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Soul-Move -新章開始-  作者: 癒柚 礼香
【魔物の侵攻】
107/145

124話≫〔修正版〕


よろしくお願いします。








【アイゼントSide】



突如アルゲンタビス部隊の隊員の寮に現れた人物。


(ちんまい)賢者、

リグザリオ・ホーリライト


数百年前の歴史書にちゃっかり名を連ねる

生ける伝説。


かつての戦乱の世に名を馳せた

戦乃巫女(イクサノミコ)


「その単語…妾にも心当たりがあるぞ?ふふふ


これは数百年振りに面白い物を聞いたのぉ。」



「では、良い話を聞かせてくれたお礼に少しだけ隠された昔話をしたあげようじゃないか…」


少女、もはや幼女だが、

そう呟いて、見かけと剥離した年月を感じさせる雰囲気を纏った幼い声でゆっくりと語り出した。




××××××××××××××××××××××××××××××××××




昔々、本当に遥か遠い昔。

カーディリアと言う大陸は人の楽園でした。


その時代の人の戦士達は皆賢者。


寿命を知らず、死ぬ事を知らない最強の戦士達。


戦士達は常に前線に立ち、魔物と戦っていた。


そして必ず勝利し、街を潤した。


全ての戦士はとどまる事の無い才能を持ち、

自在に能力や戦舞技、そして全ての魔法を従えていた。


時に強力な龍さえも倒し、

人を滅ぼさんと迫る100万の魔物を討ち倒した。


戦士達は強かった。


だがそれもやがて終わりが来る。


ある日、突然戦士達は倒れ、煙の様に消え、

その日を境に人の栄華は終わりを迎えた。


だが、戦士が只1人残った。


その戦士こそ、いずれ伝説となる最強の戦士ー


アマネ=イツキ


伝説の英雄




××××××××××××××××××××××××××××××××××




それは、我が知らない…

いや、この世界の人間の99%が知らないであろう物語だった。


「なんだその話は…?アマネ=イツキ様はその戦士なのか?英雄譚と噛み合わない所が多すぎるぞ?アマネ=イツキ様は神々に力を授けられたのであろう?」


我は聞いた事の無いその昔話を聞き、

胸がざわめくのを収めながらリグザリオ婆に聞いた。


アイラは無表情なのに耳と頬だけは真っ赤に染まり、火照っていた。


ナフタは興味深そうに耳を傾け、


エミリー・アーミアルはまるで子供の様にワクワクした表情で聞き入っていた。


「まぁ待て、王子よ…

そして本題じゃ。

その話に出てくる戦士達はいつも言葉にしていたそうな。

知らない地名…知らない国の名前…それに彼ら戦士は皆…英雄と並ぶ力量を持っていた…」


「…!?!?」


アイラは何かにたどり着いたのか、

火照った部分はさらに赤くなり、

腰を浮かして今にも立ち上がりそうになっていた。


まさか…な。


「皆はある程度察しが付いたようじゃな。

王子や近衛は兎も角、そこのお嬢ちゃんまで真実の一端を掴むとは…」


どうやらエミリー・アーミアルも何かしらの一端を掴んだようだ。


「…は、早く…続けて…」


珍しくアイラは身を乗り出しリグザリオ婆に詰め寄った。


どうやら彼女は英雄譚の話が大好きらしい。


「うひっ…落ち着けぃお主!無表情が怖いのじゃー!」


「…ごめん…」


「まぁいいじゃろ。英雄は仲間が消え去った後、こう言ったそうだ。『俺の故郷はもう帰れない場所にある』と…

そして妾は推測した!戦士達は皆、

英雄と同じ場所から来た人間であったと!」


「なっ!?何故そんな事が隠されているのだ!!」


我は憤慨した。


神話の時代に何があったのか…


神々の住んでいた楽園に冥界から溢れ出て来た魔物達が攻めてきたのでは無いのか!?


それを英雄が打ち倒したのでは無いのか!?


我は混乱した。

父上なら何か知っているかもしれぬ。


後日話を聞きにいくとするか。


幸いカナデが王都に着くであろう日にちまでは余裕もあるし兵にも先ほど命令を出している。


「まぁ、その黒髪黒目の男。もしかしたら生き残りかもしれぬな…じゃが今になって名が知れると言うのも可笑しな話じゃ、大方何処かで長らく眠ってでもおったか、英雄の世界からやってきたのか、過去から飛ばされてきたのじゃろう」


「過去ですか?そんな事が出来るのですか?」


エミリー・アーミアルの質問は確かに正しい。


英雄の世界と言うのも気になるが、

魔法に時間を操る物は無い。


それはスキルにも、魔道具にも確認されていない。


だが、リグザリオ婆はこう答えた。


「神話の時代には時や空間を操る事の出来る戦士が居たとされるくらいじゃ、1人くらい戦士が今に飛んできても妾からしたら可笑しくないわい。」


その言葉は自分が体験してきたかのような重みを持っていた。


だが我にその考えは同意できそうに無い…


空間を操る術なら相当貴重ではあるが、

魔道具に【転移の石板】があるし、

迷宮にもついている事が多い。


勿論個人の能力で使える事など無いだろうが…




時や空間を操る術、

歴史から抹消された神話の時代の戦士達とは一体何者なのだ…

何処から来たのだ?

何故人々を残し消えたのだ?

何故英雄だけが残った?





そして最後にリグザリオ婆はこう繋げた。


「これは英雄譚の隠された裏の話。

話半分に聞くのが1番よ…ふふふ…」


そして瞬きすれば既にそこにリグザリオ婆の姿は無く、


我等は顔を見合わせてお互いの額を伝う汗を見た。



【SideOut】









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