50話【黒髪の英雄】
よろしくお願いします。
この話の後、2章開始前に登場人物等紹介等を載せます
咆哮が聞こえた方向は以前"少年"と"少女"が去って行った場所
そしてエミリーもその方向に案内した筈
俺は薄情では無いし、エミリーに至ってはある程度情も湧いていた
それにあの咆哮、只の魔物では無くおそらく今まで俺のあった魔物の中でも最強レベルなのだろう
その咆哮にはかなりの量の魔力が乗っている気配が感じられた為、試しに走りながらスキル【魔力探知:中】を発動してみたが、周りの全ての魔力がブレていて気持ち悪くなったのでやめた
とりあえず俺はその方向に向かう事にした
踏み込むたびに土がめくれる
めくれた土が地に落ちる前に
次の土が舞い上がる
それを繰り返すこと10分程
俺は森の外れに着いた。多分"少年"と"少女"の暮らすであろう村が見えた、あまり大きな規模では無いようだ、精々村の人口は200〜300名程だろうか
だがその村にたどり着いた時、村に人は1人として居らず、まるで廃村のように閑散としていた
(…おかしい…何かあったのか……あれはっ!)
俺が村の更に先にある平原に目を向けた時に目に入ったのは大きな鳥。
ここからだと遠くて正確な距離やその鳥の大きさは分からないが
その鳥は人面。
そしてそれを囲み攻撃の手を緩めない人間。
その人間は金属の甲冑に身を包む者もいれば革の鎧をつける者も居た
俺はすぐさま魔物と人間の軍隊の戦闘だと判断する
人間の軍を指揮しているのは派手な服に身を包んだ青年
たいして俺と歳は変わらないと思うが貴族だろうか
俺の貴族のイメージは欲にまみれた薄汚れた豚なのだが、このオレンジの髪と瞳を持つ青年は違うようだ
何にも侵されていない様な気がする
王族だったりしてな
あり得ないだろうけど
だがその巨大な鳥が1人の女性に狙いを定めたのが遠目でわかった
俺は瞬時に地を蹴りかける
人にあらぬスピードで疾走しながら
スキル【魔力量増大:中】を発動
そのスキルによって普通の人間にはあり得ない程の魔力が漏れだす
だが同時にスキル【隠密】を発動する
そうする事によって漏れ出す魔力は抑えられ気配も消え去る
更にスキル【解析の眼】を重ねて発動する
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[砂塵鳥爪獣]lv:40
[解説]
[鳥爪獣]]の最上位種
既に魔法特性を持つ為、種としては[固有/希少]種として独立している
殺戮衝動があり30年周期で人間を殺しにくる
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俺よりも20もレベルが高い
だけど魔法や戦舞技があれば
格上の敵にも歯が立つ筈だ
この状況を打開する一手
スキル【下克上】を発動
戦意[中]上昇
体内に眠る太古の鼓動が俺を鼓舞し、力が溢れる
戦闘力[中]上昇
身体中に漲る力が手に取るように分かり岩をも砕くパワーを得る
速度[弱]上昇
身体が軽くなり踏み込みの後の速度が僅かに加速する
痛覚[中]軽減
こればっかりは当たりたくないが、当たって見ないと分からないな
ダストファングバードはその横合いから接近する
スキルによって強化された俺に気がつかなかった
スキル【全属性魔法】を発動する
今俺が使い慣れている属性は僅かに3つ
雷属性
火属性
氷属性
その中で1番威力の高い魔法を放ったことのある属性を選択
使用する
これは分の悪い賭け
だが【魔力量増大:中】にモノを言わせた強引な手だ
氷属性上位弾発動
上位氷弾
更に氷属性上位弾発動
上位氷弾
両手を左右に広げる
その手の先に顕現するのは圧縮された5m程の巨大な氷の弾が2つ
それをゆっくりと放つ
「…上位氷双弾」
我ながら分かりやすい発動キーだな
芋虫の大軍を食らいつくした巨大な氷弾の2倍の威力と質量が迫る
氷弾が手から離れた瞬間から氷弾の余波が周りの人間に当たらないように制御する
いきなり横合いから飛んできた2つの氷弾をダストファングバードは避ける事が出来なかった
氷弾がダストファングバードに着弾する瞬間
横合いからダストファングバードの真下で殺されかけていた女性を抱きかかえる
そのまま身体に急制動をかけサイドステップで回避する
凍りつき巨大なオブジェとなるダストファングバード
だが勢いを落とした為かまだ息はあるようで氷の中で僅かに身動きしている
直ぐにスキル【弱点解析】を発動
ダストファングバードの顔の位置、無表情で醜悪な人間の顔の位置が赤く光る、それと同時に俺の脳内に再び浮かび上がる文字
(…神様は介入しないんじゃ無いのか?それとも偶然なのか?)
そう思ったが表情には出さず
意図せずお姫様だっこしてしまった女性を大事に凍りついた地面に寝かせる
そして頭に浮かんだ文字を一字一句違える事なく紡ぐ
戦舞技ー「…【断砕】…」
頭上に上げた青く光る剣を振り下ろす
人々を長きに渡り苦しめた魔物は
最後に人の心を魅了して存在を散らした
「黒髪の…英雄…」
兵士の誰かがそういうのが聞こえた
(…え?誰か…なにか言ったか…黒髪の?えい…ゆ?)
大技を発動したから魔力が切れかかってきた
意識が半分朦朧として耳にはいる言葉の半分も理解できない
そして一拍おいて起こる歓声
大地を揺らす様な喜びの叫び
そのあまりの感情の奔流に
一瞬たじろぎ目を見開くが直ぐに表情を元に戻し、急いで森の中に向かって跳躍した
【SideOut】
『半人族[lv:22]』 :【剣士】/【戦舞技師】
雪埜 奏
必要経験値/規定経験値:1400/2300
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:中】
【剣術補正:強】【魔力探知:中】【体力補正:強】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【野生の本能】【下克上】【全属性魔法】
【魔力量増大:中】【隠密】【暗視】【魅了】
new!【砂塵の爪甲】new!【魔法操作:[中]】
残存Point:[9]
加護:なし
称号:【魂を鎮める者】
経験値5000を手に入れました
[!]格上打倒により経験値ボーナスが入ります。
700GET!
3Point獲得
※規定経験値を超えました。
2Levelupします。
必要経験値がresetされます。
瞬殺でしたつまらなかったらごめんなさい。m(_ _)m
4/17[修正]
4/26.[修正]カナデSideの表示の削除しましたが後々視点の変更が多くなる場面もありますので51話以降の修正は致しません
ご了承ください




