133話≫〔修正版〕
よろしくお願いします
王との謁見、俺は謁見の間に続く扉をくぐった。
開ける視界、目にはいる情報量が多くおもわず目をすぼめてしまう。
俺のポケットにはトーマス・ドゥ・ヴァルツァー辺境伯にもらった代理承認紋章が入っている。
代理承認紋章は王族に次ぐ程の影響力を持つ、この場合城塞都市の防衛を任されているヴァルツァー辺境伯だが、そういった人物のみ発行できる身分証明書な訳だ。
この人は私が信用しているからお前も信用しろよ?みたいな。
流石に王族に強制権は無いが無視する事も出来ないだろう。
俺の身分が保証されている、それだけで安心できるのも確かだ。
なんせ王国がどう言った国なのかも分からないからな。
王が良くても貴族が腐っているかもしれない
暗殺者を手配した貴族の様に…
まぁ、何かあれば概念魔法のアイオロスで王城の天井を破壊して飛び立ち他国に逃げる事も可能だ。
気楽にいくとしよう。
謁見の間に入ると見覚えのある顔がちらほらと…
あぁ、ダストファングバードと戦った戦場に居た人達か…
お、王子もいるしアルメリア様も居る…
(ん?って!?エミリーじゃないか!?)
と内心はいろいろ考えて居るのだが特に表情には出さず、知り合いがいますねぇ程度の反応にとどめておく。
多分エミリーは俺との接触があったからこの場にいるのだろう。
エミリーの顔色か一気に良くなったのは見ない事にした。
俺は少し歩き、謁見の間の中央辺りまで来てから足を止める。
冒険者は国に縛られる事は無い為、頭を垂れるか垂れないかは自由なのだ、まぁ殆どの冒険者は頭を垂れるらしいが。
俺は服従する気は無いので特に関係ない。
「冒険者カナデよ、噂はかねがね聞いておる」
王らしき人間が口を開いた。
(ん、噂?そんなの……あ…黒髪の英雄の事かな?)
「噂ですか…私の知らぬ間に随分と噂、とやらが1人歩きした様で大変外に出づらいですね」
まぁここで調子乗っても良い事なさそうだし、適当に答えるか…
「1人歩きなぞ言わんで良い、ありのままの事であろう?」
む、ペースを握られるのは好きじゃないな…
でも魔物の侵攻とか話してペースつかんでも情報の出処を疑われるしな。
まぁここは適当にバイプ作っとけばいいか。
「わしはお主に感謝しておる。だが、ダストファングバードを追い詰めていたのに、手柄を横取りされた我が国としてはお主の実力が分からんのだ…」
「ちょ!父上!」
王はあやしげに笑った。
王子はどうやら聞いていない話の様だな。
この王、アドリブ使いやがったか。
これには俺の口角もつりあがった。
おもしろい、実力を示せって事か。
「我が国の誇る八の剣の1人と戦ってはくれぬか?」
俺は笑を抑えるのが必死だった。
ハハハ…なんて思い通りなんだろう…
偶然にしては出来すぎている。
俺はそこである事を思い出した
もしかして…これは幸運の効果なのか?
そう思えば辻褄が合うような気もする。
一見歪で強引に見えるこの会話の流れも、
パッシブの【幸運補正:弱】とが歪めていたのだ。
ステータスを開いて見れは【幸運補正:弱】が点滅していた。
この【幸運補正:弱】…弱なのに凄まじく恐ろしい。
強になったら絶対にヤバイだろう。
だてにゲームの世界で幸運を謳っている訳ではないという事か。
「良いでしょう。」
俺はこの世界に来てから最上級の笑みでそう返した。
その時何故か熱い溜息か何処かから漏れたが誰か熱でもあるのだろうか。
「では、地下修練場に移動するぞ。【序列四位】を呼べ」
王はそれだけを言い残し、去って行った。
序列四位…
面白い。
あれ…俺はいつから戦闘狂になったんだ?
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彼女、エリザベス・フレニドールは全身を駆け巡る嫌な予感に震え上がった。
瞬きの間に懐に入られ剣を振られる。
(くっ…反応出来ないっ!?)
