143話≫〔修正版〕
なぜか不意にイラっとしたので投稿。
訳わからないですがよろしくお願いします。
暗い暗い、何も見えないこの世とあの世の境。
無意識に理解したその情報にも心はピクリとも反応しない。
タチの悪い賢者タイムになった気分だ…
上下を認識した瞬間、
眼下に広がる心の湖を認識した。
その湖には波紋1つ見当たらない…
賢者タイムここに極まり…
ゆっくりと落下していく。
湖のほとりの地面に身体が横たわった時、
足がある事を初めて認識した。
それから少しづつ身体の部位を認識しようとタールのように重くドロドロとした思考を働かせる。
腕を、首を、腰を、頭を、次第に身体の全てを認識し終えた時、
湖のほとりに何か紫色に光る宝石のような物がある事に気がつく。
認識した口が僅かに開き声を出そうとするが上手く話せないし声が出せず、
出たのは辺りに響くエコーのような思考が流れた。
………あ………れ………は……?
ここは考えた事を口に出さずに伝える事が出来る摩訶不思議空間…
そこまで認識した時、宝石が声に反応したのか僅かに震えた。
直後、俺の胸には紫の宝石が突き刺さっていた。
まるで一コマ一コマを切り取ったような不思議な動きで、気がつけば湖のほとりに落ちていた紫色に光る宝石は胸にあった。
(血は出ていない…おかしいな…)
最初で最後、宝石から流れて来た思考の雰囲気は、
呆れたようで楽しそうな雰囲気だった。
そして俺は湖に倒れこみ、沈んで行っ…
反転。
湖に沈んだ筈なのにしたに沈めば沈む程に浮上する感覚が強くなる。
何だ?
俺は僅かに"下"をむく、
底には湖底は見えず、もう一度"上"を見たとき、光の世界が一面に広がった。
覚醒。
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[!]スキルが発動します
スキル【狂魔】発動
制限時間1:00
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意識が覚醒して、俺の口が動く。
「おはよう、皆さん…さぁ始めようか…」
その動いた口から出たセリフは、
俺の思考とはてんでもってかけ離れていて、
不思議な感覚がした。
そして俺の知らないスキル。
「ー【狂魔】ー」
熱い、熱い…熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い!!!!!!!!!!!!!
燃える様な身体の痛みにより、
数秒の時間が数時間に感じられる程の激痛を全身で味わった後…
俺にの澄んだ心にはふつふつと湧き上がる破壊衝動だけが残った。
カタカタカタカタ。
真っ黒に染まった人形が驚いているのを視界の端に収めつつ、
俺は、剣を握るのもどかしくて、
指を揃えて1番近くにいた人形を手刀で撃ち抜いた。
胸を貫かれた人形は、衝撃で上半身が消えた。
脆い、なんて脆いんだ。
そして俺は2体目の人形も嬉々として壊しにかかった。
制限時間0:58
10体の人形の名は[漆黒使徒人形]
レベルは皆一律で60レベル。
多分アポストルは造語だろう。
魔物としては[Sランク]の下位。
持っていたスキルは【火属性脆弱】、
【炎属性脆弱】、【闇属性吸収】、の3つのみ。
レベルは高くともスキルが充実していない。
そんな印象だ。
頭の片隅でそんな分析をしつつも目の前の人形を破壊する事は忘れない。
距離を取ろうと飛び去る2体目の人形に一気に詰め寄り、
右手を揃え手刀を繰り出す。
貫く寸前にギリギリで回避した人形を左手を揃え貫く。
本当に脆い。Sランクでこれ?
笑わせるな。
俺は今、どうしてか【狂魔】以外のスキルは使えない。どうやら魔法も使えないようだ。
狂っているから?
なるほど、そうなのかもしれないな。
制限時間0:55
頭の中のタイマーは今もなお減っている。
力が抜け、だらしなく垂れ下がった2体目の人形を3体目の人形に向かって投げ飛ばした。
すぐにスタート。
そして瞬時に身体をトップスピードにもっていき、
投げ飛ばした2体目に追いつく。
回避出来ず受け止めた3体目を2体目の身体ごと蹴りで貫いて沈黙させる。
衝撃で爆散した2体目と3体目の経験値を身体に流し込みながら心が歓喜に震え、嗤う。
「…さぁ、次に行こう…」
その呟きは4体目の身体を引き千切る音に紛れて消えた。
制限時間0:51
5体目と6体目の人形が左右から常人には認識出来ない速度で迫る。
あぁ………………………
なんて遅いんだ。
そして2体の人形と俺の影が交錯した時、
人形の影が2つとも弾けて消えた。
俺の両手から放たれた短剣が2体のノワール・アポストル・ドールを穿ち、
短剣ごと消滅したのだ。
制限時間0:45
7体目に背後から胸を穿たれた。
ブシャッ!!
