4話≫〔統合版〕
修正版。
修正版→全体の表現や描写を詳しく書き、肉付けしました。
よろしくお願いします。
10〜12話の統合
眼前には震える2匹の芋虫がいる。
その周囲には4匹のゴブリンの死体と、
同じく4匹の芋虫の死体があるが視線を向けない事で何とかその場の風景として捉える事が出来ている。
自分より強い存在がまとめて殺された事に萎縮してしまっているのか…
芋虫は未だ動く気配がない。
俺は芋虫をなるべく怖がらせないようにしながらゆっくりと近づいて行く。
「……もう大丈夫だよ?ゴブリンは倒したから…好きな所に行きな?…」
言葉が分かるとは思っていないがニュアンスは伝わったのか1匹の芋虫が歩み寄って来た。
俺はちょっと可愛いかもしれない。などと随分と平和な事を考えていた。
近寄って来た1匹の芋虫は頭部に付いている殼に乗った3つの目の様な所の下にある口についたクワガタの様な2本の小さな歯をカチカチを鳴らしていた。
(何か伝えようとしているのか?)
その時だった。
芋虫の頭の部分が突如として割れたのは…
頭の部分は4等分に分かれ中には牙の揃った口が覗いていた。
その芋虫は俺に向かって勢いよく飛びかかってくる。
よくあるバイオ的なハザードの映画に出てくる生命体のシリーズにありそうな芋虫は、いきなり目の前でグロい光景を晒してきた。
吐き気より恐怖が先に絶つのは必然だ。
俺は懐の短剣に手を伸ばし芋虫の開いた口が俺を包み込む寸前…
「【一投刹那】ァァァァア!!!!!」
喉が避ける程、力の全てをもって叫んだ。
まるで短剣は青い雷のように、俺の恐怖を打ち払うように手から離れ、
背後で控えていたもう1匹の芋虫ごと消滅した。
そして進む先々にある木をへし折りながら視界から消えて行った。
「ゼェ…ゼェ……ゼェ……」
飛んだ勘違いだった。
俺はなんて甘いんだ、
なんて考えの浅い人間なんだ…
何がゴブリンの方が強いだ。
窮鼠猫を噛むと言わんばかりの死に物狂いの攻撃をしかけてきたのは芋虫の方だったじゃないか…
俺は芋虫を助けたいと思った偽善的な思考を考え直す事にした。
俺の方が弱者なのだから…
この世界では意思の疎通の出来ない敵対的な生物は敵、そういう認識にしておかないと今のように一歩間違えれば捕食されていたかもしれない状況に陥るだろう。
もう奇跡は起きない、そう思って行動したほうが良さそうだ…
俺は荒くなる呼吸を時間の経過と共に落ち着かせ、死体から離れた木の下に腰をおろした。
それは、ふと気になった事を確認する為だ。
結果的に芋虫を殺してしまった事で、
俺はステータスの様な欄に表示されていた経験値の数値を確認する事にした。
軽く念じればステータスが1人でに立ち上がった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『半人族[lv:4]』:【剣士】
雪埜 奏
必要経験値/規定経験値:429/500
能力:【戦儛舞補正:強】【鈍感:中】
new!【剣術補正:弱】
加護:なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
前回ステータスを見た時の経験値は121。
ゴブリンを2匹倒した時の経験値だと思われる。
その後に今さっきのゴブリンを4匹を合わせると、
約60×4=約240
大体360の経験値だと言う事がわかった。
それを知るまでに味わった物と比べれば割りに合わないのは明白だが。
現在の経験値は429
残った69の経験値のうち芋虫1匹は大体30程の経験値なのだろう。
残りの9はゴブリンと芋虫の個体差による誤差だろう、経験値の仕組みは大体分かって来たが、
可笑しい、この世界に住む人間はレベルを上げているのか?
