第七十一話 密告者
ジャスティスとの戦い…これが、吸血目との最初の戦いだった。
俺は、今まで戦ってきた中でもかなり強い分類だった。
これからもあんな敵が現れるわけだ…俺は…戦っていけるだろうか。
「オルドー…他の生き残りは…?」
「俺と…数人の科学者…それと兵士が数人だ」
ジャスティス一人によって及んだ被害は、数知れず…。
吸血鬼に見つかった以上…ここは捨てなくてはいけない。
そしてここで亡くなった人たちの無念を背負わなくてはいけない。
「…弔わなくてはいけない…皆、目を閉じ、そして…亡くなった者達への祈りを」
そこに集まっていた科学者と兵士…それぞれが各々に目を閉じて、そして弔った。
俺もまたそのうちの一人だ。
関係者ではないが、ここにいる以上そうするべきだと思った。
…今後どうしようか。
まずは吸血鬼との戦いに参加するか否か・・・。
吸血鬼に加勢をするのか。
俺自身、それの選択を迫られる事もあるだろうが、
今はこの吸血鬼との戦いに参加する事が正しいのだと思った。
「それで?これからどうする?」
クリスは俺に尋ねる。
「・・・俺は、密告者を探す…この状況で、また同じことが起きることは避けないといけない」
密告者…おそらくはこの中にいる。
俺とこのオルドーとかいう老年の男は違う。
それにこのクリスもだ。
…となると、女どもの中にいるってわけだ…。
「では、密告者を見つけ次第、密告者の発見、及び確保をする事、以上よ」
そう告げられた。
それだけ言って、クリスは他の皆を集め、集会のようなものを開いていた。
「…さて、俺は密告者を探す…が仕事なわけだ…どうやって探すか」
とりあえずはこの場所を離れる前に、俺はもう一度調べておきたいところがあったので、
そこを調べ始めた。
そう、あのジャスティスと戦った場所だ。
血を吸う…という事に関して、俺はこう思うわけだ。
”もしかしたら、血を吸う中、何かをしていた奴が…
または、何か怪しい行動を取る奴がいるのでは”と。
「さて、ついた」
今見ても悲惨だ。
生臭い匂いと、オイルが混ざって、最悪な異臭になってる。
なんたらガスとかあるんじゃないかってぐらいに。
「…死体が一体もない」
奴らは…吸血鬼は、血を吸って能力を得る。
そのための補給源として死体を…?
だとしたら、血だけを集めればいいわけだが…。
…もしかして、ガレーに…?
「死体を機甲隊に…なーんてな…」
「へぇ…案外頭いいね、君」
俺の背後から見知らぬ声がしたので、急いで振り返る。
と、そこには緑の装束を身にまとった小柄な人物がいた。
フードをかぶり、顔がみえないようになっていて、それが声だけで判断すると幼い女の声だと思えた。
…そしてフードを脱ぐ。
「びっくりしたよ、まさかここに来る奴がいるなんて…でも、おかげで見つけた」
繰り返しいう。
「さぁて・・・見つけましたよ?反吸血鬼派さん?」
と。