126話≫〔修正版〕
よろしくお願いします。
場所は変わって冒険者ギルドアマナド支部。
白い建物はまるでローマの遺跡の様に綺麗な建物で、
その建物が1つの芸術品として評価されてもおかしくはない。
実はこの衛生都市アマナドは上空に浮かぶ
【巨人の階段】の神秘さに合わせた建物が数多く存在する。
街の中心にある領主の邸宅の近くに存在する転移門。
通称【ゲート】の付近は、まるで物語に出てくる神界の様な神秘さに圧倒されることであろう。
よって冒険者ギルドはその街の特色に合わせた建物を建てた。
だからこんなローマの神殿の遺跡の様な建物になってしまったらしい。
これはギルドに併設された酒場に居た酔った冒険者のおっちゃんが聞いてもいないのに話してくれた有力な情報である。
だけど最後にソラ姉にセクハラしようとしたのは頂けないな。
ソラ姉に気がつかれない様に手に電気を纏わせ、
バチッ……
ソラ姉のお尻に手を伸ばしていたおっちゃんを気絶させてから受付に向かう。
どうやら昼から呑んでいる冒険者はあのおっちゃんだけだったみたいだ。
酒場は閑散としている為おっさんが1人気絶しようと気にかける者はいない。
いきなり沈黙し、話さなくなったおっちゃんを不思議がったのか首をかしげているソラ姉を連れて5つある受付のうちの1つに向かい足を進めた。
「ようこそっ!?冒険者ギルドアマナド支部へ!ご用件はなんでしょうか?」
黄色い髪をもつ人族の女性が元気そうに声を出す。
最初、目があった瞬間は何故か驚かれた様だがこればっかりは仕方が無い。
珍しさでは誰にも負けないつもりなのだからな。
まぁ隣には俺と同じく珍しいソラ姉も居るんだけどね。
「今日は隣に居る連れの女性を冒険者登録させたいんだけど。」
「あ、はい!…で、ですが…」
ん?何か不都合でもあるのか?…
「申し訳ありません。そちらの女性は奴隷ですか?そうなると所有者を確認する証明書か、
【隷属の首輪】の情報を読み取る必要がありますが…」
む、まずいなこれは。
ソラ姉は俺の元に飛ばされる前には豚の貴族に買われていたと言っていた。
もちろん犯される前に飛ばされたらしい←ここ重要。
だが、最後のソラ姉の証言ではどうやらその貴族は捕まるか何かした様だ。
Aランク冒険者のカマさんが成敗したのだ、捕まるのは必然だろう。
そうなるとソラ姉の首輪にも何らかの処置が取られて居る可能性が考慮される。
主従関係が切れているかもしれないと言う事だ。
俺は【隷属の首輪】のステータスをもう一度解析した。
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【隷属の首輪】
[解説]
テイムアイテム【呪縛の鎖】の模造品であり改良品。
所有主=無し
【思考制御:弱】
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どうやら既に所有主は空欄になっており、
外すことも可能なようだ。
受付嬢に【隷属の首輪】の情報を読み取らせ、所有者が居ない事を確認させる。
その時に首を傾げられたが、
放任主義の主だと勝手に認識しててくれ。
姉を束縛するのもなんかアレだしイケない扉見えて来そうだから…
アマナドを出たら取ってしまおう。
俺はさっさとソラの冒険者登録を済ませて後日ギルドカードを取りにくる事にした。
衛生都市アマナドは全体的な雰囲気は白い建物が多く、都市全体が白く見える。
領主の邸宅を中心として、
俺とソラ姉が入ってきた西の方向は住宅街が多い住宅街。
北東側は夜こそ栄える色街。