こんなに忌避感が…
いや、思考回路や文明が俺の生きていた時代とは根本から違うのかもしれない。
卓上の計算だけで言えば、
後、ゴブリンをたった3匹倒す事が出来れば、
経験値は規定経験値の500に届く計算となる。
500に届いた時どうなるのかが気になる所だが俺はそんな事が出来るのだろうか…
いや、この世界で生きていく以上はやらなければならないのかもしれない。
いずれ覚悟を決める時がきそうだ。
次に種族の横に記されている【剣士】 の表示。
これは職業の様な物なのかもしれないが詳しい事は現時点では何も分かっていない。
ただの職業なのかもしれないし、
ただ単に自分に向いている職業なのかもしれない為、
断定する事は出来なかった。
次に能力の欄に表示された数個の単語について。
【戦舞技補正:強】、
これは前回から変わらずにあるスキルと呼ばれる物であり、
どうやら戦舞技を発動する時に威力と速度が上がる様なのだが、如何せん最初からあるスキルなだけにこのスキルなしでの速度や威力がまったくもって分からないという危険性をはらんでいる。
【鈍感:中】、
これは初日の戦闘の後に取得していた様なのだがなぜか見落としていたようだ。
何かしらの感覚を麻痺させる効果がある様なのだが、メリットが分からないしデメリットも不明だ。
それにスキルが増える条件が良く分からないし、
中や強がどの程度の強さを示しているのか大まかにしか分からない。
スキルに付いている中や強の表示が変わった時に確認してみるしか手はなさそうだ。
【剣術補正:弱】、
これは先のゴブリンとの戦闘で獲得したようで、スキル名の前にnew!がついている事からも分かる。
だけど戦儛技を使わない斬撃がぶれてしまった事もある為このスキルに寄りかかる事は出来ない。
弱という表示がある事から剣に触れている時間が長ければ何かしらスキルに反応があるかもしれないし、ただ単に剣を扱う基礎が出来ないと補正すらしてくれないのかもしれない。
気がつけば空には最近よく見る生々しい赤ではなく、
心に染み込む様な暖かな赤みがさしていた。
俺はこれからどうなるのだろうか…
純粋な人間ですら無いこの身体は食べる事をそこまで必要としているのか…?
不意に浮かんだその疑問を打ち払うように首
を振る事で否定する。
"認めたくないから食べる物を探しているフリをしてるんじゃないのか?"
"お前は本当に睡眠を必要としているのか?寝なくても戦闘を続ける事の出来るその身体で?"
ドゴンッ!!!
脳裏によぎる言葉を打ち払うように俺は近くの木に頭を叩きつけた。
額からは血が線を引き顔の表面をを伝うが、
痛みは鈍く、感じにくい。
こういう言葉を聞いた事がある。
人は心が人間的な者の事を人と言う、
人である事を諦めた人間は人では無い、
と、俺は人間だ。
人間ではあり得ない食べ物を必要としない、睡眠を必要としない。
それをずっとやってしまえば、
それこそ人間で無いと認めるような物だ。
俺は人間だ。
明日こそ食料を確保する。絶対に。
そう思考しながらら最初に服の引っかかっていた木と同じ種類の木を見つけて、
木をの凸凹に手や足をかけながらよじ登る。
これも数日かけて観察していた色んな事から発覚した事実である。
木の上に生き物が居ないのだ。
小鳥なら居た、だが住んでいる生命体は一向に現れる事はなかった。
そうして俺は安全を確保した木の上で浅い浅い、
この世界での始めての眠りについた。
【SideOut】
『半人族』:【剣士】
雪埜 奏
必要経験値/規定経験値:429/500
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:中】
new!【剣術補正:弱】
加護:なし
××××××××××××××××××××××××××××××××××
【エミリーSide(前)】
箱庭世界カーディリアが創られたと言われる神話から1000年が経ち…
年号が旧界暦から新界暦に変わってからは、
500年の歳月が経過した、
8の月の中頃、現在。
我が祖国、トリステイン王国に所属する戦闘飛行部隊の1つ。
トリステイン王国所属戦闘飛行部隊【巨鳥部隊】
その【巨鳥部隊】の二番隊の隊員にあたしこと エミリー・アーミアルは任命された。
火神フライオヌ様の加護を受けた火の素質を持つ、
濃いオレンジ色の髪は肩口まで伸びていて毛先は僅かに跳ねている。
ぱっちりとした目、瞳は夕焼けの太陽のように優しいオレンジ色。
肌の色は白く、どちらかと言えば小柄でいろいろとスレンダーな活発な少女。
それがあたし…
年齢ははまだまだこれからの16歳。
結婚適齢期に入るまで1年の猶予があるし、
17歳になっても軍人であれば20歳までは独身であることに周囲の視線が厳しくなることもないだろうから、しばらくは安泰だ。
だってお国の為に日々訓練をして.
