裏第五話 束ね、歩く者
この戦い、アルフェグラ軍とツィツェル軍の戦いは、
圧倒的大差によってアルフェグラ軍が押し切り、そして勝利した。
「・・・さて、と」
「これであらかた片付いたわけか」
俺たちは…勝利した。
ツィツェル侵攻戦…勝利だ。
そう、勝ったんだ。
何度も何度も、自分に対しそう告げる。
…自覚が持てないからだ。
確証のない勝利が…ないからだ。
「エド、戦争はこんなものよ…復讐劇のようなものでしょうけど、とても悲しいわね」
「…覚悟ができてなかったわけじゃないんだ…ただ、俺はまだ餓鬼だった、それだけだ」
レビナが俺に対して何か心苦しそうに、いや同情するようにそういうので、
俺はそれに対してそう答えた。
…強がってただけなのかもしれない。
だけれど…敵味方…皆が倒れゆく姿を見て、俺は苦しんでいた。
悲しんでいた。
…感情が揺れていた。
この戦争が、何の意味があるのか、それはこれほどの死者を出して得る程の価値なのかと。
「何が…平和だ…これじゃあ…ただの独裁国家を作り上げているようなものじゃないか」
と俺は呟く。
それに対して、レビナは俺の頬を平手打ちをしてきた。
「エド!!あんたね!これはあなたが決めた事だけど、
それについていく私たちに失礼なのだと思わないの!?
心底うんざりするような考え方でもなんでもいい今は好きな風に思えばいい、
ただ…ただね、私はこの戦争には命をかけているの!
命がなくなれば、そこで終わり!この戦争の最後すら…
あなたにこうやって言葉を交わす事すらできないの!それを捧げているのよ、
あなたに!エドワード=フォート!」
俺はレビナに説教を受けているよりかは、平手打ちをされた痛みに反応していることを優先的に考えた。
…それから、話を聞いた。
俺自身もわかっていたつもりだったんだそんな事。
だからこそ、だからこそ
「失い、弔う…それの先にあるものを俺は見据えていない…」
俺は弱気だった。
果てしなくだらしなく、
最低なリーダーだ。
「それは、私たちが教えてあげるわ…この戦争の先には…平和が待っているのよ
その平和を目指して戦っているの、領土の拡大はすなわち私たちの平和の領土を意味しているわ
そしてその国々をあなたは束ね、そして進んでいかなくてはいけない」
「…背負うものは大きいな…俺一人じゃあ、無理だ」
「だったら、俺が国王になってやろう」
俺とレビナが話している後ろで声がして振り返ると、
そこにはクェイがいた。
…国王…か
「できるのか、クェイ?」
「任せろ、こう見えてもそういうことは得意でね」
…そうか、この国々は4つある・・・。
世界の平和を目指し、そして4つの国々をそれぞれの国王で収めさせる。
・・・それで、均衡が保たれるかはわからないが・・・
「わかった、クェイ・・・お前にこのツィツェルを任せる」
「合点」
こうして、ツィツェルは、この日をもってガレーと改名した。