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Soul-Move -新章開始-  作者: 癒柚 礼香
【魔物の侵攻】
121/145

138話≫〔修正版〕【断片】


よろしくお願いします。









ダインは女性の死体をひっくり返してうつ伏せにし背中を晒す。


背中はミミズ腫れのような腫れが文字を作っていた。


「これじゃ。『3日後、お前達人間を1人残らず殺す。』今日の朝に見つけられたこのメッセージ、そろそろ日が変わる。あと2日じゃ」




日付は変わって39日目の明け方。


攻め込まれるのは俺がこの世界にきてからで言うと41日目となる。

どうやらダインは援軍の来ない籠城はする気などないらしく、討って出るようだ。


10000対2060


1人が4.8体、まぁ5体位だな。

それだけの敵を相手すれば良い計算だ。

大事なのは俺があの巨大な反応を示した魔物に辿り着くまでに何体削れるかという事。

まぁぐちぐち考えていても2日後には全て決まるか…




××××××××××××××××××××××××××××××××××




俺は溜まったPointを消化する為にいつもの様にステータスを開いていた。


ふと、1番したまで行くと良く分からないスキルがあった。


【リ・アバター】[80]


消費Pointが激しすぎて怪しすぎる。


[リ]と言うのは再び、戻ってくるのニュアンスで良いだろう。


[アバター]はなんだ?

普通に説明すればインターネット上のもう1人の自分と言った所か、要するにゲームとかのアバター、自分の分身って事だろう。


アバターが戻ってくる?

どう言う意味だ?


俺は気がつけば【リ・アバター】をクリックしていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【リ・アバター】


[解説]世界が世界で無かった(・・・・・・・・・・)時の貴方のステータスを再現します。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



何かがチクリ、チクリと、


俺の頭をしきりにつついている気がした。

俺は何かを忘れている。

大事な何かを…

そういえばおかしい所は無かったか?


俺は何故か物を忘れる事が無い。

ソラ姉は確かこの事を【完全記憶能力】と言っていた。


その俺が記憶に靄がかかったかの様な感覚を味わったことがつい最近あったはずだ。



あ、



『でもなんか聞き覚えあるんだよなぁ

【オルペイの竪琴】、【ピアロマイアスの麗槍】、

【アルトレフールの大盾】。【異世界wiki(笑)】での見覚えだけじゃない何か…。思い出せない…』


そうだ。俺は神話の武器の名前を見たときに違和感があった。

懐かしい様な…なんと言うのか…


その時だった…


俺は突如として脳裏に浮かんだ映像をただ呆然と立ち尽くしたまま見ていた(・・・・)

懐かしさの香る草原に立つ7人の男女。


その7人がそれぞれ手に持っているのは、


七色の宝玉が嵌め込まれた杖


強大な破壊力を秘めた大槌


鋼色に輝く手甲(ガントレット)


灰色の巨大な盾


見とれる程に美しい槍


金地に青い装飾の施された竪琴


そして禍々しさと神々しさと言う相反する属性を宿した黒い両刃剣


そしてその黒い剣を持った人の顔を理解した時、俺の意識はブラックアウトした。




××××××××××××××××××××××××××××××××××








七光(ナナコウ)