飛行部隊は空の巡回もしているんだから。
勿論好きな人などいないし結婚なんてする気も無い。
だってあたしは小さい頃からの夢が叶ったんだもの。
帝国の【翼竜部隊】に並ぶと言われる王国の飛行部隊、【巨鳥部隊】。
そこの入隊試験に合格した時は、
まさに胸がはち切れんばかりの感動を覚え、
家に帰った時には涙が止まらず夜まで嬉し泣きしてしまうほどだった。
そして案の定その日は歓喜に震え眠れる事が出来ず、
入隊初日の出勤を遅刻で飾り隊長にこっぴどく怒られた経験は今では良い思い出となっている。
任命されるまで候補生であったあたしは候補生だった時から常に全力で生きていた。
指定された訓練に明け暮れ、ひたすらに剣を振り、軽装で如何に戦うかを学んだ。
そして獣との接し方や飛行技術の訓練。
とくに獣との接し方と飛行技術の訓練は半端なく難しく、辛かった。
そして酸素の薄い状態でも耐えられる強靭な肺を鍛える為に何度も何度も、それこそ血反吐を本当に吐くほどに走らされた。
あたしは元々筋肉の付きが悪く、脚も腕も太くなることはなかった為、走り込みの訓練は苦痛の連続だったし、
何度も疲労骨折を味わい、治療院で何度も治癒魔法のお世話になり、後日の訓練に参加する毎日。
まるで夢を諦めさせる為にあるような訓練が毎日続き、最初は沢山いた仲間も次第に減っていった。
そんな毎日だったけど、あたしは辛い時はいつも空を相棒のアルゲンタビスと羽ばたく
【巨鳥部隊】の隊員達を見ていた。
(いつかあたしもあのどこまでも続く広大な空を相棒と一緒に飛ぶんだ!)
そうして今から半年前、あたしの元に相棒であるアルゲンタビスが届いた。
茶色の毛並みに所々の部位を白く染めた1匹のメスのアルゲンタビス。
今、あたしは相棒のアーミーの世話で忙しい。
アルゲンタビス部隊に所属する隊員達は皆、
相棒であるアルゲンタビスを愛称で呼び、
毎日の世話をする事で意思の疎通や親密度を上げている。
もちろんこれも訓練の1つであり相棒であるアルゲンタビスとの親密度を上げることによって、思いが正確に伝わったり指示の誤認がなくなったりする。
任命され部隊に配属されてから半年程が経ったある日。
今日もいつも通りにあたしを含む3人の【巨鳥部隊】は相棒であるアルゲンタビスの背に括り付けられた鞍にまたがり手綱を操作しながら、
風を切って大空を悠々と飛翔していた。
3匹のアルゲンタビスは一定の距離を保ちながら3角形の陣形を形成して、崩すことなく羽ばたいている。
あたし達が今回の巡回の任務で飛行しているのは、王国と帝国との国境に面した
【混沌の山脈】を覆う常夜地帯のうちの1つ、
【迷いの大森林】の更に外縁、
常夜地帯である【混沌の山脈】と【迷いの大森林】を囲む、
【深淵の密林】と言われる森の上空を飛んでいた。
常夜地帯はまるでそこだけを切り取って夜にしたかの様な地域であり、
晴れることの無い暗雲が空に張り付き、
1年中一切の光が入る事のない。
そして常夜地帯は世界各地に数カ所だけ点在している。
コンパスの上に地図重ねてみて考えて欲しい。
帝国の位置は西に、王国の位置は東に、
そして【深淵の密林】と【迷いの大森林】、
【混沌の山脈】は北から中心にかけて半分ほど広がっている。
残る半分ほどの中心は帝国と王国の国境であり、好戦的な帝国のせいで日々小競り合いが続いている。
常夜地帯は闇のように暗く、魔物がとても好む雰囲気の為か非常に集まりやすい。
すると弱肉強食のヒエラルキーの頂点に君臨する強力な個体が増えていく。
だから常夜地帯の深部には桁外れに強力な個体が数多く居るらしく、
