65話≫〔修正版〕【血のソラ】
25、26話の修正版あげました。
目を通してくれたら幸いです。
よろしくお願いします。
目が覚めてから24日目の朝を迎えた事を、
ダンジョンの中の明るさが外の太陽の明るさに比例して僅かに増す事で認識した。
【エスナの地下迷宮】2階層で、ボス級魔物としてCランクの魔物が出現するらしく階層をうろつく魔物のランクは殆どがDランクだそうだ。
冒険者の適性ランクはローランドのおっさんと同じCランク又はCランクのパーティらしく、
この2階層までがこの世界の一人前の冒険者にとっての限界とも言える場所であり、
自身のランクと同じボス級魔物と対峙する事によって壁を乗り越えるか、乗り越えられないかが、が分かるそうだ。
何故、同格の魔物を倒す事で壁を越えた事になるのか。
それは魔物のランクと冒険者のランクが同じ場合、
一般的には互角と見なされるからである。
まぁこの情報はあの4人組パーティから盗聴した話だから情報の信憑性はいまのところ不明だが、4人に共通する常識ならば信憑性は高まるだろう。
そして、まずこの階層にきて最初に遭遇した魔物はローランドと最初に出会った時に交戦していた魔物の1体、
[骸骨騎士]である。
どうやらこの階層では頻繁に出現する魔物のようで、
現に俺を3体程で囲んで殺そうとしてくる。
3体のスケルトンナイトは一般的な量産品と思われる剣と盾、そして鈍い鉄色に光る鎧を装備していた。
3体のスケルトンナイトを相手取り、
ずっと使って見たかったスキルを試しに使用してみる。
スキル【下位従属】を発動
スケルトンナイトのレベルは平均13レベル。
そして俺のレベルは25、レベルは俺のほうが上なのでスキルの解説を信じるならば、支配できる筈だ。
スキルの発動を感じ取った直後、
スケルトンナイトの空洞の目の奥に灯る赤い炎が青く変わり、
盾と剣を持っていた手はだらりと垂れ下がった。
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[!]スキル【下位従属】の効果によりスケルトンナイト3体を支配!
残存空きスロット:4
□□□□■■■
あと4体まで支配下に置けます。
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本当に出来るとは思わなかった為か、驚愕を隠せない。
やがて力なく垂れ下がった腕に力が入ったように見え、
剣を腰の剣帯に戻し、片手を胸に当て、
頭を垂れて片膝を地面に着け、騎士の礼をした3体のスケルトンナイトが視界に映った。
このスケルトンナイト達は生前も騎士であったのだろう。
前に居た俺の世界で良く知られて居たのは、アンデット種は特に生きているものへの憎悪が多いとされてていて、生者には容赦なく襲いかかるとされていた。
なにか無念の一つや二つあるだろう骨と成り果てた騎士達は微動だにせず、鎧の置物のように鎮座していた。
関係のない思考のノイズだけを切り離し、
俺は命令した。
「……周囲を警戒してくれ…。」
今の言葉では足りなく、説明できていなかった細かい部分の命令は俺との思考の繋がりによってある程度を読み取ったのか、
スケルトンナイト達は僅かに頷いた後に立ち上がり前方と後方に散開して周囲を無い筈の目で見て警戒を始めた。
これは何かと便利そうだが人前では使えそうに無いと思う。
俺まで魔に属する人間と勘違いされそうだし、もし人前に魔物を出すとしても精々騎乗用に懐いたと誤魔化せる程度の魔物にしておいた方がいいだろう。。
それに従えた魔物の方からは俺に話しかけられないが、
俺からの意思が魔物に伝わるのはありがたい。
だって話せない魔物の方が圧倒的に多いのだもの、お互い最低限の意思の疎通が出来なければ大変だ。
しかも支配する事ができた魔物が戦闘によって獲得した経験値は任意で俺に入るらしい。
これは物凄くウホウホだな。
俺はスキルの検証を続ける事にする。
スキル【血人形】発動
このスキルは【血分体】から派生したスキルのようだ。
試す事はついぞなかったが、
従来のスキルだと狼の分体しか精製出来なかったようだ。
しかし、【血人形】に派生してからは変化能力に人型に変化する事が出来るという選択肢も追加されたようだ。
発動と同時に、頭にクラクラと眩暈がおきて、目の前の空中に赤黒い液体が蠢いていた。
それは次第に人の形をとっていき、
最後には俺と寸分違わない…
いや…俺の8歳くらいのときの顔と身長になっていた。
(………蠢いていた赤い物体はやはり…俺の血…となるとこの眩暈は貧血から来るものか……)
俺の疑問はあれだけの血が身体を離れて空中に浮いていて、俺が倒れない事なのだが、
実はこの血液、カナデは知る事は無いし知る必要も無いのだが、魔力が大量に混ざっており、実際目視出来る血液は3分の1以上が魔力によって増幅されていると言う素敵物質なのである。
その血からうまれた人形はまるで女の子のように可愛い顔つきだが、わずかに目がキリッとしている為か辛うじて男の子?男の娘?程度の認識ができた。
