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Soul-Move -新章開始-  作者: 癒柚 礼香
【栄華七光】
131/145

148話≫〔修正版〕


遅れてすみません。


よろしくお願いします。










正面に見えるのは青い、青い、青い大空。


それは水に絵の具の青色と水色を併せて混ぜたように綺麗な青空だった。

その空の下を見れば一面に彼の部屋のような白い色彩をもつ雲が絨毯の如く広がっている。


すこし目線をあげれば真っ暗な闇と青い大空が溶け合っている所が目先に見え、この景色だけで常人が涙を流す程の絶景であった。


ここは星の支配域を抜けかけた宇宙(ソラ)との境界。


だが不意に、その青い青い大空と宇宙の境界線に白い点が浮かび上がる。


いや、浮かび上がったと言うよりかは認識できる限界の距離よりも外側からやってきて、たった今その存在を認識できたのだろう。


それは星の外からやってきた何かなのか。

だがしばらくすると星の外からやってきた何かでは無いことがわかってくる。

それは、城だった。

大きな大きな白亜の巨城が建つ大地は平地だけで1kmはあるだろう。

そして平地には一本の道がずっと伸びている。

その道の先にあるのは大きな城であり、その城は浮遊する大陸の端に位置していた。


その白い巨城を乗せた浮遊する大陸はゆっくりとゆっくりと空を漂っている。

だが、城の反対側の平地の端だけがまるで無理やり崩されたかのように不自然なほどに荒々しい断面を覗かせて、平地は幾つものクレーターにより荒れ果て、昔は綺麗に敷き詰められていただろう大理石のような石でできたブロックがそこかしこに散乱していた。

地面が顔を覗かせたその平地は、既に平地と呼称しても良いのかどうかさえ怪しい。


その浮遊する大陸の名前は【浮遊城アトラレアレクス】。

もう1000年に近い年月を風化と戦いながら過ごしている。

訪れる者は城の浮かぶ高さ故なのかそれとも何かあったのか1000年前を境にぱたりと途絶えた。



1km程の平地には、所々に沢山の十字架(・・・)が乱立していて、

十字架は大小様々な大きさがあり平地の端の方の崩れたような荒々しい断面を晒す崖の辺りには一際大きく美しい装飾の施された6つの十字架が突き刺さっていた。


そしてその十字架の中の3つにはそれぞれに寄り添うように六色の輝きを灯す宝玉をあしらった杖、金地に青い装飾の施された竪琴、見とれるほどに美しい槍が立てかけられていた。




そんな忘れ去られた城こそが、

空に浮かぶ孤独の城【浮遊城アトラレアレクス】。


今までは平地の描写ばかりであったが、城も周囲に広がる幻想的な景色に負けず劣らず幻想的で、景色に華を添えていた。


風化による材質の劣化で純白に純白を重ねたような穢れ一つない神々しい城とはもう言えないが、それでもなおその威光は弱まることはなく、むしろ年月を経て不思議な貫禄まで手にしている。