各地の常夜地帯には冒険者ですら死に至る為に基本的には未開の地である。
そんやハイリスクハイリターンな賭けには博打でもしなければ潰れてしまう様な国で無ければ、基本的に国単位では関与しない。
それは知能ある魔物の報復を恐れているからであり、
同時に人類が1000年経った今でも1つに纏まる事が出来ないからである。
実際に数百年の昔、常夜地帯には莫大な資源が眠ると考えた、とある国があった。
その国は数十万の軍を編成し、常夜地帯に派遣した。
所が1日後、帰ってきた軍隊の兵は百人に届かない程しかおらず、全滅していた。
結局、生き延びた兵士達を追いかけてきた魔物の軍勢に国ごと蹂躙され滅ぼされた。
なんてエピソードもあるくらい常夜地帯とは曰く付きな土地なのである。
そしてその国は現在、まるごと常夜地帯となっているそうだ。
一説では魔物と人間の生活圏を区切る何かしらの役割があるのではと考えられているが
所詮推察に過ぎない為、真実では無いだろうとされている。
だがもしそうなら、全ての人間が魔物に屈すればこの世界は全てが闇に呑まれ
常夜地帯になるのかもしれない。
そのため地図に記された国境線は常夜地帯を避ける様に記されている。
理由は統治するだけ無駄だから。
まぁそれは当たり前の事なのだけれども…
そんな危険な常夜地帯を外れた地帯にある
【深淵の密林】の上空はとても空気が綺麗だ。
森が浄化した空気は風に乗って上空まで届き、新鮮な空気は空をどこまでも綺麗に見せてくれてとても空気が美味しい
それに空気が綺麗なおかげで鮮明に見える夕日がとても大きく美しく見えていてとても幻想的な風景を見せてくれるら、
巡回の役目が回ってくるといつも他の隊員に羨ましがられるのが通例になるほどこの時間帯のこのルートは人気があるのである。
今日も巡回の役目が回って来たあたし達を羨む声があがったものだ…
あたしは3角形の陣形の右端を相棒であるアーミーの背に乗りゆっくりと飛んでいる。
今は夕日が見れるまでの時間を先頭を飛ぶ
【巨鳥部隊】部隊の二番隊を受け持つ小隊長格であるイザヘルさんと大声で話しながら時間を潰している。
今は3角形の陣形の左側を務める1人が、
森の外れにある村や帝国領の方に何か異常が無いかを血眼になって監視していた。
今は地上から600メイル程上空を羽ばたいている。
人族の個人では到底達する事の出来ない不可侵の大空の世界、あたしはこの世界からみる地上の世界が見たかったのだ。
あたし達は視力が悪くても部隊に入れない、
この隊に所属する隊員は全員視力の検査がAを越えていないと入れないと言う厳しい前提条件がある、だから上空からの監視の任も裸眼で遂行する事が出来るのだ。
これは【翼竜部隊】には無い王国のウリである。
「イーザーベールーさーん!!
夕日が待ち遠しいですねぇー!!」
あたしは風に負けない大きな声で小隊長であるイザベル・ドゥ・アルベンハイトさんに声をかけた。
あと10分程経てば陣形の左側を務める現在絶賛監視任務中のカールと監視の役を交代する。
それまでは自由な時間であり、陣形さえ崩さなければお話に興じることも許されていた。
「そーうだなー! 私も早く見たいぞー!
前に見たのは確か半月前だったしなー!!」
「あー!小隊長ー!!
その話ずるいっすょー!!俺も混ぜてくださいよー!」
「うるさーい!!お前は監視を続けておけ!!小隊長命令だー!!」
あたしはこの楽しい日常の風景がいつまでも続く物だと思っていた。
本当に疑うことなく、続く物だと…
突如として下方から強風が叩きつけられ髪が舞い頬を叩く。
「………………まずぃ……にげッ………」
ブシャァァァァァァァァァ!!!!!
