和な時間が続き今日は交代で見張りを立てて寝りにつく事にした。
目が覚めてから25日目が経過し、朝を迎えた。
そしてロゼッタさんの何気無い質問に返した俺の返事が周囲の温度を変える事となる。
「カナデさんはこの後どうするの?」
「俺とソラはこの後3階層に降りる予定なんです」
「ちょっと!2人で3階層は危なすぎるわ!」
ロゼッタさんは急に口調を変えて心配そうに声を荒げる
「3階層はここみたいに休める場所もないらしいからな…」
「たしかにあそこは入り口まで行った事はあるけど無謀だよーそこら中死体で溢れてるんだよー。」
「お姉さん心配だわっ!」
ルーデンスも、リリーも、ロゼッタさんも、ベルベットさんも、、ミーシャさんも、アイラさんも、
俺がこの世界で目が覚めてから出会ってきた人達は何故皆こんなにいい人なんだろうか。
俺はこの出会いに感謝した。
まだ、俺はこの世界の裏を知らないのだから幸せ者だろう。
知らないと言う事とは。
「でも…いかなきゃ行けないんです」
ソラも大きく頷いた。
「我々には迎えに行かなければならないお方が最下層におります。助けに、いかねばならないのです」
「そう、俺はローランドのおっさんを…」
周りの女性達が固まるのが分かるが、俺は言葉を止める事は出来なかった。
だがピアロマイアスの麗槍のメンバーが言葉を失い唖然としたのも頷ける。
3階層から難易度が一気に跳ね上がり
最下層である4下層のボス部屋はそれこそ規格外なのだ。
しかも4階層にまともな方法で辿り着いた者は本当に少ない、しかも強制転移のトラップにかかると言う事は生存の確率は1%にも満たないのだ。
「4階層って…まさか強制転移?…うそ…ここ最近無いと思ったのに…」
そこでロゼッタさんは口に手を当てて顔を青く染めた。
「はい…俺は絶対に"アレ"には敵わないと思った。けどいつか、迎えにいけるだけの力をつけて挑む。その為に下に行かなきゃ行けないんです」
「で、でも…」
分かってるさ、そんな事。
俺はロゼッタさんの言葉を途中で止めた。
でも助けに行かなきゃいけない。
俺の目的でもある強くなる事、
おっさんを迎えにいく為に強くなる事、
この目的は重なったから、一石二鳥だ。
おっさんの所までいけて、強くなれる。
俺はその事に付随するリスクを頭の端に追いやっていた。
ベルベットさん以外はとてもオロオロしている。
ベルベットさんはただ俺の事を見つめている。
俺達に情が湧いてしまったのだろうか…
それは考え過ぎだとしても四人とも程度の差はあれとても心配そうな顔をしてくれている。
安心させないとと思い俺は焦った。
そして壊れものを扱うように優しくロゼッタさんを抱擁した。
「大丈夫です…死にに行くつもりは無いですから」
俺はこの時既に先を見ていて、今の状況など後々は殆ど思い出す事は出来なかった。
最初は強張っていたけど言葉を紡ぐうちに直ぐに体重を預けてくれた。
もちろん1人をだけでは無い、この短い付き合いで心配してくれるピアロマイアスの麗槍のメンバー1人1人を優しく抱きしめた。
はうっとか、おぉとか、ひゃっとか、きゃっとかいろんな声が聞こえたが、俺にとって知り合った人々は皆大事にしたい。
俺は友達、友人と言う物が出来るのが想像していたよりも、嬉しかったのだ。
心の隙間が埋まる様な感覚、最初にローランドのおっさんと知り合ったとき、俺の心は満たされていた。
そしてそれが欠けた時に心配してくれる人々、
普通の人間かならばコロッと甘えたくなるのも無理は無いのだろう。
俺とソラはこの隠し部屋のような空間を出て、2階層のボスの間を目指した。
【SideOut】
『半人族[lv:25]』 :【剣士】/【戦舞技師】/【全属性魔術師】
雪埜 奏
取得経験値/必要経験値:800/2600
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:中】
【剣術補正:強】【魔力探知:中】【体力補正:強】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【野生の本能】【下克上】【全属性魔法】
【魔力量増大:中】【隠密】【暗視】【魅了】
【砂塵の爪甲】【魔法操作:中】【思考加速】
【瞬間移動】【予測の眼】【血人形】
【下位従属】【魔法威力補正:中】
【魔法命中率:中】【超回復】
【粘糸精製】
残存Point:[1]
加護:なし
称号:【魂を鎮める者】