その城はかつて人々が挑み、攻略していった迷宮(ダンジョン)とよばれる建造物であり、未だ来るはずもない挑戦者たちを待っていたのだ。


そんな部屋の中、とある一室。


白銀の鎧を全身に纏う騎士達が片膝をついた騎士の礼をした状態のまま停止している。

その騎士達の被る兜の十字の裂け目から漏れでる赤い光はこの星の記憶を刺激する嫌な感覚を呼び起こしたが、

その騎士は動くことなく数百年以上待機していた。


その騎士達が一様に向いている方向に目を向ければ、そこには広々とした階段が続き段が無くなり平坦な場所に出れば複雑な文様を刻まれた石板が地面に嵌め込まれている。


それは何処からか何者かを招き、1000年前のとある事件では■■■を迷宮たるこの城に招き入れた転移魔方陣だった。


だが、実はこの魔法陣は誰にも知られる事は無いが1000年前のとある事件の数年後に一度だけ使用された痕跡があるのだ。


この城から…

転移先のどこかへと…





××××××××××××××××××××××××××××××××××





暗く、暗く、暗い。

だが僅かに木々や葉の合間から覗く暖かな陽光が地面の根や苔を照らしている。

懐かしいこの景色。


ほんの少し湿った木々や苔の香りが森の奥から吹き付ける風が運んでくる。

懐かしい、この匂い。


ウォルテッド近郊、徒歩で1時間とかからない

【エスナの地下迷宮(ダンジョン)】と面した森。

常夜に覆われた森と人の里の間におかれた緩衝地帯の役目を果たす森。


この世界の一般人にとっては強力な魔物がひしめいているが、俺達の時代(・・・・・)では初心者に優しい森だった。


記憶を取り戻した今なら視界に映る全てが懐かしい。

あの世界(ゲーム)で経験値上げをしたのもこの森であり、そしてこの世界(げんじつ)で力を付けたのもこの森だったからだ。


ゲームの時代にエスナはなかったが他の景観は殆ど変わらない。

昔よりやや川幅が広がった川に所狭しと乱立した木々。

苔は岩や木々にこびりつき、光を必死に取り込み青々としている。

一見生物の気配を見せないこの森だが、それは小動物の敵を感知する能力が高いだけであり、それを上回る速度で動けば存外簡単に見つかるのだ。


そんな深い闇の淵(常夜地帯)にある森、

それが【深淵の密林】。




今日は42日目の夜。


今日も天光神ディオネから空を受け取った冥闇神ベクターナが大空を限りなく黒に近い、もはや黒としか言えないような紫に染めた。

と言うような設定だったと記憶している。


まぁ実際紫などなく完全な黒なのだが、設定を無理やりこじつけたのだろう。


空が暗くなると同時に発動させた【暗視(ナイトヴィジョン)】で夜の森を見つめながら、俺は心の奥から溢れ出る感情を背景に、感慨深げに風を受けていた。


森の奥から吹き付ける風は前述の通りほんの少し湿った木々や苔の香りで俺の鼻腔をくすぐる。


「あぁ、懐かしい。今思えば全部が懐かしい」


この森で最初に出会ったのは、魔物でも小動物でもなく、人間だった。

それはこの世界がまだ現実じゃなかった時の始まりの始まりで起源。

()が【七光】であり【七光】が俺達(・・)である事の原点である

【七光】が設立される前に1人の男に出会った場所だ。


俺は記憶と重なる景色を目の前にしながらその中に足を踏み入れた。

吹き抜ける風が頬を打ちコートを波打たせる中で一歩を踏みだし、更に逆の足を踏み出す。


足を交互に前に出し、少しずつ距離を進めていくうちに速度が乗ってくるのを肌で感じ取り、しばらく軽く走った後、

前傾姿勢になり一定の速度で駆け抜ける。


見かけるゴブリンや芋虫が殆どいなかったのは、どうやら魔物の侵攻に巻き込まれ殺されたのか魔物の侵攻に加わってウォルテッドに攻め込んだんだろう。


一瞬、遠くに芋虫が見えるがすぐに木々に阻まれて視認できなくなり数秒後には探知できる距離から外れた。

今はレベルの低い魔物を相手している場合ではない。

俺はただひたすらに奥へ奥へと足を踏み入れる。


しばらく進むと森の様相が一気に様変わりした。

ただ乱立していた木々は次第にうねり、歪み、実る木の実は全てが警戒色で口に含める物だとは思えなかった。


そして何よりも目立つのは一寸先は何処が地面で何処に木が立っているのかさえも分からない闇に包まれていたのだ。