北側と南側には商業地区。
そして邸宅に近い南側の広場には迷宮の入り口の【ゲート】があるが、
出入りが管理されているため安全面は保証されている。
東側には王都側から来た人の身体を休める宿泊街があり、
計画的に建設された事が伺えるし、
一段高い所に位置する領主の邸宅の付近から見渡す街の景観は素晴らしいの一言らしい。
by昼から酒場で酒呑んでた冒険者のおっちゃん
ちなみに冒険者ギルドは西寄りの南にあったのでそこを抜けて東側にある宿泊街に向かう。
「あ、ソラ姉はさ、何で敬語なの?」
俺は宿泊街へ行く道中、
前の世界から気になっていた事を聞いてみた。
何故か会って間もない時から敬語で話しかけられていたのだ。
しかも義理の姉なのにくん付けはちょっと疎外感があるというものだ。
仮にも姉弟なのだ、仲良くしたいと思うのは俺だけだろうか。
「え、…ぃ、ダメです…あ!嫌って訳じゃないですからねっ!!」
そう早口で言ったソラ姉は頬を染め俯いてしまった。
声をかけても僅かな返事しか帰ってこない。
結局会話は成り立たなかった。
そしてなにも理解できなかった…
俺が女性を理解出来るのは遠い先の事になりそうだな。
そうして東側の宿泊街に着くと、
所々で看板娘が宿の前に立って道行く人に声をかけていた。
もちろん俺にも声がかかるのは必然だ。
「あ、そこのお兄さん!うちに泊まって行ってください!!」
「ん?良いけど値段とか聞いても良いかい?」
俺に声をかけて来た勧誘の子は鼻のそばかすが可愛らしく、
赤っぽいオレンジの髪を三つ編みにして前に流している15〜6歳の少女だった。
エプロンをしているが胸の大きさは隠せておらず綺麗な形の尻もくびれも、無駄にエロ…
ぐりっ…
「ふん…」
くぉぉぉぉわき腹いてぇぇ!!
何故かソラ姉に脇腹を思いっきりつねられるというハプニングがあったがなんとか肉感的な少女が看板娘の宿の値段を聞き、
手頃なので止まる事にした。
前を先導する少女の尻の揺れ具合に俺の下腹部のアル○ゲドンがア○マゲドンしかけたのは男故の悲しいサガであろう。
こんど余ったポイントで何かそう言うスキルを取るのも良いかもしれない。
いや、まず目先の障害を取り払わなければ無理だけどね。
そんなこんなで宿に着いた。
宿の名前は【アルトレフールの大盾】、
由来は神話の時代に岩神ガルシア様が
古の戦士に授けられたとされる万物を弾く巨大な岩の盾らしい。
まぁ、今の世の中からしたら【VRMMO】時代の武器って壊れ性能なんだろうな。
今の世の中の一般人の平均が2〜5レベル程度だもん、当たり前か。
でもなんか聞き覚えあるんだよなぁ。
【オルペイの竪琴】といい、
【ピアロマイアスの麗槍】といい、
【アルトレフールの大盾】といい。
【異世界wiki(笑)】での見覚えだけじゃない何か…
思い出せない…
とりあえず思考を切り上げ【アルトレフールの大盾】に2泊分、1万エルを支払い2階の部屋に案内され…って…
「なんでベットが1つしか無いの?」
「だって部屋は任せるってカナデくんが言ったから店主の叔父さんが気を聞かせておいたって言ってたじゃないですか…」
「もう1回下行って変えてもらう?」
「い、いや、大丈夫です。」
「じゃあ俺はそこの椅子で寝るからソラ姉はベッドで寝ていいよ。」
ソラ姉は精神的にも肉体的にも相当疲労しているだろう。
俺がベットを進めた時の返事も遅かったしやっぱり結構疲労が溜まっていたのだろう。
おれはそれを説明し、なんとか納得させることに成功した。
途中で下の階に居た看板娘のラウと言うらしい少女の声が部屋まで響いた。
