140話≫〔修正版〕
よろしくお願いします。
2日が経ち41日目の朝
既に街は冒険者や兵士達の声で騒がしく嫌な意味で賑わっている。
騒がしい理由は、今日魔物の侵攻が開始されるからだ。
「カナデくん…何処に行くんですか?」
ソラ姉は俺が侵攻を阻止する為に動くことを知っている。
要するにこれは確認だろう。
「ちょっと魔物を蹴散らしてくる」
ソラ姉を不安な気持ちになんてさせたく無い、俺は表情を取り繕い、自信に溢れる仮面をつけた。
だが、あの白い檻のような病室で使い慣れた仮面は、いとも簡単に見抜かれていたようだ。
ソラ姉は俺に駆け寄り、俺の頭を抱え込み胸にうずめた。
えっ……
「もう、取り繕わなくて良いんだよ?怖いんでしょ?自分や仲間が死ぬのが。」
あぁ…
もちろん怖いさ、森の奥に視たあの魔力反応の事が。
魔力反応との戦闘を【並列思考】や【思考加速】でシュミレートした。
何度も何度も何度も、何度も。
自分がレベルアップした場合、
スキルが進化した場合、
数々の奇跡が重なった場合、
全ての結果は…全て同じ答えに行き着いた。
俺の死
何度思考し直しても行き着く先は同じだった。
死後の世界はもう見た。
でも痛いものは痛いのだから死ぬのは面倒だし、今はソラ姉がいる。
異世界において俺だけが先に逝くなんて事はしたくない。
「ありがとう。それじゃあ、行ってくる」
俺はソラ姉の肩を掴み、密着していた身体を離す。
そして心を奮い立たせながら城門の方向へと歩き出した。
××××××××××××××××××××××××××××××××××
1人、先陣を切って進む。
魔物の群れが見えてきた、魔物達はゆっくりと進んでいる様だが、ここから見える魔物は全て目に理性の欠片も見受けられない。
理性があるとされる魔物でさえ、ふらふらと無軌道に揺れながら歩いてくる。
不自然だ。あまりにも…まるで何かに操られているようだ…
だが、視線は全て俺ら人間に固定されていて、近づけばアクションが起こるであろう事から容易に近づく事はできない。
そんな中、城壁外に立ち戦いを待つ冒険者や兵を尻目に俺は歩いていた。
ダインの手回しのお陰で俺を止める者は居ない。
戦士達の視線が縋り付く様に俺に集まる。
10000と言う途方もない魔物の軍勢、誰かに縋りたくもなるだろう。
次の瞬間、青空に突如現れた雲を媒介としない数千の水の槍が雨の如く地上に降り注いだ。
そして一瞬にして1000の魔物が消滅した。
…俺の手によって。
水属性最上級固有魔法
ー【処女の涙雨】
そ彼我の戦力は未だ9000対2060だが、それにより士気は限界まで高まった。
『つ、続けぇぇ!!我らに英雄あり!!!』
『『『『『うぉぉぉおぉぉお!!!!』』』』』
俺の背後で地を踏み鳴らす人間がいる。
俺の眼前で地を鳴らし仲間の屍を踏み越える魔物がいる。
俺は戦場の奏でる旋律を、涙を流しながら聞いていた。
この魔法は好きだ。
俺のスキルで消える筈の悲しさを忘れさせてくれないから。
おれは一息つく間も無く概念魔法を発動させる。
「ー【我炎獄の紫炎を纏う】ー」
身体から噴き出る紫の炎は周囲の酸素を喰らい尽しながら一気に燃え上がり、俺の身体にまとわりつく。
この魔法のメリットは、敵に触れるだけで炎が燃え移る。
そしてその炎は敵を灰にするまで止まらず、水か火/炎耐性が無いと対処出来ないのだ。
デメリットは移動を辞めると窒息するといった所だろう、理由は単純に周囲の酸素を喰う量が半端ないからだ。
俺は自身の脚力を限界まで引き出し前進せんとする。
この概念魔法は動きの補助などは無いから自分で動かなければならない。
「ギョェァァァァァ!!!!」
右から全長5m越えの
Cランク級の魔物[巨木人]が操られた人形のように身体の限界を無視して腕を振り回しながら迫ってくる。
俺はそれをタックルで燃やし尽くし、腕を掴みながら投げ飛ばした。
この魔物の軍勢はDランク級の魔物の