「これが…常夜地帯(トコヨノチタイ)…」


この世界では今まで踏み込むことが躊躇われた暗黒の森であり、

あの世界での俺の…狩場だった場所だが、

常夜地帯とは弱肉強食、下克上が日常の場所と設定にはあった。


ならば、この【迷いの大森林】の生態系は1000年の年月を経て何処まで変わっているのだろうか。


俺はゆっくりと、しかししっかりとした足取りで夜の森を抜け、暗黒の森の中に足を踏み入れた。


その瞬間、どういう仕組みかは分からないが俺の魔力探知にかかっていた【迷いの大森林】内の魔物の大半が俺の存在を認識した。


その数、約10体。


ゲーム時代はテリトリーから出てくることは無かった魔物だが、システムから解放された瞬間に共食いや縄張り争いを始めたのだろう。

俺がこの世界の1000年前に認識していた魔物は1体も確認できなかった。

ここは常夜地帯のまだ浅い層、目の前の10体の魔物に萎縮している程度では俺は生き残れない。


俺の新しい経験値となってもらわなければ…


うねりながら聳える木々の合間から現れた魔物は全て同じ種族の魔物だった。

どうやら魔物は進化したりする生物ではないようで姿形は1000年前と大差ない。


癖となったステータス解析を無意識にかける。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


獄星狼(ゲヘナヴォルフ)]lv:50


[解説]

Aランク下位の魔物。体長2m程度。

孤高を好むが、自身より実力があると判断した相手には徒党を組み挑む。

単体Aランクだが10匹ごとにAランク中位、

Aランク上位と上がっていく。


【闇属性耐性:強】【光属性耐性:弱】

【影移動】【星跡爪(ゲヘナファング)

黒球(アーベント)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ここら辺では見ることはなかったが、懐かしい。

前はここから数十キロ先の森にひっそりと暮らし侵入者を撃退するだけの種族だったが、やはり元々のスペックが高かったのだろう。

システムから解放された後に常夜地帯の入り口に陣取ることができたと思われる。


グルルルルルルルル…………


半円を作るように囲まれたが、ゲヘナヴォルフも警戒しているのか中々近寄ろうとしない。

俺は少しづつ、少しづつ放つ威圧感をましてゆく。

これに耐えられなければ俺と共に旅をする事はできないだろう。

従属は可能だろうが本気を出した時に近くにいただけで威圧感で殺してしまうかもしれないからな。


「よし…やるか…」


俺自身が吐いた言葉は、久しぶりに罪悪感が感じられた。

自分でも不思議な言い回しだとは思うが間違えてはいない。

鈍感というスキルが消えていたこの前は今まで隠されていた壊れた心が表層に出ていたのだから。


今は経験値が貯まるだけでレベルアップはしないが問題ない。

貯めれば貯めるほどに【存在昇華】後のレベルアップがしやすくなる。

記憶が補完されたからといってゲーム時代のように魔物を経験値扱いすることなどできないが貯めておけば良いのも確かだ。


俺はゲヘナヴォルフに囲まれながら漏れ出る壊れた心を僅かに表層に出した。

その瞬間、漏れ出た異質さを敏感に察知したゲヘナヴォルフ達が震えた。

感じたことの無い恐怖を味わったゲヘナヴォルフが後ずさる中で俺は動くことなく周囲を見渡す。


グァァァァァァァァァッッ!!!!!!


恐怖が我慢の限界を超えたのか、1匹のゲヘナヴォルフが飛び出した。

それに続くように全てのゲヘナヴォルフが次々と飛び出す。


最初に飛び出した1匹目に向かって【古代天魔の剣(エンゲフェル)】で斬りつける。


ギャインッ!!!!


飛びこんできた前脚を斬り飛ばし、

回転しながらゲヘナヴォルフを回避した後、

すぐに2匹目に意識を向け跳躍。


上空から呆然と俺を見上げるゲヘナヴォルフに向かって【竜種の咆哮(ドラゴ・ロア)】を放つ。


竜種の咆哮(ドラゴ・ロア)】の効果は

自分より実力の低い(レベルの以外のステータスも含み)対象を高確率で行動不能にする。

効果は最大10秒、また竜種の咆哮系スキルには同種の咆哮や吐息を打ち消す効果もある。

という物だ。


『GURAAAAAAAAAAAA!!!!!』


ビクッ!!