『皆さーん!ご飯の時間ですよー!………』
どうやら晩御飯の時間らしく、
併設されている食堂でご飯が出るみたいだ。
食堂の席は50席ほどあり、
半分以上が既に埋まっていて、
酒を呑んだりして騒いでいた。
『ッ!?おいっ!抜け駆けはゆるさねぇ!』
『うるせぇ!おめえ奥さんいるじゃねぇか!』
『ラウちゃん!俺はエールね!』
『ぼぼぼぼくはラウちゃぼふぅぐぇ!』
『ハッハー抜け駆けは許さんパン屋の坊主!』
『ラウちゃん!次こっちこっち!』
聞き耳を立てるとどうやらみんなラウ目当てで着ている地元のおっさんや泊まりの冒険者達のようだ。
パン屋の坊主に至ってはもうドンマイとしか言いようがない。
酒に酔ったおっさん達に首根っこを掴まれてぶらぶらとしていた。
無駄に煩すぎて旅の人達も疲れが癒せない気もしたが、
良く見ると旅の服装らしき人達も混ざってラウちゃんの取り合いに混ざっていた。
この宿は効率を考えない馬鹿な人が多いらしい。
おれは取り敢えず泊まった人に出されるご飯が2人分出されて来たのでそれを頂く。
「お待たせしましたカナデお兄さん!これは豚頭人ステーキです。あとこっちがサラダとコーンを煮込んだスープ、あとはパンになります。」
目の前に出されたのは5つに聞かれ盛り付けられた性欲豚と名高い豚頭の魔物、オークのステーキらしい。
ラウにはさっき名前を聞かれたので答えたらいつの間にか後ろにお兄さんがついていた。
背後からおっさん達の視線が背中にぐさぐさとぶっささっているが気にしない。
気にしないとも。
香ばしい匂いがするが、
あの豚ヅラの魔物がこんな事になっていると思うと少し食欲が減退するのに…
肉を見た瞬間ヨダレが垂れる不思議現象が起きている。
ちなみにオークは前に食べたサハギンよりも少しだけ強いと言われるDランク級の魔物で、
このオークも近場の森で繁殖していたのを纏めて討伐した為安く仕入れる事が出来たらしい。
「よし、お腹減ったし食うか!」
「カナデくん!いただきます言わないとダメですよ」
あ、完全に忘れていた。
この世界の人達はいただきますの習慣はないのか食べる時は神に感謝の句を述べる人(協会の信者)以外は何も言わないで食べるのだ。
そういう俺も人と食べるうちに慣れてしまっていうのを忘れていた。
口に運んだフォークを下ろして前を向けば、
既にソラ姉はこっちをみながら両手を合わせていた。
「「いただきます。」」
周りの酒飲み達がなにしてるんだ?
どっかの信者だろ?
という会話をしているがもう聞こえない。
俺はステーキにかぶりつき、
溢れ出る肉汁や噛み締めた時に口に広がる味を堪能していた。
目の前のソラ姉も頬に手を当てうねうねしている。
顔は幸せそうだ、なんせ久しぶりのまともなご飯だったらしいからな。
コーンのスープにパンを浸して食べたり、
サラダを頬張ったり、
ステーキにかぶりついたり忙しく口を動かしていた俺達は完食後、
すばらしい幸せに浸っていた。
「ごちそうさま〜やばいオークの肉ハマったかもしれない。」
「うん、本当に美味しかったですね。カナデくん。」
俺とソラ姉はその後、店主から許可を取り、
うるさい食堂を後にして裏庭に設置された井戸から桶に水を汲んだ。
そして概念魔法で作り上げた土の浴槽に水を張り、
そこに火の魔法を軽く撃ち込んで沸かした。
概念魔法便利すぎる。
とくにカッコ付ける必要もない生活魔法?なのでこれは【クリエイトお風呂】と名付けてソラ姉を先に入らせる。
もちろん周囲は壁で覆った。
覗きなんてしないよ?
