第八十三話 指令
「・・・どうやら、戻ってきたようね」
「ああ、少しずつわかってきた…」
俺は、木に横たわっていた。
それを上からキーンは見てしゃべっている。
俺は起き上がり
「さあ、行くか」
と、言った。
俺たちは、摩天楼に侵入を開始した。
都内は何人もの監視がある。
「偵察に蛇を向かわせるわ、見てて」
と、キーンは自分の手を空間をなぞるように一線ひく。
するとそこに黒き空間があき、そして無数の蛇が現れた。
「次元蛇穴は攻撃用と偵察用、二つあるわ、これは偵察用になる」
「つまり、偵察用で偵察するわけだな?」
「私はね?けれど、どうせあなたは止めても行くのでしょう?」
俺は、一歩踏み出す。
「ああ、勿論」
そして、都内へ侵入するため、城壁なるものをかけ上がる。
俺はグラムを二刀作り上げ、城壁の屋上に二つ投げつける。
「スピルク!」
俺は途中からスピルクで一気に風にのり、城壁の屋上までたどり着く。
次に、屋上にいた見張り二人にグラムを突き刺し、引き抜く。
グラムを突き刺されたものは生命力を失い、まず気を失って倒れる。
死ぬのではなく仮死状態になる。
致命的なダメージではないが、自由を奪うこれは相手にとって脅威だ。
「先を急ぐか」
俺は都内を見て、そう言い、見張りをあさってあるものを手に入れた。
「これは…なるほどな、だからわかったのか」
それは手紙だった。
いや、指令書というべきか?
そう、最初からスパイなんてチャチなもんじゃなかったんだ。
反吸血鬼派、吸血鬼派。
この二つは…同じ指導者のもの動いている。
読み間違いでなければそれであっている。
”指令 クリス=チャル=ミシェール”
(--- ??? ---)
「んっ…ぅ…」
ここは…どこ…?薄暗くて…寒い。
「とにかく前へ進まなくては…」
歩む道に、光が差し込み、そこを歩む。
ボクは今…どうしている?
「うっ…頭が…」
頭を打ったのか…痛い。
「おい!大丈夫か!シェイノ!」
その先に、男の人がいた。
…そこで目が覚めるように見開いた。
「おとう・・・さん・・・!?」
「何言ってんだよシェイノ、俺だよ」
そこにいたのは、シフォンだった。
…今見えたのは…。
「…ここは?」
「どうやら、ミシェールのようだ」
「ミシェール…?ヴィアーチェではないの?」
「ヴィアーチェは、ミシェールという国に名を変えたそうだ」
ミシェール…?
それは、お父さんの名のはず…どういう事?
お父さんは…生きているという事なの?
生死すらもわからなかったが・・・
「シフォン、ここの国、何かあるよね」
「間違いなく…な、ガリッツの裏切り…いや、元から敵だったあいつの襲撃から、
俺たちはここに運良く漂流したわけだが…ムサイの三人は無事だろうか?
ロシルも、無事だといいが…」
「4人とも、行方知らず…私たちは軍の結成と共に総崩れってわけね」
少なくとも、ロシルは生きていそう。
あの人は結構しぶとい。
問題はムサイ…。
彼女らがバラバラになってなきゃいいけれど・・・
心配だ…。