俺の喉から放たれた普通の咆哮は口を出る時には既に人外の叫びへと変化していて、周囲へと拡散され森の浅層に響き渡った。

俺の咆哮の真下にいたゲヘナヴォルフはひとたまりもない。


着地と同時に真っ先に咆哮の餌食になった前脚を斬り飛ばされた1匹目の首を撥ね、次に咆哮により完全に身動きが取れずに震えている2匹目の頚椎にするりと【古代天魔の剣(エンゲフェル)】を突き刺した。


既に残るゲヘナヴォルフは8体となったがそれぞれが咆哮による被害を少なからず受けていて動き出せずにいる。


俺は油断する事なくゆっくりと足を進め、痙攣を起こすゲヘナヴォルフに近づく。


グッ…グァァァァァァァァァァッ!!!!!


3匹目のゲヘナヴォルフの爪が黒く光りだし、俺の胸元のあった空中に3本の爪痕を残した。

明らかに動揺しながら繰り出したその技はよけることに苦労しない。


あれは多分【星跡爪(ゲヘナファング)】というスキルだろう。

Aランク下位の名に恥じず当たれば確実に深手を負う、実際に俺の頬には僅かに血が滲み出していた。

だが急所に当たらなければどんな攻撃が来ようとも意味を成さない。


バックステップで開始した後、違う角度から飛び込んできた4匹目のゲヘナヴォルフを相手取るが、恐怖が抜けないのか足取りに獣らしい思い切りの良さが見受けられなかった。


スキル【武器作成:ⅠⅠ】で使い慣れた短剣を1本精製し投擲する。

懐から取り出すよりこの方法で短剣を取り出した方が早いのだ。


投擲されたシンプルな短剣は爪を振りかぶり態勢を崩していた3匹目のゲヘナヴォルフの眉間を抉り、後頭部から青色の閃光が突き抜けた。


戦舞技ー【一投刹那(イットウセツナ)


ゲームでは上級者を自負していただけあり【魔装剣】を主流としていたがこの世界での戦舞技歴が長かったこともあり咄嗟の判断で戦舞技が出てしまった。

まぁ大きく分ければ【魔装剣】は長時間戦闘向けで【戦舞技】は短期決戦向けのような物だから使い所は間違えてはいないのだが。


一瞬視線を外した4体目のゲヘナヴォルフが地面に沈んでいくのが見えた。

ゲヘナヴォルフの発動したスキルは【影移動】と思われるがみすみす発動させる訳にはいかない。

俺は咄嗟にスキル【粘糸精製】を発動させ、某スパ○ダー○ンに酷似した手のひらから糸を出すという行為を繰り出す。


糸は影に沈みつつあるゲヘナヴォルフの全身に絡みつき動きを束縛した。

俺はそのまま影から引き上げ、上に上にと聳える木々の合間に磔にしておく。

余計な技を使われるのは危険だし使われないに越したことはないからという理由もあるが、倒さなかったのは体目を倒そうとすれば残りが硬直から抜け出して攻撃をしかけてくるからだ。