[斧角兎]や[木人]、
[混沌赤鬼]、[豚頭人]、
[骸骨騎士]を中心とし、
Cランク級下位の魔物[巨木人]や同じくCランクの中位の
[銀牙狼]もちらほらと混ざっている混成部隊だ。
俺がさっき放ったレイン・トァー・メイデンで息の根を止める事が出来たのは殆どがDランクの魔物であり、Cランクは動きの遅いジャイアントトレントこそある程度殺す事が出来たが、速度に特化したシルバーウルフは殆どが下位の魔物を盾にして生き延びていた。
「ギャ!!!!」
飛び出してきたレッドゴブリンの胸を手刀で貫き、そして中頃まで進んだところで概念魔法を切り替える。
概念魔法
「ー【我閃く稲妻を纏う】ー」
瞬時に紫炎から雷光に切り替わり、
身体が雷を纏う。
そして雷速である秒速150kmで敵陣を穿つ。
視界が一瞬で切り替わり、次の瞬間には森と平原の境に出ていた。
待ち構えていたのは、ケタケタと笑う黒く染まった1体の人形と、
眼を血走らせて口から泡を吹きながら咆哮する1匹の亜竜だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[漆黒人形]lv:85
[解説]
災害指定級下位の魔物。
体長1.5m
この魔物は人形が魔力によって魔物化したと考えられている
【火属性脆弱】【炎属性脆弱】
【闇属性吸収】【闇属性倍加】
【操り人形】
【人形の王国】
ーーーーーーーーーーーーーーー
魔物の軍勢の動きがおかしいのはこのスキル【操り人形】があるからだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーー
[狂乱翼竜]lv:69
[解説]
Sランク級の魔物。全長5m
亜竜種:翼竜の上位種
生息地域【迷いの大森林】最深部
【火属性吸収】【炎属性耐性】
【闇属性耐性】
----【狂乱翼竜の吐息】----
【狂乱の吐息】【炎の吐息】
ーーーーーーーーー------
スキル【野生の本能】は今までに無い程に逃げろと叫ぶ。
その警鐘を意識の外に追いやり、俺は1歩踏み出した。
【SideOut】
『半人族[lv:94]』 :【剣士】/【戦舞技師】/【全属性大魔術師】/【虐殺者】
雪埜 奏
必要経験値/規定経験値:1565/9500
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:大】
【剣豪:Ⅰ】【体力補正:強】new!【筋力補正:強】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【竜種の咆哮】
【野生の本能】【下克上】
【隠密】【暗視】【魅了】
【砂塵の爪甲】【思考加速】
【並列思考】【瞬間移動】【予測の眼】
【血分体】【下位従属】
【超回復】【粘糸精製】【識字】【色素調整】
【剥ぎ取り補正:弱】【異次元収納】
【毒耐性:弱】【麻痺耐性:弱】
【雷耐性:弱】【炎耐性:弱】【氷耐性:弱】
【武器作成:Ⅰ】【格闘術補正:弱】
【幸運補正:弱】【虐殺者】
----------new!【祖なる魔導師:II】----------
【全属性魔法】
【魔法威力補正:強】【魔法命中率:強】
【魔法操作:強】【魔力量増大:強】
【魔力探知:強】【消費魔力半減】
new!【魔力回復速度上昇:弱】
---------------------------------------
残存Point:[72]
所持金:[1102万3千6百エル]
称号:【魂を鎮める者】
【英雄の国の者】
[!]経験値300,000を手にいれました!
※規定経験値を超えました。
40Levelupします。
必要経験値がresetされます。
40Point獲得
new!【祖なる魔導師:I】→【祖なる魔導師:II】
new!【魔力回復速度上昇:弱】
new!【筋力補正:中】→【筋力補正:強】