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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第一章 フォーミル
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第八話 シフォン

「お嬢、新たな敵を確認したおそらく…魔導師だ」


「魔導師…ですって…?」


「数年前にケリはついたんでしょ?あの戦いで」


そう、私は…もう、魔導師じゃない。

魔導師に追われることはない。そう思っていた。

シフォン・ノイスクランチ。

彼とは、私がまだ魔導師として、国のために働いていたときに知り合って、その時に三導師と呼ばれた内の一人が私だ。

魔導師とは、自らの魔力を使って生み出した武器を使って戦う者の事で、これは才が求められる。

そして、私にはその才能があった。

光龍ライトドラゴンという龍が、私の武器。

魔導師の武器は、生物であっても当てはまるが、それはかなりの実力者にのみだそうで、私は、それを平然とやってのけたわけだ。

魔導師として、私は生きて、そして…あの日がやってきた。

そう、それは…豪華客船、スカイウェーブ号での話。

魔導師の仕事は、国の密告者や犯罪者などを殺すこと。

重罪に当てはまるものが、これに該当する…。

そして、スカイウェーブ号に、ジャックを仕掛けたとされるメリュジーヌを確保または殺害することが、目標で、乗り込んだ私たちは、メリュジーヌの罠にはまり、スカイウェーブ号の乗客を生け捕りにされ、さらに私はメリュジーヌによって、魔力を失ってしまい、光龍を出せなくなった。

…だから、やめたのだ。

魔術師は、呪文を使うとき、魔力を使うが、呪文がその分負担してくれるために、私は少量の魔力を放てば、どうにかなる。

そのために、私は魔術師となったのだ。

…最終的には、私の師を殺す事になったわけだが…。


「私に何か用かしら?シフォン」


「ああ…国王、ラグナ・フォーミル王からの伝言だ、急ぎロシルを渡せ。と」


「!?どういうこと!?ロシルが何をしたというの!?」


魔導師は、密告者や犯罪者を裁くだけ…。

私は、魔導師の時に、それをしてきた。

その方針が変わったのかはわからない。

けれど…。


「あのロシルという少年…もしかすると、スパイかもしれない。それが理由だ」


「…そんな事、わかるわけ…」


「いいや、それをこれから確かめる、それだけだ…」


私は、フードコートを風になびかせて現れた男、シフォン・ノイスクランチの横を通ろうとする。

…すると、彼は両手を合わせて、そこから電撃を作り出して、そこから長い棒を生み出して、そしてそれを片手でつかんで、ブンッと回転して振るう。

それを、上半身を曲げて、手を地面につけて、かわす。

そして、そのまま重心を手において、私は後転して立ち上がり


「シフォン…どういうつもり…?」


と言った。

その時、シフォンは嫌悪の目で私を睨んでいた。

そして、大鎌の刃を私の喉元に向ける。


「悪いが、俺はお前にも用事があるんだよなぁ…ノエル、いや…反逆者」


シフォンは、向けた刃を少し離して、勢いをつけて、私の喉元を狙いつけ、振るう。

…と、そこで、パキンッという音を鳴らして、刃は弾かれた。


「お嬢に手ぇ出すとはな、仮にも同僚だったろ?」


「ふん、同僚は昔だ、それに魔導師の規則に則ってこうしているんだ。他者は首を突っ込むな」


シフォン…どうして…。


「ノエル、ロシルくんが心配だわここはソイルに任せましょう」


「…ソイル…」


「行け、ロシルを失ったら、お前の先を誰が継ぐんだよ」


「!?」


知ってたんだ…。

魔力連結の事…バレてた。

隠してたつもりなのになぁ…やっぱ、真実を見抜く目には…わかっちゃうのか。

彼は、呪文こそないものの、1の呪文 「真目しんがん」を持っている。

真目は、どの距離に何があるのか、そして嘘を見破るとか、もうその類の目に見えるすべてを知ることができる目。

鷹の目とも言われたりする。

ソイルは、武装を開放する。

彼は、服の内側にあった銃器を取り出して、戦いを始めた。


…どうしてなの…?シフォン…。


俺は、エイピロに向けて、引き金をひいた。

しかし、エイピロの矢が放たれる方が早く、目視でこちらに矢が飛んでくるのがわかって、すぐにひいた引き金の方の力が抜けた。

すると、銃口から気の抜けた弾がぽろっと落ちた。

それを確認するよりも先に、俺は顔に向かってくる矢を体を捻ってかわした。

何故か…スローで見えた。

一本一本の矢が、俺には見える。


「その矢…遅いな」


「それはどうかな…一本一本は遅い…だが、お前は前を見すぎだな」


「なに!?」


と言って、俺は後ろを向く。

…だが、そこには突き刺さった矢のみ。


「かかったなっ!これで終わりだ!」


「くそっ!」


俺は、あわてて、銃口を向けて、引き金を…ひいた。

今度は、力を込めて。

…すると、銃口から光が漏れ始め…そして


「うおぉおっぉおおおおお!!!」


放った。

銃弾が発射された…のではなく、光のレーザーのようなものが、そこから放たれた。

エイピロの矢は木端微塵に。

そして、レーザーはそのままの勢いでエイピロを包む。


「なんだとぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」


そして、レーザーは直進を止めずに、そのまま地響きをあげて、開けられた穴の大きさと同じぐらいの大きさのまま、草原を走った。


「な、なんだ!?これ!」


俺は、あまりの勢いでハンドガンを今にも離してしまいそうになる。

だが、このまま落とすわけにはいかない。

もしも天井を貫いてしまったら、ここがつぶれてしまったら…。

俺は、下敷きになるからだ。


「でも、どうやって止めるんだ、これえええええええええ!」


俺は、ただ嘆いた。


「ロシル!引き金を離して!」


「ノエル!?あ、ああわかった!」


そういわれるがままに俺は引き金から指を離した。

すると、今までの衝撃が嘘のように、スッと反動が消えた。


「ふ、ふぅ・・・すげぇ・・・な、これ・・・」


「それが、君の魔力…?へぇ、やっぱり才能あるね、ロシルくん」


「さい・・・のう・・・?」


「ええ、ノエルが気に入るわけだ」


「は、はは・・・うっ…」


そこで、俺は…気が付いた。

自分の胸元に…矢が刺さっていることに…。


「ククク、ついに…呪文を手に入れた…ぞ…感謝する、ロシル…ぐぁ…はっ…むんっ!」


服がボロボロで、重傷を負っているはずのエイピロの最期の一撃だった。

そして、エイピロは何かを使って、そこから一瞬で消えた。


「…とりあえず、ロシル…話したいことがあるの」


「…わかった」


これが・・・俺の魔術師への一歩だった。

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