俺は懐かしいと震える心を抑えながら【VRMMO】時代に仲間が愛用していた魔法を使用した。


「…【捕縛(バインド)】」


これは無属性束縛系統中位魔法。


無属性、それは今の世界では誰も知っている者はいなかった。

なぜ無属性が消えたのかは予想がつく。

属性神の設定がない属性だったからだろう。


俺の身体から飛び出した5本の鎖は音をたてる事なく伸びていき、たった今硬直から抜け出したゲヘナヴォルフ6匹のうち5匹を拘束した。


どうやら対象の指定はゲーム時代よりも自由度が増しているようだ。

拘束できなかった残る1匹に魔法を放つ。


「…【氷柱の弾丸(アイツェン・ショット)】」


右手をピストルの形に握りしめ、発動。


指先に長さ15cmほどの氷柱が形成され、

高速で瞬時に射出された。


グ……………ァ…………


暗闇の中で眉間と重なった氷柱は後頭部から抜け、後方に聳える木を抉りながら消えていった。


鎖に拘束されている5匹のゲヘナヴォルフを見ながら、俺はこの世界からしたら昔の昔の記憶となってしまった隣を歩いていた狼男の相棒を思い出していた。


彼の魂も未だ何処かに縛られ続けているのだろうか…


俺は雑念を振り切り、残りのゲヘナヴォルフが妙な動きをしだす前に【古代天魔の剣(エンゲフェル)】のスキルを発動させる。


天の斬撃(エンゲフィーア)


剣を振り下ろすと同時、常夜の筈の暗闇に一条の閃光が煌めいた。

その閃光は確かな質量を持ちながら真っ黒な地面を照らし、質量を持った閃光が地面に触れた瞬間。


ゴゴゴゴゴゴゴゴォォ!!!!!!