我ながらこの時は可愛らしげがあったとおもう 、もちろん今はすさまじく普通になってしまったが…
もう少し成長させようと、大きくしようとしてみたのだが、
成長はするのだが、眩暈が大きくなったので辞め、直ぐに元に戻した。
今の俺の体内にある魔力だとブラッディ・ドールの外見は8歳くらいが1番楽と思われる。
俺は次に、この血人形自体のステータスを見るためにスキルで解析した。
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『血人形[lv:15]』
能力:【剣術補正:弱】【魔力探知:弱】【体力補正:弱】
【魔力量増大:弱】【隠密】
【暗視】【魅了】
【魔法操作:弱】【瞬間移動】
【予測の目】【魔法威力補正:弱】
【魔法命中率:弱】【粘糸精製】
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強弱のあるスキルが全てランクダウンして
[弱]になっていると言う事と、
一部のスキルが表示に無い事、
それとレベルがマイナス10レベルになっている事を除けば、
俺のステータスを弱体化させたような感じだ。
だが、生み出すコストを考えればかなり強力な手札となりうる事は想像する事が容易い…
あえて言うなら1体までしか作れないのが難点といえば難点か…
「主、ご命令を…」
「……うぉぉっ!?」
俺はいきなり言葉を、しかもある程度の感情が読み取れる言動を聞いて、目玉が飛びてる程にびっくり仰天した。
「…嘘だろ…しゃべれるのか?…」
「はい。話す事は勿論、性行為、食事、排泄、睡眠、必要ではありませんが任意で行う事が可能です。それに私の獲得した経験値は全て主に譲渡されます。」
「…なんて高性能な俺の血………」
どうやら思ったことがそのまま垂れ流しになってしまったようだ?
「ありがとう御座います。私は主の話し相手になれば良いのですか?」
「いや、大丈夫だ。意味もなく呼んでしまってな、もう戻っていいよ」
「いえ、お気になさらず。それでは、」
すさまじく高性能なブラッディ・ドールは綺麗なフォームの礼を軽くした後、次第に形状を崩していき、やがて赤黒い液体となり虚空に消えて行った。
そうすると俺の治りかけていた眩暈が一瞬で治った。
そして少しぼんやりとしていた視界は鮮明になり、と言うより元に戻ったという感じがした。
やはりブラッディ・ドールは俺の血を媒介に顕現しているようだ。
(あれは確かに1体までしか作れないって事で納得だな…便利すぎる…しかも途中から感覚共有を使用する事も出来た。)
途中から可能となったブラッディ・ドールとの感覚共有、そして更に視覚共有まで可能としていた。まぁ自分の血から作ったのだから当たり前なのかもしれないが…
自分の姿を見るのは慣れていたので多少の違和感を感じる程度で大丈夫だったが人の感覚ー自分の血人形だがーを共有というか血人形の感覚を俺が得るのはなかなかこそばゆくて直ぐに解除した。
それに血人形の受ける痛覚まで俺が感じてたらまともに戦闘できなさそうだしな
まぁそこら辺の設定の幅は広いみたいだが。
感覚や視覚は一方通行らしく血人形は俺の感覚や視覚は得られないらしい
まぁ偵察にはとても活躍してくれそうだな。
経験値が俺に垂れ流しなのはびっくりだが俺の血から生まれた事を考えれば納得できる。
そうこうして歩いていると前方を警戒の為に散開していた1体のスケルトンナイトが駆け寄ってきた。
スケルトンナイトを敵と勘違いしそうになったが、目に燃える炎が青くひかっていたのでギリギリで従属させたスケルトンナイトだと気がつく。
スケルトンナイトは、自らがやってきた方向を指差し、必死に何か伝えようとしてくる。
魔物か…こういう時に話せないのは不便だが、ほんの少しだけ逆流してくる思念は確かに魔物の接近を必至で知らせようとしていた。
俺はスケルトンナイトの指差した方向にスケルトンナイトを先行させ、後に続いて進んで行った。
少し進んだ先のT字路を左に曲がると、
スケルトンナイト達は何かを囲むように立っていて、
囲みの中心には首から上の無い冒険者が、力の抜け切った身体を壁に寄りかからせていた。
【SideOut】
『半人族[lv:25]』 :【剣士】/【戦舞技師】/【全属性魔術師】
雪埜 奏
取得経験値/必要経験値:50/2600
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:中】
【剣術補正:強】【魔力探知:中】【体力補正:強】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【野生の本能】【下克上】【全属性魔法】
【魔力量増大:中】【隠密】【暗視】【魅了】
【砂塵の爪甲】【魔法操作:中】【思考加速】
【瞬間移動】【予測の眼】【血人形】
【下位従属】【魔法威力補正:中】
【魔法命中率:中】【超回復】
【粘糸精製】
残存Point:[1]
加護:なし
称号:【魂を鎮める者】
修正しました。
皿に→更に
魔力だ→魔力だと