それは世界ができた1000年前よりも昔、


世界が世界で無かった時代に存在した。


伝説のクランの名前。


彼らは最後まで仲間の為に戦ったと…


"英雄"は言っていた。



××××××××××××××××××××××××××××××××××




小さな丘の上に立つ七人の男女。


「ユカナ…【七光】ってさ…」


「さいこーダネ。」


「そうだね…」


妙に下睫毛がながい垂れ目の美女が変な語尾を使いながら黒い剣を持った男と会話していた。


「犬……」


「犬じゃねぇよ!!狼だよ!…」


「ごめん。いつも言ってるから結構本気で…間違えた」


犬ではなく狼の耳を生やした銀髪の男がスラリと伸びた脚で地面を悔しそうに踏みつけていた。


「ソフラン…名前とアバター違くない?」


「む…それは今更か?」


「いや、始めてあった5年前から思ってた」


「…そうか…」


全身を灰色の甲冑に包んだ身長2mの男は無口だったが兜から覗く緑の瞳はしっかりとした意思が感じ取れた。



「シルフェさん。…気持ち悪いよ?」


「ぐへへ…AくんとBくが絡ん…ちょっと待てです。私は気持ち悪くないです」


「いや、お前はキモイぞ?」


「うるさい黙れです。キバはソフランに掘られちゃえ」


「なっ!?何だとぉ!?」


少し腐っている少女はローブをみに纏い、メガネをキラリと光らせた。


「アルシェイラ…ウチのクランってさ…」


「これがデフォルトじゃ無いの?」


「あ、そうだったね」


「みんな仲いいじゃない」


「そう見える?」


ゆったりとしたローマをイメージした白いドレスを身に纏う金髪碧眼の女性は育ちの良さそうな口調で話していた。


「カム爺…」


「煙草は現実のものが1番じゃな。一旦落ちるぞ。」


「おい爺。」


スキンヘッドなのに髭が半端ない爺さんは加えていた煙草を魔法のように消し去り、

何を言ったのか俺には聞き取れなかったが黒い剣を持った男は聞き取れたようで何か言い返していた。


「取り敢えずカム爺が戻ったら取り敢えず純竜辺り行っとく?」


「えー純龍がいいデス。」


「純竜だと瞬殺しちまうぜっ!」


「確かに純竜のブレスだと防ぐ時に手応えが無いからな。」


「私も回復と支援のやり甲斐のある方がいいわ。」


「じゃ、純龍の方で良いか。」


「ぷはっ一服完了じゃな。で?何処に行くか決まったのか?」


「カム爺待ちだよ。ほら、転移するから捕まって」


「じゃぁれっっごーデス」




それは今のカーディリアからすれば1000年以上前の誰も知らない物語。


夢をみているような状態のカナデもそんな昔の出来事をみているとは知らなかった。




××××××××××××××××××××××××××××××××××





「…き………カ…デ…ん…お…て!」


んっ…何か随分と懐かしい夢を見ていた気がする…


なのに記憶がまだ靄のかかった様に晴れないな…


あと少しで全て分かりそうなのに…


あぁ、そういえば侵攻まで後2日を切ったのか

そうしたら俺はあの後寝ちゃった見たいだな。


「カ…デ……カナデくん!」


ソラ姉の声がする、どうやら起きた方が良さそうだな…


「…ふぁぁ……おはようソラ姉。どうかしたの?…」


「ご飯の時間遅れたら食べられないよ?」


そうだった、俺は今ギルドからそう遠くない宿に…つまり【猫丼亭】に泊まっていたのだ。

あ、その説明じゃ分からなかったか。


まぁいい。と言うわけでまた嬉しくない猫耳ドイノフさん41歳(雄)のお世話になっているのだ。


ご飯は2食ついていてたったの3200エル。

取り敢えず昨日は日もくれていたので、直ぐに銀貨3枚銅貨2枚の2日分で6400エルを払ってソラ姉を部屋に残して急いで冒険者ギルドへ向かったのだ。


一応俺の中ではまだソラ姉は戦わせられないからこの件は無関係となるわけであり、万が一俺が戦場で死んで味方に不利になることがあったとしても大っぴらに責められることは無いだろう。


今日は39日目の朝か、憎らしい程に空は晴れ渡り地上に青空を晒している。


そして俺はご飯をギリギリのタイミングてありつくことに成功し、ソラ姉ともしゃもしゃと食べた後、部屋で1人考えにふけっていた。


ソラ姉は街の中の簡単な依頼を1つでも受けて皆の手伝いをしたいらしい。


良いことだな、そういえばまだ

【ピアロマイアスの麗槍】やエイラに会っていないな、戦いに出てしまう前に1回声をかけておくことにしよう。


俺は宿を降りてこんな事態なのにドイノフさんの有り余る商売根性を心の中で賞賛しながら昨日の明け方に脳裏に浮かんだ記憶の様な草原の景色と、そこに写る7人の人者を思い出していた。


あの黒い剣を持った男…あれは…俺だった。


見間違えるはずがない。

多少雰囲気や服装の細部に差異があったものの、あの雰囲気は確かに俺本人であった。


そして俺と思われる黒い剣を持った男の横に並んでいた様々な種族の人たち、

それは鎧で分からない者も居たが、ドワーフ、エルフ、人間、獣人族であったりと様々だった。


それに脳裏に写った風景は俺の靄のかかった記憶の手がかりになるのだろう。


なぜかあの懐かしさを感じた後だとそうとしか思えない…


【リ・アバター】の解説を見ただけでこうなったのだ。


取得することが出来れば全て分かる可能性がある。


Pointは気長に貯めて行こう。

ウォルテッドに攻めて来る魔物を倒せば嫌でも溜まるだろうがな。


…そして最後に1つだけ、何故か強く耳に残った単語があった。



七光(ナナコウ)



七光とは一体?