「お前は…何者だ…」
「…俺は別に何者でもないよ。カナデユキノ、ただの冒険者。……」
なんだ…この男は…
彼女歓喜した。
自分と同等、もしくはそれ以上の実力を持つこの男に。
(この男しか居ないッ!)
久しぶりに下腹部に集まる熱を感じた彼女は王や私の同僚が見て居るのすら忘れて剣を握りしめた。
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トリステイン王国
rotWeiß城
地下修練場
そこには今、謁見の間に居た豪華なメンバーが勢ぞろいしていた。
地下修練場はコロッセオの様な円の形状をしており、観客席が段々になっている。
そこの最前列に腰をかけた王はカナデの表情や言動、
それに動きを見てやや引きつった頬を自らの指でほぐしていた。
(なんじゃあの存在感は…ほ、本当に英雄なのか…だが、この戦いを見れば自ずと答えが見えてくる筈)
「父上!」
思考の海に沈んでいたドヴォルザーク王は突然かかった声にびくりとし、八つ当たり気味に声を荒げた。
「なんじゃ!いきなり声をかけるでない…っとアイゼントか…すまぬ、少し考え事をしておった。」
親バカのドヴォルザーク王は声をかけて来た人物がアイゼントだと知るや否や表情を崩し父の顔となった。
「父上!何故カナデ殿を戦わせるのですか?」
「む、そういえば何故か?わしも耄碌したかの…まぁ実力を見るのは悪い事では無い。
むしろダストファングバードとの戦闘でのイカサマがない事が証明されるだろう?」
どうやらわしも耄碌したらしい。
ダストファングバードを倒した冒険者とはいえいきなり戦いをふっかけるほど交戦的な性格ではなかったはずなのだが…
「そ、それはそうですが…」
「父上…カナデは勝てるのでしょうか?」
アイゼントが納得したと同時、逆の方から鈴の様に澄んだ声が聞こえてくる。
「おぉ、アルメリアか。まだ分からん…この戦いでどう見るか、だな。
本物だったらどう詫びれば良いのやら」
王妃によく似てたいそうな美人に育ったこの娘をわしは誇りに思っておる。
凛々しく聡明。だがたまに歳相応な悪戯心も持つ可愛らしい我が娘。
それにしても本当に英雄であったなら戦いをふっかけた時点でわしは国民や英雄に殺されても文句は言えぬ立場であるしな。
「カナデはそんな事はしませんよ、」
「随分と信頼しておるのじゃな。」
「なっ!?な何を言ってるのでしょう父上…?」
その笑みは怖いぞアルメリアよ…
ま、まぁ、全てはこの戦いがおわってからだ。
ドヴォルザーク王はちょっと不安になりながらも自分を納得させた。
【SideOut】
『半人族[lv:54]』 :【剣士】/【戦舞技師】/【全属性大魔術師】/【虐殺者】
雪埜 奏
必要経験値/規定経験値:265/5500
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:大】
【剣豪:Ⅰ】【体力補正:強】【筋力補正:中】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【竜種の咆哮】
【野生の本能】【下克上】
【隠密】【暗視】【魅了】
【砂塵の爪甲】【思考加速】
【並列思考】【瞬間移動】【予測の眼】
【血分体】【下位従属】
【超回復】【粘糸精製】【識字】【色素調整】
【剥ぎ取り補正:弱】【異次元収納】
【毒耐性:弱】【麻痺耐性:弱】
【雷耐性:弱】【炎耐性:弱】【氷耐性:弱】
【武器作成:Ⅰ】【格闘術補正:弱】
【幸運補正:弱】【虐殺者】
----------【祖なる魔導師:Ⅰ】----------
【全属性魔法】
【魔法威力補正:強】【魔法命中率:強】
【魔法操作:強】【魔力量増大:強】
【魔力探知:強】【消費魔力半減】
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残存Point:[32]
所持金:[1103万1千9百エル]
称号:【魂を鎮める者】
【英雄の国の者】
『半人族[lv:4]』 :【短剣使い】
雪埜 空葉
必要経験値/規定経験値:175/500
能力:
【戦舞技補正.強】
称号:なし