137話≫〔修正版〕
よろしくお願いします。
走って来たソラ姉を視認した瞬間にエミリーと違和感なく別れた後、すれ違いで来たソラ姉に滑り込みで土下座して宿までの帰り道で今日一日の状況説明と理不尽な謝罪を迫られ、訳もわからなく全て自白した。
そして今度王都に戻った時は俺がソラ姉をエスコートするという言質まで取られ宿につく頃には干からびていたのだが、何故だろう。
俺って不憫?
そして宿を引き払い夕日を背に王都を飛び立つ事にする。
出来るだけ早くウォルテッドに着けばその分対応もしっかり出来るという物だからな。
部屋にあった荷物を全てまとめて
【異次元収納】に放り込み、そして城壁の外にでてから概念魔法を使い人が視認出来ないスピードで空に躍り出る。
「いくよ、ソラ姉」
「は、はい…」
概念魔法
「ー【我一陣の疾風を纏う】ー」
「わっ…相変わらず凄いね、この…魔法…だっけ?」
「昔の魔法って事になるかな。」
夕焼けに染まる空の向こうに見える闇の地帯に向けて速度を上げて行く。
数十分すればウォルテッドには付くだろう。
因みに他の都市から援軍が来る事はない。
ドヴォルザーク王も随分と悔しそうな顔をしていたが、帝国との国境付近である城塞都市ガルテンの復旧をいち早く済まさねばならず、大量の兵を送り込んで居るらしい。
今は帝国の動きも随分と怪しくなり、
小競り合いも増えているようなので国境付近に兵を集めるのを渋るわけには行かないらしく、仕方のない事だろう。
そろそろ戦争になりそうな感じもするが、そうならないのは戦争中に魔物から横っ腹に食いつかれるのはどちらの国も怖いのだろう。
なんせ王国と帝国と【深淵の密林】は面して居るのだから…
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…おかしい……
ウォルテッドの先に見える【深淵の密林】が不自然に揺れている。
それに【迷いの大森林】の手前辺りから強力な魔力の反応が確認出来た。
まずい…迷いの大森林の奥から…何かが来てる…
あれに気がついているのは俺だけかもしれない。
俺はアイオロスの出力を最大にして既に日の落ちた闇空を駆け抜けた。
そして数分後、俺は門から久しぶりのウォルテッドに帰還した。
「面白い形の城壁ですね…」
「高い城壁の方が森に面していて魔物の侵入を防ぎやすくしているんだってさ」
「昔の人の知恵ってやつですね…」
前と違うのは俺の隣にソラ姉が居るのと、
荷物を持ち辺りを走り回る冒険者や王国の兵士が多い事だろう。
街の人達は…どうやら魔力の反応からして半分ほどの人間は家の中に閉じこもって居るようだ
街の雰囲気は…悪いな随分と。
「なんか…この街はピリピリしてますね…」
「あぁ、まるで戦争みたいだ。取り敢えずは冒険者ギルドにいこう。」
「…は、はいっ…」
俺とソラ姉は取り敢えず冒険者ギルドに向かう事にした。
カナデの口にした比喩は決して間違ってはいない。
これから始まるのは人と魔物の戦争の…2回戦目なのだから。
ガチャッ!!バタン!!
「ダイン!!居るかっ!!」
俺はソラ姉をギルドの一階に待機させて1人、5階のギルドマスタールームに駆け込んだ。
そこにはやはりというべきか、久しぶりのギルドマスターダインが書類を手に執務机に座っていた。
白髪で歳は50程度、スーツを着ているが分厚い胸筋を隠し切る事が出来ず相当鍛えている事が伺え、
髭も綺麗に整えられていて清潔感があり表情は柔らかくとても好印象を抱かせるが俺はこいつの人を食ったような性格を知っている
「ワシは今森から出てきて居る魔物の大軍の事で手いっぱいなのだ。話は手短にせい。」
ダインは俺が何をしにきたのか分かってあえてこういう言い方をしている
まぁ、ダインが頼んだからではなく、俺が自分から手を貸したという口実でも欲しいんだろう。
だが今回は急いでいられない、俺は王に渡された依頼書をダインに見せた
「うるせえ。依頼だよ。」
「なんじゃ、損したわい。」
「で、戦えるやつは何人居るんだ?」
ダインも俺の雰囲気の変わりを目ざとく察知し本題につうる
出来れば最初からそうして欲しいものだが…
「都市の防衛に使える兵は全軍動員しても2000。
冒険者は60人って言った所かの」
冒険者は想像以上に少ないな…
兵士は予想して居たのと大して変わらないか
「冒険者が少ない…と思っているようじゃの、ご名答じゃ先程エスナに向かった偵察の冒険者の報告によると魔物が森に溢れたのと同時に冒険者の亡骸が森からはじき出された様に転がっていたようじゃ。
大方エスナから出て来た順に待ち構えている魔物に殺されて見せしめに放り投げておるんじゃろう。被害は確認出来ているだけでも15人。