地面を砕きながら縛り付けられたゲヘナヴォルフを飲み込んでいった。


光が途切れた所から再び闇が侵食していき、夜に覆われた世界が息を吹き返す中で、

俺は身体に吸い込まれていくキラキラとした粒子を見た。

完全なる黒の世界が覆う空間、俺は確かに経験値という物が俺に入り込み力となっていくのを視認し、確かにステータスの経験値は上昇していたのだ。

1匹の経験値は2200前後であり10匹を倒した事で得た経験値は22000。

レベルが上がる事は無いが、

底なしのプールに少し水が溜まったような気がした。


戦いが終わって思ったのだが、

狼型で騎乗できる生物は今のゲヘナヴォルフでも良かったのかもしれない。


まぁ倒した後なのでなんとも言えない残念な感じがしないでもないが、探知できる範囲にいないだけで他にもまだ居る筈だ。

俺は気長に【迷いの大森林】の中を進んでいった。





××××××××××××××××××××××××××××××××××






「ぶひっ…な、なにをするお前らはっ!!」


ちっ…助けてやったのにこの態度かよ…だから貴族は嫌いなんだよ。


王国も…帝国も…


「…我らは統一され、帝国の手の元に…」


「…なるほど、そう言う事か。ならば早く降ろせ!私を担ぐなど貴様の育ちの悪さが伺えるわっ!!ぶひっ」


言われなくても降ろしてやりたいわこのブタ野郎。

重いし臭いし脂ぎってるし…

これは早く水浴びをしたいな。


「王国を出て仲間の歩鳥車に乗るまでの辛抱です」


「ならば早くそこまで連れていかんかぁぁぉっ!ぶひっ」


俺は帝国の闇鴉、王国の癌を手助けし悪化させる帝国の尖兵。

今回はこの癌もとい豚や他の貴族共を使い、王国に華を咲かせる。

赤い、赤い、血まみれの華を。


俺は豚を王国のとある家屋の地下に幽閉していた。

数日後か数週間後かは知らされていないが、決行の日には他に潜む闇鴉の隊員から連絡が入る筈だ。


それから数日、英雄と呼ばれている不安要素が去ったらしい。と闇鴉から報告があり、

それから数日後に作戦の決行だと伝えられた。


俺は家屋の地下に降りて縄で縛り付けられて転がされている豚に声をかける。

この豚との最後の会話を。


「あぁ、言い忘れていたが、帝国からの伝言だ」


「な、なんだ貴様のその口の聞き方っ!!私の地位を知らないのかぁぁ!ぶひっ」


これだから立場を理解しない小さなプライドと世界の中で生きている糞共は…

任務には無いがこいつに現実を教えてやるのも良いかもしれない。


「黙って聞け、それにお前はもう貴族じゃないからな。怖いとは思わない。では聞け、『帝国は貴殿との取引を破棄する』以上。

それではプランBに移行」


最後は独り言だが、昔から癖なのだ。

やめろと言われても無意識に依頼や任務を口に出して反芻してしまう。

そのせいで対人、つまり人を相手にする依頼や任務は向いていないのだが、どちらにせよ死ぬ相手なのだ。

問題にはならないし上もそういう考えで腕が良いがそこら辺に問題がある俺を投入したんだろう。


「な、なにを!!や、やめろぉぉ!!ぶひっ」





黒ずくめの男は王国から出る事なく、

豚の首元に黒塗りの宝石を埋め込んだ。


「プランB、ポイント1成功」


黒ずくめのの男はそう呟き、舌打ちをしながらそそくさと闇の中に溶ける様に消えていった。

それと同時に、数カ所から紫色の雷が迸り、悪魔が咆哮を上げる。



その時、王城の城壁に埋め込まれた5つの【拒絶の宝玉】が王族の許可無しに赤く光った。

その魔道具の効果は魔法の拒絶だと伝えられていた(・・・・・・・)が、その宝玉達は何かを守るようにして光りを放っていた。


これが起きたのはカナデがとある森に足を踏み入れれた2日後の話。





【SideOut】




[種族]

:【上位人族(ハイ・ヒューマン)


[レベル]

:【LV.100】


職業(ジョブ)

:【剣士(ソードマン)

:【戦舞技師ダンズ・ワー・トリッグ

:【全属性大魔術師オール・アトリビュート・アークウィザード

:【虐殺者(スローター)

:【古の戦士】


名前(ネーム)

:【雪埜(ユキノ) (カナデ)


[経験値]

:【23565/ーーーーーー】


能力(スキル)

:【戦舞技(センブギ)補正:強】

【体力補正:強】【筋力補正:強】

解析の眼(アナライズ・アイズ)】【弱点解析ウィクネス・アナライズ

縛りの咆哮(バインド・ロア)】【竜種の咆哮(ドラゴ・ロア)

野生の本能ワイルド・インセィティクト】【下克上】【隠密(スパイ)

暗視(ナイトヴィジョン)】【魅了(チャーム)

【砂塵の爪甲】【並列思考】

瞬間移動(ワープ)】【予測の眼(ヴィジョン)】【血分体(ブラッド)

【下位従属】【超回復(ハイ・リカバリ)

【粘糸精製】【識字】【色素調整ピグメント・アジャストメント

【剥ぎ取り補正:弱】【異次元収納(アイテムボックス)

【毒耐性:弱】【麻痺耐性:弱】【雷耐性:弱】

【炎耐性:弱】【氷耐性:弱】【武器作成:ⅠⅠ】

【格闘術補正:中】【幸運補正:弱】

虐殺者(スローター)】【古の戦士】【鈍感:超】

【剣豪:ⅠⅠ】【超思考加速ハイ・アクセラブレイン

魔力抵抗(レジスト)】【見切り】【食いしばり】


【祖なる魔導師:II】〔8〕

:【全属性魔法オール・アトリビュート・マジック

:【魔法威力補正:強】

:【魔法命中率:強】

:【魔法操作:強】

:【魔力量増大:強】

:【魔力探知:強】

:【消費魔力半減】

:【魔力回復速度上昇:弱】

---------------------------------------


[クラン]

:【七光】


[Point]

:【15】


所持金(エル)

:【6102万3千6百エル】


[称号]

:【魂を鎮める者(クロムソウル)

:【英雄の国の者カントリーキングダムパーソン









久しぶりなのでモチベーションあげていきたいです。

なのでご感想頂けると嬉しいです。



これからもソウルムーブをよろしくお願いします。

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