118話≫〔修正版〕
よろしくお願いします。
ガルテンの市場では今、
魔物の素材が出回り大変な事になっている。
あの【魔物の進行】から2日が経ち、
近くの都市や街に逃れた人々も途中で引き返しガルテンは再び賑わいを取り戻していた。
今日は34日目の朝。
俺はガルテンの北側の商業地区に位置する
【前線の華】と言う宿に泊まっている。
宿代は6000エル=銀貨6枚とある程度稼いでいる中堅冒険者からしたら平均的な値段であり、
7日分は先払いしてあるので後5日はゆっくりとできる。
それに、宿の1階に併設された酒場では1日2回のご飯も出る良心設定だ。
それに木の上での生活が慣れたとはいえ、
病室生活の時のような柔らかいベットも懐かしくいいモノだとひしひしと感じたな。
あの最上級固有魔法をぶっ放した後、
思ったよりも畏怖される事は無くむしろ戦場を共にくぐり抜けた仲間としての雰囲気が強く感じられた。
もちろん俺としてはとても嬉しかったし、(直ぐに酒が入ったからかもしれないが…)酒の勢いで根掘り葉掘り追求されたりもしたがのらりくらりとかわし聞いてきた奴から酔いつぶれさせていき、
曖昧にさせておくことに成功した。
そして今は装備の確認をし、
朝食を取り終わり冒険者ギルドに向かっている。
「冒険者ギルド城塞都市ガルテン支部へようこそ!ご用件は?」
金髪のショートボブのスレンダーな受付嬢が営業スマイルで対応してくれる所悪いが直ぐに本題を切り出す。
ダインのようなイヤーな奴かもしれないがこの街のギルドマスターの呼び出しである。
邪険にはできない。
その事を伝えると受付嬢のスレンダーな金髪女性は一瞬目を見開き驚いたように見えたが、
やはり受付嬢と言うべきか直ぐに立ち直しゆっくりと1つ頷いた。
「ギルドマスターからお話は伺っております。…カナデ様…ですよね?」
話を伺ってるってなんだ?まぁ…いいか。
「あ、はい。多分それで合ってます。」
そう言うと金髪美人の受付嬢はすっと立ち上がり受付に「御用が有りましたらお隣の受付にどうぞ。」と書かれた札を置いた。
「私は受付のトリーと申します。では、ギルドマスタールームまで案内致しますので付いてきてください。」
俺は人族と思われる彼女の豊満なお尻に視線が行くのを必死に堪えながら階段を上がっていった。
ー4階ギルドマスタールーム
ドントン…
「…どうぞ……」
その一言、それだけで妖艶さに頭が蕩けるのでは?
という程にエロい声が聞こえてくる。
トリーさんがドアを開け中に入るのについて行くとそこには既に数人の人が立っていた。
「良くいらっしゃいました。わたくしは冒険者ギルド城塞都市ガルテン支部ギルドマスター、フランフェ・クラハレースと言います。」
そういった部屋の中央の机に座る女性はまるで淫魔のような妖艶さを醸し出していた。
艶やかな紫の髪は片方の眼を隠しミステリアスな雰囲気を醸し出している。
アメジストの様な透き通った濡れた瞳、
すらっと通った鼻筋に雪の様な白い肌、
胸は胸元の開いた黒いドレスに辛うじて隠されているが、
動いたら零れそうになっていた。
お尻も大きすぎではなく、かと言って小さくもないちょうど良い大きさでひっきりなしに俺を誘惑してくる。
深いスリットの入ったドレスからはみ出す長い脚は扇情的な雰囲気をより一層引き立てて、彼女の存在に更なる華を添えていた。
だが、下品にはなってない。
相反する気品も持っている良くわからない人だつった。
「そして此方が、城塞都市ガルテンを収めて居る領主の、」
「トーマス・ドゥ・ヴァルツァーだ。宜しく頼む。」
口数は少ないが何処のガキともしれない俺に礼儀を持って接するのは貴族としては珍しいのではないだろうか…
そこら辺はかなり好印象だ。
トーマス・ドゥ・ヴァルツァーという男は殆ど黒に近い緑色の髪をオールバックに固めていて、
瞳も同じく黒に近い緑をしていた。
顔こそ40代後半くらいに見えるが肉体年齢は20代前半にも見えるくらいに引き締まっていて、
貴族らしい華美さを備えた服ごしにもそれは分かる。
この男は貴族の中でも武に精通した家系の人間である事が伺えた。
「よろしくお願いします。では…」
俺は僅かに頭を下げ、
話の本題に移るようにうながす。
「えぇ、そうですね、では…先日は有難うございました。」
「ええっ!?」
いきなり頭を下げてきたフランフェさんのモロ見える谷間に驚いた俺は変な声を上げてしまい動揺した。
いや、いきなりのお礼にも驚いたが…
どうやら俺にはまだ紳士な心が生きているようだ。
