121話≫〔修正版〕
よろしくお願いします。
【雪埜空葉Side】
ゴトゴトと揺られて何日か経ったある日、
私は屈強なおじさん達に檻から出されて夢でみたのと同じ壁の中の街に入った。
中に入ると沢山のカラフルな人達が居て綺麗だったし、
街並みはまるで西洋の国に旅行に来たみたいに白いレンガ作りの家があったり、
赤い屋根の家があったりと綺麗な景色を見せてくれる。
私の手と足に枷が無くて前後に同じ人たちが居なければもっと楽しめたのだろう。
枷を嵌められた時に着ていたパジャマは見知らぬ女性に剥がれ、
ボロボロの貫頭衣のような服を着せられた。
(これって…昔にあった奴隷の人みたいだよね…)
多分今の私がそうなのだろうけど、
もしかしたら最初に会った豚さんが奴隷を売る人なんだろうか…
豚さんは今も私の前を屈強なおじさんに囲まれ悠々と進んでいる。
私達は門から街に入って10分程歩くと、
よく分からない路地裏に入りずっと進まされまたまたよく分からない建物に入れられ、
そこで首に妙な首輪を付けられて近くのボロボロの小屋の地下室に詰め込まれて不思議な世界で始めての夜を迎えた。
何日経ったか分かりませんが、地下室を出されてまた路地裏を歩かされ表通りに来ていた馬車の荷台にのせられます。
ゴトゴトとまた数日…私は大きなお城のある1番大きな街で降ろされて、
連れていかれたのは巨大な野外ステージの様な場所です。
半円形の広場を囲む様に段々と高くなる椅子に座るのは昔の貴族の様な服を来た沢山の豚さん、
たまに普通の人も混ざっていますが…
この豚さん達の誰かに私達は買われるのかも…
私は顔は普通だからきっと身体だけ慰み者にされる奴隷になるのだ…
そう思うと嫌になる。
やがて周囲に響く大きな声が聞こえた。
「נו באמת! היום כולם טוב! …אספת עבורנו. כולם, היום היא שפחה יפה להסתכל לאישה בחייך! בואו אני מאדם אחד! קתרין ההרפתקן המקורי ראשון!」
どうやら始まったみたいで1番端にいた女性が鎖を引かれ前に出てくる。
スタイルの良い官能的な女性が次々と買われて行く中で、遂に私の番になった。
「「「!?…שאני יפה!!」」」
なんだか周りが騒がしい。
貴族の居る段々を見上げると一際太った豚が手を上げ、
ブヒブヒと声を上げながら叫んでいた。
「האם 1000 מטבעות זהב!!!」
「「「!?!?!?!?」」」
どうやらかなりの高値で買い取られたようですね。
その後、次に呼ばれた狐耳の少女も私を買い取ったらしき太った豚に買い取られたみたいで、
私達2人は何やらよく分からない黄緑に光る輪っかの中に立たされました。
太った豚がなにか得意げな顔で言っていますが私には理解できません…
なにか高価なものなのかな?
みてて綺麗だし、そう思った直後、
黄緑に光る輪っかが腰あたりまで浮上して私達を光で包みました。
次の瞬間、私達は大きな部屋の中にいて…
え?なにこれ…私には付いていけない事が多くてもう頭が可笑しくなりそう…
その日は疲れていたのか、泥のように眠ってしまった。
私達は次の日、朝から太った豚の精処理に使われるようだ。
何故かってそれは私達2人がメイドの様な人達に身体を洗われる様だから。
メイドさん達の表情は哀れみと若干の安心…
多分自分達は手を出されることが無くなると思って居るのかもしない。
はぁ…私何すれば良いかも分からないし、あんな太った豚の相手なんて嫌だなあ。
それは狐耳の少女も同じ様で表情が無くなっていた。
そして風呂に入る為に服を脱ごうとした直後、
2階ー太った豚の貴族の寝室や執務室があるらしいーから大きな爆発音がした。
その後直ぐに太った豚が私達の方に脂汗を飛ばしながら脂肪を揺らしながら必死に走ってきた。
「חה חה חה חה חה חה חה ー!!!」
そして高笑いしたあと板に描かれた黄緑色に光る輪っかを懐から取り出した。
太った豚を追いかけてきたのか、
階段から飛び降りて来た男を見た瞬間、
「…ッ!?…ブフォッ!…けほっけほっ…」
私は思いっきり吹き出してしまった。
だって筋肉が凄いおじさんが、
ピンクと白のゴスロリ服を着ているんですよ?
笑って欲しいとしか思えません…
あ、あれかな?
コ、コスプリ?あ、!コスプレ!
そうに違いない。
ですがおかまの方では無いようで足取りや雰囲気は漢の中の漢のようにどっしりとしています。
そのゴスロリのおじさんは私の隣に来た太った豚が取り出した板を見た瞬間、
私の視界から消えました…
「……え?……」
今も聞こえた太った豚の驚いた言葉が初めて理解できました…
その直後に眼前に現れたゴスロリのおじさん。
どうやって移動したのですか!?と思いましたが、
直ぐに板に描かれた黄緑の輪っかと同じ模様の輪っかが地面から浮き上がり腰のあたりで光が強くなり包まれました。
太った豚は次の瞬間、
辛うじて視認できたゴスロリのおじさんの蹴りで横に吹き飛ばされましたが私は青空広がる草原に飛ばされて居ました。
だけど、
目の前に見えたのは…
「……カナ…デ…くん…?…」
「え?……そら?」
カナデくん。
私の義理の弟だったんです…
こればかりは神様に感謝ですぅぅぁっっ!?
どうやら私はカナデくんの上に重なって倒れてしまったみたいです…
恥ずかしくなり立ち上がろうと思ったけど、直ぐに考え直してそのままでいようとおもった。
驚いているであろうその顔は病室で見ることができなかった自然な表情のように見えた。
やっと会えた。
本当のカナデくんに…
【SideOut】