風呂の壁を超えたのと同時になんか越えてはいけない別の壁を越えてしまいそうだからね。
ソラ姉が風呂に入っている間に着ていた服を全て洗浄し、乾燥させておく。
そうしてソラ姉と入れ替わりに俺も何年ぶりかの風呂に入った。
最近はずっと身体の方も魔法で洗い流していたし、
前の世界では風呂にはいるのは体調の関係で入れない日々が殆ど、
あとは看護師さんに濡らしたタオルで吹かれていたくらいだ。
やっぱり風呂はいいなぁ
結局俺は心配になって見に来たソラ姉に小言を言われるまで湯船で感慨にふけっていたのだった。
××××××××××××××××××××××××××××××××××
今日は36日目の朝。
おはようここは寝室。
何故目が覚めたらソラ姉がベッドで俺の隣に寝ていた。
心当たりがありすぎるのでここは回想タイムといこう。
浴槽を土に返し魔法で軽く慣らした後、
部屋に帰ってきた俺とソラ姉。
そして寝る時間となり俺は椅子で船を漕ぎ始めた頃、
後ろのベッドで僅かに漏れた声を耳が捉えた。
この声を聞かなければ俺は今頃椅子で寝ていた筈だ。
『…一緒に寝たかったな』
僅かに視線をベッドひ向ければ寂しそうにこっちを見ているソラ姉。
もちろん部屋は真っ暗でソラ姉は俺のいるであろう方向を見ているだけなのだろう。
だが俺には暗視スキルのナイトヴィジョンがある。
俺はその言葉の意味を全ては理解できなかったが寂しがっている姉を放っておく事は出来なかったし、
いつも見舞いに来てくれたソラ姉には感謝していた。
ソラ姉の敬語は治らなかったが。
俺は椅子からゆっくりと腰を上げ、
ベットの横に腰をおろした。
『……え?』
「いっしょに寝たかったんでしょ?ソラ姉が寝るまで隣にいるよよ」
そう言うや否や、ソラ姉は勢いよく俺の背に抱きついて嗚咽を漏らしながら泣き始めた。
ソラ姉の泣いている所など見た事の無かった俺だが、
不思議とあせる事なく泣き止むまでじっとしていた。
『もう会えないと思ってた…
こんな奇跡ってあると思う?』
『最初ここに来た時は怖かった…
知らない人…分からない言葉、…売られそうになったし、買われて襲われそうになった…』
『でも、会えた、カナデくんに…ううっ……』
やがてなきやんで落ち着いたのかソラ姉はゆっくりとした寝息を立てて眠りに落ちていた。
その顔は過酷な環境に落とされて、
今まで溜まって来た物が落ちたかの様にスッキリとした表情だった。
俺という近い関係の人間に会えた事で、
今まで必死に張り詰めていた糸が切れてしまったんだろう。
俺はソラ姉をベッドに寝かし、頭を撫でていた。
そうして今に至る。
なんかずいぶんと飛んだが、
多分俺もあの後寝てしまい寝ているうちにソラ姉に抱きつかれたのだろう。
俺が両手をまっすぐに伸ばし棒の様に寝ていたのに対して、
ソラ姉は俺に手も足も巻きつけ頬や腹部に胸部、様々な部位をすりつけてくる。
やばい、いくら姉と言えど病気のせいであまり会う事のできない立場に居た相手、
これは…ッ!?
『襲えば新世界への扉が開くぜっ!!いただきますっ』
とはいかずに俺は自分の理性が吹き飛ぶ前に飛び起き、事なきを得た。
そして起きて来たソラ姉は昨日の事を思い出したのか、
顔を赤くして布団の中に再び消えて行った。
まぁいい。ギルドカードを受け取りに行くのは昼でもいいだろうし、
宿も今明日の朝までの金は支払い済みだ。
そう思い俺は新しい概念魔法の研究、もとい妄想にふけった。
【SideOut】
『半人族[lv:54]』 :【剣士】/【戦舞技師】/【全属性大魔術師】/【虐殺者】
雪埜 奏
必要経験値/規定経験値:0/5500
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:大】
【剣豪:Ⅰ】【体力補正:強】【筋力補正:中】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【竜種の咆哮】
【野生の本能】【下克上】
【隠密】【暗視】【魅了】
【砂塵の爪甲】【思考加速】
【並列思考】【瞬間移動】【予測の眼】
【血分体】【下位従属】
【超回復】【粘糸精製】【識字】
【色素調整】【剥ぎ取り補正:弱】
【異次元収納】
【毒耐性:弱】【麻痺耐性:弱】
【雷耐性:弱】【炎耐性:弱】【氷耐性:弱】
【武器作成:Ⅰ】【格闘術補正:弱】
【幸運補正:弱】【虐殺者】
----------【祖なる魔導師:Ⅰ】----------
【全属性魔法】
【魔法威力補正:強】【魔法命中率:強】
【魔法操作:強】【魔力量増大:強】
【魔力探知:強】【消費魔力半減】
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残存Point:[32]
所持金:[1105万2千1百エル]
称号:【魂を鎮める者】
【英雄の国の者】