考えていてもあの時の様に記憶がフラッシュバックするような現象は起きなかった。


俺はそこで思考を切り上げ、昨日急いでいて会えなかったエイラと、戦闘に備えて何かしら準備をしているだろうロゼッタさん達を探しに冒険者ギルトに向う。

宿から出て数分、直ぐにギルドには着く事が出来たものの中は剣や槍を携えた冒険者がちらほら見える程度だった。


やはり攻めてくる日取りがわかっておればある程度精神的負担を軽減する事ができる人も増えてくるだろうしな。

あわててギルドには駆けつける必要はない。

人々は皆、随分と追い詰められた表情をしている。

それに【ピアロマイアスの麗槍】は今ギルドには居ないみたいだな、こればかりはタイミングが悪かったとしか言いようがない。


そして街全体の張り詰めた雰囲気はいつも笑顔の受付嬢達にも伝播しているようで、

いつも笑顔のエイラでさえ表情に僅かな影がさしていた。


「やぁ、久しぶり。エイラ」


「…ふぇ?…カ、カナデさん…?」


「あぁ、加勢しに来たよ。ギルドの職員は戦いが始まったら前線に物資を運ばなきゃ行けないんだよな…大丈夫か?」


「は、はぃ。冒険者の皆さんも戦うんですから、私も役に立ちたいんですっ!」


冒険者ギルドの職員は有事の際、つまり拠点の街が魔物に攻められた時に

出撃する冒険者の治療をしたりする為、前線に近い場所で待機する事が多い。


要するにギルドの職員は相当に危険な場所に置かれてしまうのだ

もちろんギルドの職員はある程度の戦闘能力をもつ者が多い。


現にエイラの種族、兎人族(ワーラビット)は見た目とは裏腹に強靭な脚力を持ち、一般人でも3mは跳躍するらしい。


だが、戦い慣れていないのは事実であり、危険なことには違いない


「でも…怖いです。」


「死にたくない?」


「私は死にたく無いです、でも街の友達とか冒険者の人達には…もっと死んで欲しくないです!!」


自分が死んでも良いから、なんて言うやつよりは断然いいな。


俺は目の前で溢れ出す涙を拭うエイラを見て守りたいと強く思った。


「大丈夫。俺が守るから」


「…ふぇ?…でも、魔物があんなにいっぱい…」


「問題ない、涙の原因を止めて来るだけだしな。」


「カ、カナデさんには1番しんで欲しくないんですからね!!…あっ…」


俺はエイラの頭を軽く撫で落ち着くのを待ってから、冒険者ギルドを後にした。


魔物の侵攻まであと2日。





【SideOut】



半人族(デミヒューマン)[lv:54]』 :【剣士(ソードマン)】/【戦舞技師ダンズ・ワー・トリッグ】/【全属性大魔術師オール・アトリビュート・アークウィザード】/【虐殺者(スローター)


雪埜(ユキノ) (カナデ)


必要経験値/規定経験値:565/5500



能力(スキル):【戦舞技(センブギ)補正:強】【鈍感:大】

【剣豪:Ⅰ】【体力補正:強】【筋力補正:中】

解析の眼(アナライズ・アイズ)】【弱点解析ウィクネス・アナライズ】【縛りの咆哮(バインド・ロア)

竜種の咆哮(ドラゴ・ロア)

野生の本能ワイルド・インセィティクト】【下克上】

隠密(スパイ)】【暗視(ナイトヴィジョン)】【魅了(チャーム)

【砂塵の爪甲】【思考加速(アクセラブレイン)

【並列思考】

瞬間移動(ワープ)】【予測の眼(ヴィジョン)】【血分体(ブラッド)】【下位従属】

超回復(ハイ・リカバリ)】【粘糸精製】【識字】

色素調整ピグメント・アジャストメント】【剥ぎ取り補正:弱】

異次元収納(アイテムボックス)】【毒耐性:弱】【麻痺耐性:弱】

【雷耐性:弱】【炎耐性:弱】【氷耐性:弱】

【武器作成:Ⅰ】【格闘術補正:弱】

【幸運補正:弱】【虐殺者(スローター)

----------【祖なる魔導師:Ⅰ】----------

全属性魔法オール・アトリビュート・マジック

【魔法威力補正:強】【魔法命中率:強】

【魔法操作:強】【魔力量増大:強】

【魔力探知:強】【消費魔力半減】

---------------------------------------


残存Point:[32]


所持金:[1103万エル]


称号:【魂を鎮める者(クロムソウル)

英雄の国の者カントリーキングダムパーソン






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