7体目のノワール・アポストル・ドールの手刀が胸を突き破って現れる。
それと共に噴き出た血が俺の足元を濡らす。
既に一度空いた穴が再び空く感覚。
「………悪くない…」
…何を言っているんだ?
いや、分かっている。
この言葉を発した俺はこの世界で最初に生きた者を殺した時から崩れ始めた心だ。
スキルで隠れていたけれども着実に深層では壊れ続けていた俺の心。
あぁ、なんだ。
悲しみを消した鈍感を嫌がっていた。
なのに本当は【鈍感:大】に助けられていたんだ。
このスキルが俺を鈍感にしてくれていた。
壊れた心にさえ気がつかないほどに…
だが今は無い。
そのスキルは【狂魔】を使用する事によって強制的に効果を失い、解除されている。
ハハハ…
俺を穿った7体目の腕を掴む。
貫いた状態から動けなくなったノワール・アポストル・ドールは一気にうろたえ始め歯を打ち鳴らす音が仕切りに響く。
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ!!!!!!!!!!
俺はその腕を折り、
引きちぎった。
痛みを感じないノワール・アポストル・ドールは振り向いた俺をその暗い瞳に映しながらいきなり支えを失いバランスを崩して尻をついた。
俺はゆっくりと振り向き、
倒れたノワール・アポストル・ドールの顔面に膝蹴りを食らわせた。
バゴォォォォォォォォォン。
爆ぜた頭部。
力が抜けた7体目のノワール・アポストル・ドールは俺を避けるように上げていた両腕を垂らし、ドサリ。と後ろに倒れた。
制限時間0:29
時間をかけすぎたな。
逃げ出す8体目のノワール・アポストル・ドールの後頭部を掴み、今の力の全力で真上に投げる。
そしてヤケクソに飛び込んで来た様にしか見えない9体目と10体目を相手取り徒手空拳で対峙した。
右から来た9体目ノワール・アポストル・ドールの手刀が首を切り裂く中で、
俺は前に一歩踏み出そうとする。
左から飛び込んで来た10体目が行動を阻害する様に俺の踏み出そうとした右足の太腿に抜きはなった長剣を突き刺さしてきた。
それでも尚、嗤いながら踏み出す俺を見て、
2体のノワール・アポストル・ドールの黒い瞳が動揺で揺れた。
隙を逃がさず全力で地面を踏み抜き衝撃で右太腿に刺さった剣を抜く。
俺とノワール・アポストル・ドールの間に舞った剣を頭突きで飛ばし、
音速を超えた剣は俺の右太腿を貫いた10体目のノワール・アポストル・ドールの頭部を消滅させた。
制限時間0:09
そして俺の首を切り裂いた9体目のノワール・アポストル・ドールの手ごと首がふさがる事をイメージすれば、首の傷は塞がった。
胸の傷と首の傷は消えたが、
首には真っ黒な人形の手が埋まったまま。
必死に抜こうともがく9体目を冷めた目で見つつ、
俺は呟いた。
「人形に感情がある時点で君達は一つのアドバンテージを無くした。」
制限時間0:07
その声は【狂魔】を使用中にも関わらず落ち着いた声だった。
制限時間0:06
「そしてデメリットも手に入れた。」
制限時間0:05
そして最後まで語る事なく、
9体目のノワール・アポストル・ドールの顔面を掴み、
そのまま首を引きちぎった。
ノワール・アポストル・ドールの意識が消える寸前、
目に映った黒髪の男は、
"後は自分で考えろ"
そう言いたげな顔をしていた。
制限時間0:03
上空から風を切る音が聞こえる。
首に刺さったままの腕を引き抜けば、
すぐに治癒される。
制限時間0:02
傷が埋まったのを確認し俺は空を見る。
見える黒点と風を切る音は次第に大きくなり。
制限時間0:01
腰の剣帯から抜き放ち、振り上げた剣に。
制限時間0:00
突き刺さった。
8体目のノワール・アポストル・ドールは落下の速度が合わさり、
剣に貫かれ上半身と下半身が分かたれ地面に当たり、砕け散った。
そして俺はノワール・ドールに振り返る。
「…効果が切れたか…だけどPointは溜まった。」
呟いた声はスキルに覆われた、
いつもの俺だった。
それにそこはかとない安心感が満たして行く中で、
目の前のノワール・ドールはその何も映さない瞳の中の渦巻く感情が揺らいで見えた。
スキル、
【狂魔】が解除されました。
その時、
あの暗い湖畔で胸に刺さった紫色の宝石が抜け落ちるのを幻視した。
それと共に流れ落ちた血は自らの命を連想させた。
代償、なのだろう。
ならば制限時間が1分なのも分かる。
多分使い過ぎれば本当に死ぬのだろう。
これはスキルも魔法も使えなくなるけど理性のタカが外れ、
いつもは出ない様な力が出る。
本物の切り札だな。
そして不意に視界の端に浮かび上がったステータスを見る。
