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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第三章 ミシェール
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第七十三話 未来人

「…そろそろ、動く頃…ですかね…」


僕は重い背中をよっこらしょと声を出して起き上がる。

メリュジーヌ…彼女らに動かれると我々も動きづらい…

だとしたら、そろそろ対策をねるべきか


「珍しくやる気じゃねぇかよ、大将!」


大声で、しかもかなりうるさく吠えるこの大男は、ガリッツ。

この男は先ほどまで僕の指示でロシルたちの船を沈めさせ、帰還したばかりだ。

…それなのに、この元気…はぁ


「君の元気を僕もほしいよ…」


「お?あげやしょうか?」


と、僕に抱きついてこようとしているのを、すぅっと抜けて


「いや、遠慮しておくよ、僕はそういう趣味はないからね」


僕は、フォーミル城の上空で待機しているこの大和大空戦艦にいる。

…ニホン国軍軍事総司令部大将…マオ=リーディス…それが僕だ。

要するに大将ってわけだ。


「マオ司令!ラグナ=フォーミルの身柄を拘束いたしました!」


ラグナ…。

こんなにも早く出会えるなんてね


「…久しぶりだね、ラグナ=フォーミル…いや、フォーミル王よ呼ぶべきかな?」


ラグナは僕を見て、不思議そうにしている。

彼は両手を手錠で縛られ、またその上で兵士に拘束されている。


「僕を知っているのか…?マオ…君に一度会っていたという記憶はないのだが?」


「マビノギオンの裁定を知っているかい?君はその時にいたわけだ…勿論、君は知らないだろうね」


「何を言っている…?マビノ…?裁定…?わけのわからないことを…」


そう、彼は知らない。

この大地…フォーミルができる前。

ここではマビノギオンという本の裁定が行われた。

何故か?それはマビノギオンは誰からも不安要素であったからだ。

負をエネルギーとし、それらを吸い込み…願いを強制的に叶える願望本。

それこそがマビノギオン。

そしてその本に記載されていたもの…それを読めば…死よりも恐ろしいものを体感するのだという。


「っていうのはおいておいて…ラグナくん…これから行うことを、君に手伝って欲しい」


自分にはできぬ事ではない…。

だが


「どうして、敵である僕に頼むの?大体、君たちはこちらからすれば侵略者だ…その上で、判断している事なのかも、把握してる?」


普通に考えれば非常識だ。

だが


「これは、未来の事だ、そして今後必ず起きる事でもある」


「…まさか君は…いや、君たちは…」


我々の正体…を、ラグナに知らせるべきか悩んでいた。

…いや、メリュジーヌの事もあるか…。


「そうだ、我々は未来人に等しい…そして、メリュジーヌもまたそれに類している」


「未来人…?メリュジーヌもまた未来人…と?それを僕に信じさせて、何かのメリットになるというのか」


「その判断は、君自身に任せよう」


そう、重要なのはそこじゃない。

メリュジーヌの事というのが、あいつが未来人でありそしてその目的が重大なのだ。

我々ニホン国はメリュジーヌたった一人の脅威によって潰される。

そしてこの世界を地獄へと変貌させる。

…それが未来だ。


そしてそれまでに時間がもうない。

その前に、あいつを止め、この世界を平和にしなくてはいけない。


ロシル=フォート…あいつは、未来にはいなかった。

いや、現実にいたのかもしれない。

そして姿を隠しているだけで…。

考えにくいな。


だとしたら…


「さて、我々も動くべきだな、ガリッツ…皆を集めてくれないかな」


「了解した」


そして、僕たちは…侵攻の準備をするのだった。


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