そして、今まさに口を開こうとしていた監視役のカールの上半身が綺麗さっぱり吹き飛び、
辺りに赤い雨が降り注いだ…
衝撃でカールの乗っていたアルゲンタビスがバランスを崩しかけるが、
次の瞬間にはアルゲンタビスの首までもが吹き飛び、首のなくなったカールの相棒のアルゲンタビスは地面に向けて墜落していった。
「……カール…?………え………ぁ………」
降り注ぐ赤い雨を見ながら、
落ちて行く首のないアルゲンタビスを見ながら、
その横を同じく落ちて行く上半身の消えたカールを見ながら…
あたしは軍人として機能することなく、某然とアーミーの背に跨っていた。
辺りに砂が撒き散らされ頬を擦る。
砂を纏うは…
ー砂塵鳥爪獣ー
大空の覇者
『人族[lv:19]』:巨鳥操士/軽剣士
エミリー・アーミアル
必要経験値/規定経験値:1790/2000
能力:【剣術補正:弱】【巨鳥通心】
加護:火神フライオヌの加護
××××××××××××××××××××××××××××××××××
【エミリーSide(後)】
カールの突然の死を前にして、
軍人としては失格である行動不能になり、
動けなくなったあたしを嘲るように視界に現れたのは、
ー砂塵鳥爪獣ー
大空の覇者
ダストファングバードとは本来、
【迷いの大森林】奥地に棲息する筈の
Sランク下位の魔物である。
前回の出現は記録によれば27年前だったと記されていた。
ダストファングバードが殺戮衝動を抑える事が出来るのが大体30年と言われる。
そのため30年に1回程の周期で
【迷いの大森林】から人のいるところに降りてくると歴史が証明しているのだ。
魔物のランクは上から3番目であり、
魔物の中でも相当危険な部類に属す。
基本的に魔物のランクはE〜Sまであり、
例外でSランクより上に
[災害指定級]
[厄災指定級]
とある。これは下に行く程危険度が増していき、Sランクは1体で都市を壊滅させる程度の力があり、
災害指定級は1体で大国を壊滅させるほどの力量を秘めているとされる。
そして厄災指定級、それはカーディリア大陸を壊滅させるとされる伝説上の魔物である。
だが基本的にAより上に行く程知能を持つ魔物が多くなる為か、
人との無駄な戦闘は避ける個体が多くなり、必然的に被害もすくない。
まぁ無駄な戦闘を避けると言うよりかは、
人間に興味の無い個体が多いのだが…
だが稀に知能があるが、
それ以上に強力な殺戮衝動に縛られた
魔物も存在が確認されている。
この場合は本来Aランク相当の魔物であっても危険性などを加味され本来よりワンランク上のSランクがつけられていたりするのである
そう、この例にとったような魔物、
ダストファングバードこそが、
知能と殺戮衝動を併せ持つ最悪の魔物の1角。
翼を広げた全長は8メイルを越え、
ワシとドラゴンを足して2で割った様な体型をしていて、
身体の表面には大量の砂を纏い、
常時循環させている。
身体の色はグレーに近い黒。
頭部に岩の様な素材で出来ている人間に酷似した顔があるが、能面のように無表情であるため表情は分からない。
この岩の仮面の様な素材は身体の表面に纏う砂が長い時間を経て顔に付着し続け、蓄積し、硬質化した物と言われている。
身体は金属のような物で覆われているが、顔のように砂が硬質化した様な物ではい。
何故砂が付着しないのかと言うと、ダストファングバードは顔を除く体全体に薄い魔力の膜、つまりコーティングを施している為に、
必然的に魔力を纏わない顔が弱点となる筈なのだが、
硬質化して岩の様に硬い顔は下手な攻撃では擦り傷すらつかないと言われている。
「なっ!?何故ここにダストファングバードがっ!?エミリー!散開するぞっ!!
直ぐ城までに逃げろ!!固まっていては逃げきれん!!私はコイツを引きつける!!
エミリーは通信石で城に連絡しろ!!
今すぐだっ!」
小隊長も部下であるカールの死は辛いはずなのに、いや、辛いから和えて強がっているのかもしれないけど、あたしはその声のお陰でやっと身体を動かせるようになった。
反論の余地すら与えてくれず、矢継ぎ早に指示を繰り出した小隊長はアルゲンタビスの手綱を引き急上昇し、空高く飛び上がる
砂塵鳥爪獣の特性の1つに動く物を追いかける、と言う特性があり、
小隊長は自らを囮にして、
あたしが通信石を使い城に詰めている伝令兵にこの事を知らせると言う役目を達成し、
逃げ切るまでの時間を稼ごうとしてくれた
だが、いつもイレギュラーと言う物はすべての事柄につきまとっているものだ。
今回はそれがあたしにとって最悪のベクトルで現れた。
ダストファングバードは囮の小隊長に振り向く事無くあたしを正眼に見据えていた。
