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見習い魔術師の100の呪文  作者: ユキカゴ
第三章 ミシェール
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第七十話 VSジャスティス

「くそっ!どこへ逃げても壁を破壊して来やがる!」


流石は正義破壊ジャスティスデストラクションって名だけはあるな…。

何でもかんでも破壊できるなんて、本当にチートにしかみえない。


にしても、あいつの必要までの破壊に対する欲求がたまってんのか…

どんだけ破壊しても、あの顔を見ても…満足してるようにはみえないし、

何かに飢えているようにも思えるが、その実態はまだわからない。


俺自身、あいつから逃げられる・・・とは、思いきれていない面もある。

が、逃げる事もできるはずだ。

ただ、それがどれぐらいの期間逃げ続ければいいのか?それだけが不安で仕方なかった。

俺は…いつまで逃げている?


「破壊とは、すなわち正義…そして、この世界の破壊を意味する」


俺は、次の曲がり角を右に曲がって、すぐにそこで追いつかれた。

俺とクリス、そしてあの老年の男が追いつかれた。


「別れて行動してたら、どうにか逃げれてたかもしれないのに、どうしてあなたはこんな行動をしたのかしら?私自身、まだハッキリとはわからないですね」


遠まわしに馬鹿にしてるな…。

だが、この挑発に乗るような馬鹿は…


「んだとごるぁ!!!」


いたあああああああ!?

って、クリス、お前かよ!?


「あんた!ジャスティス!これだけの事を言っておいて、逃げ出さないでしょうね!?」


そ、そりゃあ俺たちの事…と言えば、今のクリスに殺されそうだったので、やめた。

俺はそれを静かに見ておこうと思った。

そして、俺のとなりで老年の男が同じくしている。

クリスは自分の手を大きくブンブンと回し、気合を入れる。

その瞬間に何か…違和感を感じた

そう、何か…だ。


「クリス…チャル…あなたを傷つけるわけにはいけない…だけれど、どうしてもというのであれば…」


「私があなたを破壊します」


クリスは、丁寧にそう言う。

しかし、力強さがある。

そして孤独なその瞳が、段々とクリスへと注目して近づいていく。


「…次元蛇穴!」


俺は、クリスとジャスティスを接触させてはいけないと思い、次元蛇穴を放った。

が、その蛇たちはジャスティスの手に触れると、バラバラと崩れていった。


「やはり、ダメか…なら、これならどうだ!」


「うるさい」


なんか一喝されてしまった。

…威圧か何かを感じて、それ以上動けなかった。


「ロシル…あなたの血はおいしい?私まずいのは飲まない主義なの」


「はっ?いや、鉄分の味なんて…」


クリスは怯えるこちらへと近づいてくる。

ゆっくりとゆっくりと…

…って、近すぎ!?


「そうね、そうでしょう…(ガブッ)…まずっ」


まずっのタイミングでシーンとなり、そして俺から血の気が引いて行ったのを感じた。

…主に物理で。


「ちょっ…おま…血を…」


「私の能力を見せてあげるから、勘弁して」


と言うと、彼女…クリスは自分の手をジャスティスへ向ける。

まるでチョップをするかのように。

と、次の瞬間に


「流石…オリジナルは違う…"吸血鬼の全ての能力を持っている"…そう、無の能力」


”無”の能力…!?

何もない能力…?

いや、どちらにせよ、何かを仕掛ける気なのか


「いくわ…これが、無の能力…有でなく、無…よ」


そこには何もない。

てからは何も。

…いや、見えていないから無なのかもしれないが。


「・・・ロシルくん、私の無は本当の無・・・期待するだけ無駄よ」


「え」


「私の能力は血を飲んでもないものはないのよ」


ここで、クリスが衝撃的な事を言い出した。

能力が…ない…!?

吸血鬼の元祖は能力がなかったんだ。

…というかそんなことよりも


「じゃあなんで俺の血飲んだ!?なんで首噛んだ!?」


「だってぇ吸われることあっても、吸う事なんてあんまりないもの、たまには吸ってみたいの」


「ふざけんなあああああああああ!」


俺は思いっきりクリスの頭をぶん殴った。

誰も頼りになるどころか、老年の男に無能力の女…それと見習いの魔術師…はぁ…


「やっぱ、俺がここでやらないといけねぇじゃないか!!!」


「君の能力を全て見抜いてる…けれど、私はここで失礼するわ、さよなら…あ、それとミスクリス」


「なに?」


「口元、血が垂れてますよ」


「え!?」


敵になんでか優しかった…流石は正義だわ…破壊してるけど。

と、俺たちの最初の戦いは終わった。

…勝利した気がしない。

というかむしろこれからこんな敵がどんどん出てくる事が不安で仕方なかった。

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