38話
後半です
よろしくお願いします。
ば…ばれた?
その場合何か事情がある風に
振る舞ってしまえば良いのだろうか
「いや!疑ってるとかじゃなくてですね…何でこんな森の中に居るのかなぁ〜って思って…」
なるほど、確かにおかしいな。
こんな森の中でくらしてる野生児みたいな奴
「ま、まぁここで暮らしていたので皆俺の事は知らなかったんじゃ無いかな」
「そうですか…とてもこんな所で暮らしている方には見えなかったので…」
そ、そうかあ…
ばれそうだな…
「まぁ、ね…君もここに暮らしているの?」
「いいえ、こんな所で暮らすなんて命知らずですよ…
あたしは王都の平民の出です。現在は軍に在籍してます」
やっぱり軍人さんか。
でも何でこんなところにいるのだろうか。
「あっ、自己紹介が遅れました。あたしは、アゲンタビス飛行戦闘部隊2番隊隊員エミリー・アーミアルです。
貴方は王国や王都の事を知らないの?」
凛々しい自己紹介をしたあとアーミアルさんは首をかしげた。
トリステイン王国の言葉をルーデンスの父親と母親に聞いたが彼らも行ったことは無かったみたいで詳しいことはわからなかった。
アルケンタビス飛行戦闘部隊か
アルゲンタビスって絶滅動物じゃなかったっけ…
あぁファンタジーだもんな
ってかこの女の子…エミリーだっけ?
軍人さんかよ…こんな若い女の子が軍人とかファンタジー極めてるねこの世界
ここは隠しても分からないので正直に答えるか…
「よろしく、エミリー、で良いかな?
俺の名前はカナデ・ユキノ
ユキノが苗字でカナデが名前
王国や王都の事は…
ここら辺で育った訳じゃなくてね…」
一瞬アーミアルさんの目が細まった気がした
「呼び捨てでいいですよ
カナデ…さんですか
珍しい名前ですね、ここら辺の人ではなさそうですね
どこの国の名前でしょうか…」
そろそろボロが出てしまいそうになったので早めに退散しようとする
「今は無い遠い国だよ
じゃあ俺はそろそろ行かなきゃ、
エミリーは村に出たいの?
そうしたら村に近い所までは俺でも道がわかると思うよ。案内しましようか?」
「えっ…あ、はい。お願いします」
その後は歩きながら少しづつ会話を重ねていった
「あの、エミリー?
エミリーはなんでこんな森の奥に居るの?」
「あたしは数日前ここの上空を巡回していたんです…」
そうやって話してくれたのは俺の想像の斜め上を行っていた
アルケンタビスの巡回部隊は
30年に1度の常夜地帯の山脈から降りてくる魔物災害に遭遇してしまい部隊は壊滅してしまい
方翼を失ったにも関わらず相棒であるアーミーが命と引き換えにエミリーを墜落から守ってくれた
と、なんとひどい。1人は最初にやられ上半身が消え去る程の威力
まさかそこまで強力な魔物が俺の頭上を飛んでいたとは
…あの双頭の飛行機位の極色鳥じゃないよね?
それに常夜地帯の奥には山脈があるのも始めて聞いた
上には上がいるという事か
それは俺のレベルをあげなければ生き残れないという決意を確固たる物とした
そうして話しているうちに
お互いの距離が心なしか縮まった気がした
そうして日が沈み始めたころ
ようやく少年と少女に出会った場所に着いた
「ここら辺までくれば多分村までは後すこしだと思うよ
辺りはもう暗くなり始めているし
急いだ方が良いぞ?」
「あ、ありがとう、カナデさん
…あの…カナデさんは一緒に来ないの?」
やはりこんな森の中で寝泊まりしているのはおかしいのだろう
「いずれ人のいる場所には行くつもりだよ
その時は王国の首都の案内でもお願いしたいな…」
「は、はい!約束ですよ!?」
終始向こうのペースだったな
詰め寄ってきたエミリーの勢いに押されながらそんな事を考えていたが
実際久しぶりの人との会話でいつも張り詰めていた心の緊迫した感じが優しく溶かされて行くのを感じた
「わ、わかった。約束だ。」
「じゃあ魔物災害とか今回の魔物の襲撃の事が一段落したらまたきますね!!」
ビシッという擬音が聞こえてきそうな動きで敬礼したエミリーの笑顔は
登り始めた夜の月の光を浴びて
とても美しくみえた
「じゃあ!ありがとうございました!また!」
「お、おう!また…」
一瞬見とれてしまい反応の遅れ
ろくな返事は出来なかった
俺はレベルをあげる
その為には【迷いの大森林】にも入る事もあるかもしれない
その結果死ぬかもしれないが
そうなったらいくらでも約束を守れなかった俺を責めてくれ
走り去ってゆくエミリーの背が木々の隙間に消えて行くまで見送り
俺は踵を返した
あれ?待ち合わせとかしたっけ?
まぁ向こうは軍人みたいだし
軍の情報網とかでいつかは会えるだろう
【SideOut】
『半人族[lv:13]』 :【剣士】/【戦舞技師】
雪埜 奏
必要経験値/規定経験値:1399/1400
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:中】
【剣術補正:強】【魔力探知:中】【体力補正:強】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【野生の本能】【下克上】【全属性魔法】
new!【魔力量増大:弱】
残存Point:[1]
加護:なし
称号:【魂を鎮める者】
4/26.[修正]カナデSideの表示の削除
5/22エミリーとの会話修正