「…ちょっと…貴方がお礼を言う必要は…」
慌ててふフランフェさんの両肩を掴み上体を起き上がらせるが、
フランフェさんは何をしているの?と言った顔をしている。
うん。その顔もエロい。
「わたくし達はカナデ様に命を救われた様なものです。この街の冒険者や兵もそれは変わりません。カナデ様はここに来るまでに感謝されませんでしたか?」
確かに、酒場で呑んでいる時はまだ自分達が本当に魔物を倒せたのか実感の無い人だっていたし、
これが夢だと本当に勘違いしている人もいた。
だが、酒を呑んでいる内に本当に勝ったのだと気がつくと俺に感謝の言葉を言いながら泣き笑いし、
酒を呑んでいたのを思い出す。
俺が何かに思い当たったのを感じ取ったのかフランフェさんは言葉を続けた。
「ですのでわたくしとヴァルツァー辺境伯は相応の礼をしたいと思っております。」
そこでやっとヴァルツァー辺境伯という人も話にまざりはじめた。
「カナデくん、私からも礼を言わせてくれ。この度は我が領地を護ってくれた事、本当に感謝している。礼と言ってはなんだが、このカードを渡そう。」
そう言って渡されたのは1枚の金属製のカード、
一面ビッシリと文字が書かれていて、
裏を見るとトリステイン王国の紋章が刻まれていた。
「あの…これは?」
「それは代理承認紋章。王に近い者が信頼している人間に渡す事が出来て、
街から街、国から国の移動を楽にしてくれる。まぁ流石に敵対国はやめた方がいいがな。
それをもって王都で王と謁見してみるのもいいかもしれん」
これは嬉しい物をもらった。
辺境伯の認めた人物。
なれば必然的に信用たる人だという事になるのだろう。
王に近い者と言う事は悪事など出来ないだろうし、ヴァルツァー辺境伯はそう言うの嫌いそうな顔してるしな。
まぁ顔だけど…
「私からはせめてものお礼としてこの金額とギルドランクの更新を。」
そう言ってギルドカードと交換に渡された袋はずっしりと重く、
確認すると目が飛び出るほどの金額だった。
「い、いっせんまん!?!?」
「あ、少なかったでしょうか?」
ギルドマスターとは思えないほど捨てられた子犬の様に潤んだ瞳で見つめて来るフランフェさんだが、そんな事はない。
これが天然ならば見た目とのギャップが半端ない
「いや、逆です。こんなに貰っていいのですか?街の復興資金は?周辺の村や街からの難民は?」
そう。周辺の小さな街や村からは確実に難民がきているはずだ。
ここの城壁に守られていた方が安全だからな…
村に防壁なんてないだろうし。
だがフランフェさんに問いかけた質問に答えたのはヴァルツァー辺境伯だった。
「それについては問題ないぞ。今現在も足りない金は私の金庫を解放する事によって賄えている」
「え?…それで大丈夫なのか?」
「私の領民だ。民のために腹を痛めるのは苦痛で無い」
そう言って厳つい顔を緩めたヴァルツァー辺境伯の瞳に映る色は嘘をついている様な雰囲気では無かった。
この男はある程度は頼っても問題ないだろう。
ある程度は…
ギルドカードが帰ってきた時、
ランクの表示が大きくAに変わっていた。
これで俺も晴れてAランクの仲間入りだ。
不本意な事だが。
俺はこのランクの事を無闇矢鱈に発表し広めない事を約束させ、
そうして今世に5人目のAランク冒険者が誕生した。
【SideOut】
『半人族[lv:54]』 :【剣士】/【戦舞技師】/【全属性大魔術師】/【虐殺者】
雪埜 奏
必要経験値/規定経験値:0/5500
能力:【戦舞技補正:強】【鈍感:大】
【剣豪:Ⅰ】【体力補正:強】【筋力補正:中】
【解析の眼】【弱点解析】【縛りの咆哮】
【竜種の咆哮】【野生の本能】【下克上】
【隠密】【暗視】【魅了】
【砂塵の爪甲】【思考加速】
【並列思考】【瞬間移動】
【予測の眼】【血分体】【下位従属】
【超回復】【粘糸精製】【識字】【色素調整】
【剥ぎ取り補正:弱】【異次元収納】
【毒耐性:弱】【麻痺耐性:弱】
【雷耐性:弱】【炎耐性:弱】【氷耐性:弱】
【武器作成:Ⅰ】【格闘術補正:弱】
【幸運補正:弱】new!【虐殺者】
----------【祖なる魔導師:Ⅰ】----------
【全属性魔法】
【魔法威力補正:強】【魔法命中率:強】
【魔法操作:強】【魔力量増大:強】
【魔力探知:強】【消費魔力半減】
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残存Point:[32]
所持金:[1109万2千1百エル]
称号:【魂を鎮める者】
【英雄の国の者】