46565-9500=37065
37065-9600=27465
27465-9700=17765
17765-9800=07965
7965/9900
これは多分経験値が計算されたのだろう。
今のレベルは98レベル。
握りしめる拳の力は随分と強くなっている気がする。
ステータスの上昇値はレベルが高いほどに上昇するのだろう。
そしてレベルアップで獲得したポイントは4Point。
俺が狂っていただけでノワール・アポストル・ドールは実力的には文句無しのボス級魔物だった。
フィールドにそれ以上の実力のノワール・ドールが居た為にボーナスは少なかったと記述にあるが、それでもポイントボーナスは10体で20Pointだった。
そして今現在、溜まっているポイントは[96]Point。
対峙しているノワール・ドールが狂乱翼竜から飛び降り、
指を俺に向けてカタカタと口を鳴らす。
『GURAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!』
それに呼応した様にマッド・ワイヴァーンは叫び、
地を鉤爪で抉りながら突進して来た。
俺は迫るマッド・ワイヴァーンを正面に見据えて、スキルの選択を続けた。
垂らした右手には既に剣、
【古の■■の剣】を握りしめていた。
左手は目の前に出したステータスの画面に這わせて画面をスクロールさせている。
さぁ、このスキルを取ったら、
俺はどうなるのだろうか…
ーーーーーーーーーーーーーーー
【リ・アバター】[80]
[解説]世界|が世界で無かった《
・・・・・・・・》
時の貴方のステータスを再現します。
ーーーーーーーーーーーーーーー
考える時間が今はもどかしい。
俺はこのスキルを取得した。
残存Point[96]→残存Point[16]
ポイントが減り、ウィンドウが表示された。
ーーーーーーーーーーーーーーー
Point[80]を消費して以下のスキルを取得しました
残存ポイントは[16]Pointです。
能力を確認してください。
【リ・アバター】[80]
ーーーーーーーーーーーーーーー
加速する思考。
目の前に迫るマッドワイヴァーンを前にして、
俺は迷う事なくスキルを発動させた。
直後、流れ込んでくる大量の記憶。
そしてそれと共に体が作り変わる様な熱い感覚が全身を襲う。
目の前に表示されたステータスが僅かに歪み表示が少しだけ変わった。
並列思考の1つの思考が潰れた。
2つ目も停止、
3つ目も停止、
4、5、6、7、停止、停止停止停止停止停止停止停止停止停止停止停止停止停止。
そこで不意に全ての思考が再起動し、
澄み渡った。
そして俺は笑った。
加速する思考の中で、高らかに。
Movement of the soul………
【Mythology.Kadiria.Online】
その流れ込んで来た俺の記憶の中で、
この世界の戦士の1人には…
確かに俺が居た。
【SideOut】
『半人族[lv:98]』 :【剣士】/【戦舞技師】/【全属性大魔術師】/【虐殺者】
雪埜 奏
取得経験値/必要経験値:7965/9900
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:大】
【剣豪:Ⅰ】【体力補正:強】【筋力補正:強】
【解析の眼】【弱点解析】
【縛りの咆哮】【竜種の咆哮】
【野生の本能】【下克上】【隠密】
【暗視】【魅了】
【砂塵の爪甲】【思考加速】【並列思考】
【瞬間移動】【予測の眼】【血分体】
【下位従属】【超回復】
【粘糸精製】【識字】【色素調整】
【剥ぎ取り補正:弱】【異次元収納】
【毒耐性:弱】【麻痺耐性:弱】【雷耐性:弱】
【炎耐性:弱】【氷耐性:弱】【武器作成:Ⅰ】
new!【格闘術補正:中】【幸運補正:弱】【虐殺者】
----------【祖なる魔導師:II】----------
【全属性魔法】
【魔法威力補正:強】【魔法命中率:強】
【魔法操作:強】【魔力量増大:強】
【魔力探知:強】【消費魔力半減】
【魔力回復速度上昇:弱】
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残存Point:[16]
所持金:[1102万3千6百エル]
称号:【魂を鎮める者】
【英雄の国の者】
[!]経験値45,000を手に入れました!
※規定経験値を超えました。
4Levelupします。
必要経験値がresetされます。
LevelUPにより4Point獲得。
Bonusにより20Point獲得。
【格闘術補正:弱】→new!【格闘術補正:中】
ご感想お待ちしております