効果は抜群じゃ、20人程の冒険者が逃げ出したわい。本来集まるはずだった100人の冒険者のうち20人が逃亡、推定15人が魔物に袋叩きで殺害…」
「カマさんに【オルペイの竪琴】、【ピアロマイアスの麗盾】は無事か?」
共に過ごした仲間の安否を聞かずにはいれなかった
「なんじゃそんな事か、心配するでない、カマバールは依頼で不在、帰って来るのは2日後。
【オルペイの竪琴】は今頃衛星都市アマナドじゃろう。
【ピアロマイアスの麗盾】は60人のメンバーの中に入っておる」
運が良いな。だがロゼッタさん達には死んで欲しく無いな…
贔屓しているみたいだが、関わった人を見捨てる事ができる程達観していない。
「どうする?討って出るにしても守りに入るとしてもこの数じゃ勝ち目なんてないぞ?森に居た魔力の反応は1万なんてもんじゃない、確実に2万はいた。」
「分かっておる、本当にマズくなったら市民から志願兵も使うつもりだ。今のところ500人程度集まっておる。それに今から逃げても追っ手に殺されるのは目に見えておるしな。実際に逃げようとした人々が都市と王都の間の道で殺されているのが見つかった位じゃ、あやつら魔物はワシらを全員殺すつもりじゃな。ワッハッハ…」
心なしかダインも調子が悪そうだ。
「もちろん俺も加勢する。ガルテンの侵攻も止めてきたんだ、ここも死守しなければな…」
「まて、カナデ。ガルテンも魔物に責められたのか?」
「あぁ、魔物の侵攻はガルテンとウォルテッドが表的にされていた。ここをなんとかすれば王国の被害は食い止められる筈だ」
No:70【魔物の大侵攻】を食い止めたら後は…
No:71【魔物の王】か、何処にいるのかさっぱりだな
そいつの配下なりを捉えて拷問位しか思い浮かばん。
まぁ、取り敢えずはこの先に起こる侵攻をなんとかして切り抜けないとな
ガルテンの時は魔物を束ねていた
堕零竜人を倒した後は魔物の統率が鈍くなったように感じられた。
だから俺は魔物を減らしつつ前進して行き魔物を束ねている頭を潰す。
楽には行かないだろうがやるしかないな…
「それでじゃ。魔物側から届いた文の様なものがあるんじゃ…みるか?」
文?知能のある魔物からのメッセージか?
俺が頷くとダインは一言、「ついてこい」とだけ言い後をついていくとギルドの裏庭に出た。
裏庭には一つだけ人の大きさの袋が置かれており、袋の所々には地が滲んでいた。
「これがメッセージじゃ」
そう言っておもむろに袋から出した腕を握り、一息に引きずりだした
ズルズルズル…
絶望に塗れた表情、
白目を向いて泡を吹き、
歯は一本も見当たらない、
腕は片方しか無く足も片方しか無い
女性だったのだろう、胸は両方千切られて無くなっていて
腹部は膨れ白濁した液体が陰部から垂れている
生前は綺麗だったであろう女性の死体
「この女性はウチの冒険者じゃ。15人の死体の中で3人のいた女冒険者は全て人型の魔物に犯されて死んでいた。そしてこの1人の女冒険者の背中…」
そう言ってダインは女性の死体をひっくり返してうつ伏せにした
「これじゃ。『3日後、お前達人間を1人残らず殺す。』今日の朝に見つけられたこのメッセージ、そろそろ日が変わる。あと2日じゃ」
【SideOut】
『半人族[lv:54]』 :【剣士】/【戦舞技師】/【全属性大魔術師】/【虐殺者】
雪埜 奏
必要経験値/規定経験値:565/5500
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:大】
【剣豪:Ⅰ】【体力補正:強】【筋力補正:中】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【竜種の咆哮】
【野生の本能】【下克上】
【隠密】【暗視】【魅了】
【砂塵の爪甲】【思考加速】
【並列思考】【瞬間移動】【予測の眼】
【血分体】【下位従属】
【超回復】【粘糸精製】【識字】【色素調整】
【剥ぎ取り補正:弱】【異次元収納】
【毒耐性:弱】【麻痺耐性:弱】
【雷耐性:弱】【炎耐性:弱】【氷耐性:弱】
【武器作成:Ⅰ】【格闘術補正:弱】
【幸運補正:弱】【虐殺者】
----------【祖なる魔導師:Ⅰ】----------
【全属性魔法】
【魔法威力補正:強】【魔法命中率:強】
【魔法操作:強】【魔力量増大:強】
【魔力探知:強】【消費魔力半減】
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残存Point:[32]
所持金:[1103万エル]
称号:【魂を鎮める者】
【英雄の国の者】