白眼の無い黒で塗りつぶされたような2つの眼球が強烈な魔力を伴ってあたしを射抜く
「…ゴ、ロズ……
…ダノジイ………ニヒギメ…ゴ…ロズ…」
無理やり人間の声に変換して発しているかのような、
とてつも無く不快で全身に鳥肌の立つ様な声で言葉を話したダストファングバード。
あたしにはその硬質化している筈の口元が僅かに歪んだ気がしてならなかった。
私はその鋭い眼光に当てられ、またしても竦みあがってしまい、
手綱を引くのが一瞬遅れた。
そして上空に停止したままで次の指示が出せなくなって…
ほんの一瞬
されど一瞬
あたしに出来た致命的な隙を逃す事など無く、
ダストファングバードは大きく翼を広げ、魔力の力場を形成し、その場に滞空した。
そして胴体の辺りに身体に纏う砂の一部が集まりだして、
そして高速で発射された。
ダストファングバードの持つ有名な遠距離攻撃技の1つと言われる
サンドボール
胸のまえに集まる直径1メイル程の砂の球を回転させて高速で打ち出す技であり、
生身の人間に直撃すればやすりの様な削り跡を残し肉塊になるだろう。
それがあたしの顔面目掛けて迫る、
当たれば即死、頭だけでなく胸までもがミンチになって辺りに降り注ぐだろう。
カールのように…
もう避けられない
刻一刻と迫る回転する砂の球が、
スローモーションの様にあたしに向って迫ってくる。
「……………ぁ……イヤ…………
……ッうわあぁぁっ!?!?…」
だがいきなり起きた衝撃に驚き、
凶悪なサンドボールから視線をはずす事になってしまった。
自分おかれている現状を見直せば、
手綱からの指示にしか従わない様に育てられてきた筈のアーミーが、
あたしを庇おうとして無理やりその場から急旋回していた。
だが、やはり避けきれなかったようで、
サンドボールはアーミーの右翼を穿ち、
大きな大きな風穴を開ける事となった。
「グギャアァァァァァァアァァァ!!!!!!!!!!」
アーミーは苦痛に耐える様に叫んだ
あたしにはその悲鳴はうるさいなんて思えなかった。
半年しか一緒に居れなかったのに、
守ってくれた
嬉しさと、アーミーを失ってしまうかもしれないという感情がない交ぜになってわけが分からなくなる…
(…なんで…あたしは…まだアーミーと空を飛びたいのに……)
その呟きは言葉にならず、心の中に深く沈んでいった…
アルゲンタビスは大きな身体を空に飛ばす為に自らの翼と魔力を使い飛翔する飛行系の魔物だ。
お、言う事はどちらか一方の力が欠けてしまうと今のアーミーでは負荷が強すぎて飛べなくなってしまうのだ
翼が無くなり浮力を失ったアーミーとあたしは地面に向って急降下する
必死に庇ってくれたアーミーには悪いけど、
さっきよりは低いとは言え、
いまだ地面まで300メイル程上空を飛んでいた筈、
そんな高さから落下して、果たしてあたしやアーミーは助かるだろうか…
絶対に無理だろう…
そんな高度から地上に落ちて助かる訳が無い
お互いに頭から落下して行く中、
アーミーとあたしの目が合った。
アーミーが一瞬悲しげな顔をしたように感じた、見間違えじゃない、確かにそう感じた…
まだ半年のの付き合いしか無いがあたしにはアーミーの心の声が聞こえたお互いを繋ぐ心を通して確かに聞こえた…
『エミリーだけは助ける。命にかけても…』
もう、無理だよ?
この状況から助かる作戦なんてあたしは知らないし、アーミーだって知らないかも知れない、安心させたいから言ってくれたんだよね?
ありがとう。
鞍から離れ地面に向って落下していたあたしを、
片翼が千切れかけたアーミーは残る魔力を使い引き寄せてくれた。
そして優しく、慈しむように残った翼を起用に使いその柔らかな胴体の羽毛にあたしうずめてくれた。
エミリーとアーミーはまるで子供と子供を抱きしめる母親のように、重なり合いながら落ちて行く。
「ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
遠くでイザベルさんが何か叫ぶのが聞こえたが意識が朦朧としてよく聞き取れないや…
早く逃げなきゃ殺されちゃうよ
気をつけて、どうかご無事で…
イザベル小隊長
最後に…
護ってくれてありがとうっ!
大好きだよアーミー。
あたしの意識はそこで途絶えた。
【SideOut】
『人族[lv:19]』:軽剣士/※巨鳥操士
エミリー・アーミアル
内包経験値/必要規定経験値:1790/2000
能力:【剣術補正:弱】
【巨鳥通心】使用不可!
加護:火神フライオヌの加護
※巨鳥操士のジョブは現在使用不可状態となっております
第一章は書いているうちにカナデ以外の視点が多くなってしまいました。
ご感想お待ちしております。